コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

最近のマイ・ブーム~点灸(てんきゅう)

『点灸』って、

モグサを指でひねって円錐形にしたものを

ツボの上に置き、線香で火をつける、

お灸の方法です。

皮膚に跡を残さないために、

今は、『灸点紙 きゅうてんし』というシールを

ツボの上に貼り、その上にモグサをのせます。

 

逆子を治すとき、足の小指にあるツボに点灸をします。

ざざっと写真でご紹介!

 

 

まず、足の小指にあるツボ[至陰 しいん]にシールを貼る。

 

 

円錐形に指でひねったモグサをシールの上にのせる。

 

 

モグサの先端にお線香で火をつける。

 

 

 

 

 

写真が暗くてすみませ~ん!

この工程を7回ほど繰り返します。

ピリッとした熱さが、一瞬ツボの奥の奥まで

伝わります。

ツボに効いている~~~!と感じる瞬間です。

 

逆子や生理痛、生理不順、不妊症などの婦人科の症状や、

強い冷え症の方には、ご自分でのお灸もおすすめです。

台座灸は、自分で簡単にできます。

 

 

台座灸。

 

 

「点灸は熱いっ!」と敬遠されがちですが、

普段、台座灸を自分でして、

お灸になれていると、

「点灸のピリッとした熱さが心地いい!」

と言う方が多いですよ。

いつの間にか、点灸をする機会が増えてきました。

 

点灸の心地よさの理由は、もう2つあると思います。

1つ目は、モグサと線香の香り…。

モグサの原料は、ヨモギの葉の裏にある産毛!

 

 

100%産毛のモグサ。

 

 

ヨモギの葉や茎などの不純物が入ったモグサ。

 

 

棒灸や灸頭鍼で使うモグサは、

ヨモギの葉や茎などの不純物が入っています。

点灸で使うモグサは100%産毛!

最高級のモグサです。

燃やした時の香りも上品!

お灸用の線香は、仏事などで使う線香よりも太く、

折れにくく、控えめな香りです。

 

 

心地よさのもう1つの理由は、『間(ま)』です。

モグサを指でひねって半米粒ほどの大きさにしたものを

ツボの上にのせるまでの時間。

モグサの先に線香で火をつけて

ピリッと熱さが伝わるまでの時間。

どちらも、ほんの数秒!

でも、この絶妙な間(ま)が、

心と体をリラックスさせる気がします。

患者さんに点灸をしている自分も

心がなごんでくるから、不思議…。

 

生理痛・生理不順・不妊症などの婦人科の症状を治す灸

女性のおなかの奥にある子宮。

毎月、生理がおこるところですね。

生理にかかわる臓器は、子宮と卵巣と、ホルモンを分泌する脳。

そして、生理に欠かせないホルモンは、脳と卵巣から分泌されます。

様々な臓器やホルモンが生理には関係しているので、

生理痛、生理不順、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊症や、

更年期にあらわれる諸症状など

婦人科の症状の原因も様々です。

 

東洋医学から見ても、原因は様々です。

東洋医学で、生理に重要なのは、『気(=エネルギー)』と

『血(けつ)(=栄養分)』が元気一杯であることです。

そして、その気や血と深いかかわりのある五臓六腑は、

心・肝・腎・脾・胃です。

東洋医学でいう五臓六腑と、西洋医学でいう内臓とは、

働きがちょっと違います。

それらの5つの臓腑は、心経・肝経・腎経・脾経・胃経という

経絡とつながっています。

 

婦人科の症状では、

気・血と、5つの臓腑と、5本の経絡の働きが

どのように変化しているのか見極め、

それらの働きを整える鍼灸治療もします。

それが、『バランスの崩れた体質を元に戻す』治療です。

 

東洋医学は目に見える症状を治すだけでなく、

バランスの崩れた体質を元に戻すことも重要視します。

婦人科の症状では、特に大事だと思います。

体質を元に戻すには時間がかかります。

じんわりじんわりと効くお灸はいいですね。

当鍼灸院では、体質の改善のために、

一人ひとりに合ったツボに、

ご自分でも台座灸をすることをおすすめします。

 

台座灸は、台座の上にモグサがのっています。

台座の底にはシールが付き、

気軽に簡単に自分でもできます。

 

