コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

特集~梅雨バテの話②~湿邪(しつじゃ)と鍼灸

冬の寒さが厳しすぎる…。

春の寒暖の差が激しすぎる…。

夏なのに涼しすぎる…。

気候の著しい変化に、体の抵抗力が落ち、

体調を崩すときがあります。

東洋医学では、『外感病』といいます。

外感病の原因となるものは、

風邪(ふうじゃ)、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪の6つ。

 

 

湿度が高く雨が長く続くこの時期に登場しやすいのは、

湿邪。

湿邪にノックアウトされると、水分代謝が落ち、

むくみやすくなります。

湿邪の『下注性』という性質から、

上半身よりも下半身がむくみます。

『重濁性』という性質もあり、

頭や体が重く、四肢がだるくなることもあります。

『粘滞性』という長くとどまる性質もあり、

症状は治りにくく、

繰り返しやすいとも言われています。

 

 

湿邪によってダメージを受けるのは『脾』。

ここで述べている『脾』は、東洋医学用語。

東洋医学の『脾』と西洋医学の『脾臓』とでは、

とらえ方が異なります。

梅雨にむくむから脾臓が悪い…とは思わないでくださいね。

 

 

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赤いラインは『足太陰脾経 あし・たいん・ひけい』という経絡。

足の親指から始まり、脚の内側、体幹前面と上り、

肋骨の外側で終わります。

この経絡は五臓六腑の『脾』にもつながっています。

経絡は、気(エネルギー)と血(けつ)(栄養分)を

臓器にも送っています。

 

 

『足太陰脾経』の上にあるツボに鍼やお灸をすることにより、

経絡の流れを改善し、

『脾』に活力を与え、湿邪を退散させます。

 

 

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これは、台座灸。

台座の上にモグサがのっています。

台座の底にシールがついているので、

ツボにのせやすいです。

「梅雨になると脚のむくみがひどくなる…」

そんな方には、根気強く自宅で台座灸をするのもおすすめです。

 

 

コトーは20代のとき、脚のむくみがひどく、

鍼灸院でツボの取り方とモグサのひねり方を教わり、

せっせとお灸をしていました。

その頃は理学療法士の仕事に情熱を傾け、

まさか鍼灸師になるとは思ってもみませんでした…。

人生、どうなるかわかりませんね~~~。

 

むくみをとる鍼~皮内鍼(ひないしん)

むくみを鍼でとるぅ~???

意外に思う方が多いのでは…。

水分代謝を整えるツボに鍼をして、むくみを改善します。

 

むくみが強い場合、当鍼灸院では、

『皮内鍼』という鍼をよく用います。

 

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一番下の鍼は、一般的に使う鍼です。

長さが37mm。

一番上にあるのは満月ではなく、一円玉。

直径20mm。

中央にあるのが皮内鍼で使う鍼。

長さが0.5mm。

とっても小さい鍼です。

 

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この皮内鍼を足にあるツボに2~3mm刺します。

鍼の持ち手はリング状になっているので、

鍼全体が皮膚に入ることはありません。

 

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医療用のテープで鍼を固定します。

鍼のリングの下からテープを貼るので、

このテープのことを、通称『枕』といいます。

 

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最後に鍼全体を覆うように、医療用テープを貼ります。

このテープのことを、通称『布団』といいます。

2週間ぐらいこのままにして、ツボを刺激し続けます。

鍼が皮膚と水平に入っているので、痛みや違和感はありません。

 

生理痛や生理不順が強い時には、

血の巡りを整えるツボにこの皮内鍼をします。

ちっちゃな鍼ですが、頼もしいヤツです!

 

むくみは、お灸でも治療します。

夕方になると脚がパンパンになり、だるくてしょうがない!

そんな方には、ご自分でするお灸もおすすめです。

根気強くお灸をし続けると、水分代謝がよくなり、

むくみも改善します。

 

当院での4月のお灸教室のテーマは、『むくみ』です。

興味のある方は、ぜひご参加ください。

詳しくは、『ホームページのお灸教室ページ』をご覧ください。

一緒にお灸を楽しみましょー!

 

むくみと鍼灸と経絡と五臓六腑の関係

今月のお灸教室のテーマは、『むくみ』。

予習をしていました。

それを皆さんに、おすそわけ!

 

むくみについては、ブログで何回も取り上げてきました。

今回は、五臓六腑に注目しながら、

むくみについて書いてみます!

よろぴくぴくぅー!

 

私たちの体の中の水分は、体重の約60%。

その水分のことを東洋医学では、

『津液 しんえき』といいます。

五臓六腑の中の『脾 ひ』は、口の中から取り込んだ

飲食物から、津液を作り出します。

脾の働きが悪いと、津液が滞って、

むくみの原因になることもあります。

ここでいう『脾』は、西洋医学でいう『脾臓』とは

若干働きが異なります。

 

赤いラインは、『足太陰脾経 あし・たいん・ひけい』

という経絡。

この経絡は、脾にもつながっています。

経絡は、全身に張り巡らされた通路です。

エネルギーと栄養分を全身に送っています。

 

むくみの鍼灸治療は…、

この経絡上のツボに鍼やお灸をする

     ↓

脾の働きが改善

     ↓

津液の滞りが改善

     ↓

むくみが改善

 

 

次にご紹介するのは、『腎 じん』。

体の中で利用され汚くなった津液は、

腎に運ばれてきます。

ここで、津液は、再吸収されたり、尿として膀胱に

運ばれます。

腎は、全身の水分代謝を調節しています。

腎の働きが悪いと、この水分調節がうまくいかなくなり、

むくみの原因になることもあります。

 