不妊症の場合は、『体質を元に戻す』というよりも、

『妊娠しやすい体質にする』ことを心がけて治療しています。

治療が長期に渡るほど、病院通いは苦痛ですね。

鍼灸治療もその一環と考えすぎると、苦痛は倍増です。

鍼灸師である私は、

体と心の不調を整え、妊娠しやすい体質にする鍼灸治療をしますが、

鍼灸治療に来られる方には、

「いつもがんばっている自分をリラックスさせよう!」という

気持ちで来てほしいな…って思います。

生理にかかわる女性ホルモンは、

ストレスや健康状態に影響されます。

心と体をリラックスさせるって大切だと思います。

ご自分で毎日するお灸でも、リラックスできますよ。

 

随分と先の話ですが、来年の1月のお灸教室では、

『不妊症』をテーマにします。

お気軽にご参加ください。

お灸教室の詳細は、ホームページのお灸教室のページをご覧ください。

東洋医学の診察法~四診法(ししんほう)

西洋医学の診察では、

レントゲン検査や血液検査など道具を用いますが、

東洋医学の診察では道具はなく、

視覚、聴覚、嗅覚、触覚などの五感を用います。

おおまかに4種類に分けられ、『四診法』といいます。

 

その1:望診(ぼうしん)

患者さんの顔色や表情、体格、姿勢、動作などを観察し、

病状を把握します。

 

その2:聞診(ぶんしん)

患者さんの音声や呼吸、咳などを聞いたり、

患者さんの体臭や口臭などのにおいを嗅いで、

病状を把握します。

 

その3:問診

患者さんに症状に関することや、日常生活の様子を聞き、

病状を把握します。

東洋医学は目の前の症状だけでなく、

バランスの崩れた体質も治すので、

日常生活など幅広く聞くことはとても大事です。

 

その4:切診(せっしん)

患者さんに直接触れて、症状を把握します。

切診は、脈診、切経(せっけい)、

そして前回のブログにちょこっと登場した腹診があります。

 

脈診は、患者さんの手首で、

動脈の拍動がわかる部位に触れて、

脈の数や拍動の仕方を診て、経絡の状態を把握します。

自分で自分の脈診をするときは、こんな感じ。

 

人差し指と中指と薬指で、軽く触れたときに感じる脈の状態で、

各々1本ずつ、計3本の経絡の状態を把握します。

さらに、少し押し気味に触れたときに感じる脈の状態で、

別の3本の経絡の状態を把握します。

この写真では、左手の脈で、

計6本の経絡を診たことになりますね。

右手でも同様に脈を診て、

左とは別の6本の経絡の状態を把握します。

左右合わせて、12本の経絡を診ます。

とーっても難しい診察法です。

 

切診とは、経絡に沿って指で触れて、

経絡の状態を把握します。

経絡の上にツボが乗っているので、

鍼やお灸に用いるツボを選定できます。

 

腹診は、患者さんのおなかに触れて、

硬さ、厚さ、動悸、圧痛、皮膚の潤い、皮膚温などを診て、

症状を把握します。

『健康なおなか』ってどんな感じだと思いますか?

東洋医学でいう健康なおなかは…、

おへその上は平らで、おへその下はふっくら。

硬すぎず、柔らかすぎず、適度な弾力があり、

適度な潤いがあり、おなか全体が温かい!

皆さんのおなかはいかがですか?

 

おなかにはたくさんのツボがあります。

下腹部の奥には、女性の場合、子宮と卵巣があるので、

生理痛、生理不順、子宮筋腫、子宮内膜症、不妊症、

更年期の症状など婦人科の症状には、

下腹部にあるツボにも鍼やお灸をします。

 

また、婦人科の症状では、バランスの崩れた体質を

元に戻すことも重要で、

そのために下腹部にあるツボなどに

ご自分で毎日お灸をすることをすすめています。

次回は、体質改善のためのお灸について

書いてみようと思います。 よろしくぅー!

逆子を治すお灸

前回のブログでは、腰痛の鍼灸治療で、

『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』という経絡をご紹介しました。

今回は、その経絡の上にのっているツボ 『至陰 しいん』をご紹介します。

 

『至陰』は逆子を治すツボとして、超有名なツボです。

どこにあるかというと…、

 

 

足の小指の外側にあります。

おなかから離れているのに、なぜ逆子に効くのか?

 

ツボの名前には由来があります。

『至陰』はとってもわかりやすい。

『陰』に至るところ、『陰』に到達するところ。

 

ここで姉妹のツボ・モデル子ちゃん、登場!

 

 

左側が『足太陽膀胱経』。

経絡には陰と陽があり、

この経絡は、名前に『陽』が入っているとおり、陽経の経絡。

この経絡の最後のツボが『至陰』。

『足太陽膀胱経』は、この『至陰』から

陰経の経絡『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』に繋がっています。

右側の手描き図です。

陽経が陰経に到達するツボなので、

『至陰』と名付けられています。

 

これだけでは、逆子に効く説明にはなりませんね。

ここで大事なのは『腎』です。

東洋医学でいう『腎』は、西洋医学でいう『腎臓』とはちょいと違います。

『腎』は、生命力、成長、生殖力の根源である『精 せい』を蓄えています。

生理や妊娠、出産には、腎の十分な働きが欠かせません。

 

その腎に関わりがあるのが『足少陰腎経』という経絡。

そして、この経絡とペアなのが、『足太陽膀胱経』です。

『足太陽膀胱経』の上にのっているツボ『至陰』を

お灸で刺激することにより、

ペアである『足少陰腎経』という経絡の流れも良くして、

この経絡がエネルギーと栄養分を送っている『腎』の機能も良くしよう!

逆子を治すツボとして『至陰』が選ばれる理由は、

そんな考え方からです。

東洋医学ってややこしいですねぇ~。

 

おなかの中の赤ちゃんが大きくなると、

赤ちゃんは窮屈になり、動きにくくなるので、

大きくなる前に『至陰』にお灸をします。

 

 

 

台座灸は、写真のように台座の下にシールが付いているので、

自分でも簡単にお灸ができます。

鍼灸院での治療だけでなく、逆子が元に戻るまで、

毎日自分でお灸をしていただくことになりますが、

まず主治医の先生に相談されることをお勧めします。

 

ツボの名前の由来って面白いですよ。

由来によってはツボの効能までわかり、

治療に用いるツボが選びやすくなります。

特集 生理の話6 ~生理のトラブルの鍼灸治療

特集 生理の話も最終回!

1ヶ月間かかっちゃいましたねぇ~。

ちょいとおさらいをすると…、

 

 

生理は子宮と卵巣だけでなく、脳も重要な働きをします。

卵巣が手順よく働くために指令を出すのは、

脳から卵巣へ分泌する女性ホルモンでしたね。

その女性ホルモンは、健康状態やストレスの影響を受けやすいという

特徴もありました。

ということは、生理のトラブルの原因は多岐に渡ります。

生理にかかわるトラブル自体も、

生理痛がひどくなる…、

生理の周期や期間や出血量が変化している…、

生理の前後にも下腹部痛など様々の症状があらわれる…、など

いろいろあります。

それらの変化が強くなったり、長く続いている場合には、

子宮や卵巣などの病気も考えられます。

そんなときには、ためらわずに、婦人科での診察が大切ですね。

 

鍼やお灸では、生理痛や生理不順や、生理の影響であらわれる

諸症状(むくみ、頭痛、腰痛、肩こり、イライラ…)など、

具体的な症状に対して治療します。

 

まず、問診や触診により、生理の状態やトラブルを把握し、

どのように体質が崩れているのか、見極めます。

それらは一人ひとり異なるので、

鍼やお灸に使うツボや治療方法も様々です。

 

症状が重かったり、長期化している場合には、体質を改善し、

体の底力をアップすることが重要となります。

そんなときには、

 

 

当鍼灸院では、皮内鍼(ひないしん)をよく使います。

細くて短い鍼を皮膚と水平に刺し、

医療用のテープで固定し、2~4週間ツボを刺激します。

以前ブログに写真付きで皮内鍼のやり方をご紹介したことがあります。

興味のある方は、『私の相棒 鍼の道具たち その2』をクリック!

 

体質改善のために、ご自宅でのお灸もお勧めです。

 

 

底にシールのついた台座灸は、操作が簡単です。

最近はツボを紹介した本がたくさん出版されていますね。

お灸も鍼もたくさんのツボにすればいいってものではありません。

最寄りの鍼灸院で、ご自分にあうツボと、ツボの取り方の

指導を受けることをお勧めします。

 

ずいぶんと長い特集になりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

生理や女性ホルモンは体や心に変化をもたらします。

上手につきあっていきたいですね。