赤いラインは、『足少陰腎経 あし・しょういん・

じんけい』という経絡。

この経絡は、腎にもつながっています。

この経絡上のツボに鍼やお灸をして、

むくみを改善します。

 

 

最後にご紹介するのは、『膀胱』。

 

赤いラインは、『足太陽膀胱経 あし・たいよう・

ぼうこうけい』という経絡。

この経絡は、膀胱にもつながっています。

尿という水分を体から排出するという点では、

膀胱も水分代謝に大きくかかわっています。

むくみの治療に、この経絡上のツボを使うこともあります。

 

 

こんなふうに、五臓六腑と経絡とツボの特性を

考慮しながら、鍼やお灸をしているんですよ。

東洋医学は、独特な考え方をします。

難しいけれど、おもしろい!

 

梅雨と腰痛と鍼灸

最近、

「ぎっくり腰を起こしそうなくらい腰が痛い…」

と当鍼灸院に駆け込んでくる方が増えています。

5月・6月は気温がとっても不安定。

今日みたいにザーザー雨が降っている日は肌寒く感じ、

日差しが痛い快晴の日は、汗が出るくらい暑い!

日中は暑いけれど朝晩は肌寒い日もある…。

おまけにスーパーなどでは冷房が入り始める…。

体は体温調節に大忙しです!

冷えて血行が悪くなると、筋肉も硬くなりがち。

腰痛持ちさんは、普段から腰の筋肉が硬めなので、

さらに硬くなり、

いつの間にか「ギクッと痛めそう」となることも…。

               *

また、梅雨の時期は『湿邪 しつじゃ』に影響を受ける方もいます。

東洋医学では、自然の気候の変化を重視しています。

気候を変化させる、『風』 『寒』 『暑』 『湿』 『燥』 『火』 が

過剰だったり不足すると、

『風邪 ふうじゃ』 『寒邪』 『暑邪』 『湿邪』 『燥邪』 『火邪』という

邪気(じゃき)になります。

体が弱っていると、この邪気の影響を受けやすくなります。

この6つの邪気には性格があります。

『湿邪』の『湿』は、水に似ていて下に流れやすく、

症状は下半身に現れやすい。

例えば、むくみは脚に現れやすい。

『湿』は重く、停滞する特徴もあり、

湿邪が体内に入ると、頭や体が重く、だるい感じになります。

脚がむくんだり、重く感じる腰痛はこの湿邪が影響しているかも…。

               *

冷えや湿邪の影響を受けている頑固な腰痛には

しっかり温めることが大切!

当鍼灸院でよく使うのが

灸頭鍼(きゅうとうしん)。

鍼の先にモグサをつけてお灸をします。

鍼の刺激とお灸の輻射熱のW効果!!!

「腰から脚にかけて温泉に入っているみたい」と

よく言われます。

腰~お尻~脚をしっかり温めると、脚のむくみも改善します。

               *

余談ですが、

腰痛が強いとお尻の筋肉も硬くなりがち。

硬いってことは、お尻の血流も滞っているかもしれません。

当鍼灸院は女性専門ですが、

お尻の奥には子宮や卵巣など大事な臓器が入っているので、

お尻の筋肉を柔らかくして、血行をよくすることも

大切だと思っています。

               *

新潟の友人から今年もアスパラガスが届きました。

無農薬で作ること自体大変なのに、

気候の急変や原発事故による放射能測定など

さらに手間がかかり、

愛情のたっぷり入ったアスパラガスは格別です!!!

梅雨に大活躍(?)の皮内鍼(ひないしん)

鍼灸は中国から伝わった治療法ですが、

日本人が発案した鍼もあります。

円皮鍼(えんぴしん)。

円形のシールの中央に鍼がついています。

この写真のものは、直径0.2mm、長さ0.9mmの鍼です。

とーっても細く短い鍼なので、

シールを貼っていても違和感はほとんどありません。

ツボの上から軽く押しているかんじです。

頑固で強い痛みなど、

ある程度の期間ツボを刺激し続けたいときに用います。

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皮内鍼(ひないしん)。

これも細く短い鍼(写真は直径0.4mm、長さ5mm)です。

鍼のリングのところをピンセットで挟み、

皮膚の1~2mm下を、皮膚と平行に刺し、

医療用のテープで固定します。

鍼のリングの部分は皮膚には入らず、

鍼全体が皮膚に入ってしまうことはありません。

皮膚に平行に刺しているので、違和感はまったくありません。

これも、ある程度の期間ツボを刺激し続けたいときに用います。

               *

内くるぶしの近くにあるツボ『三陰交 さんいんこう』。

婦人科の症状の特効穴(とっこうけつ)といわれています。

当鍼灸院では、強い生理痛や生理不順など婦人科の症状に対して、

このツボに皮内鍼をすることがあります。

すると…、

「脚のむくみにも効いて、脚がだるくなりにくいですよ」

皮内鍼をした方から、そんな感想もよく聞きます。

梅雨の時期には、むくみがひどくなる方がいらっしゃいますが、

『三陰交』というツボは水分代謝を調節する働きもあり、

むくみにもよく用います。

               *

むくみにはお灸も効きます。

自分でこつこつお灸を続けると、むくみにくくなります。

当鍼灸院では、6月12日(火)と6月17日(日)に

むくみをテーマにお灸教室をします。

詳しくは左のカテゴリーの「お灸教室」をご覧下さい。

梅雨本番!

じめじめした季節を乗り切りましょー!