コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

中国留学思い出し日記~月日は経っても…

早口でまくしたてられ、

「何を言っているかわかんないよー!」と

キレたところで目が覚めた。

見慣れない天井。

あっ、そうか、ここは中国なんだ…。

今日も1日が始まる。

 

 

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留学前に電子辞書を買っておいてよかった。

 

 

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ウエスト・ポーチに入れて学校へ。

 

 

中国語の勉強は、電子辞書片手に予習・復習をしないと、

授業についていけない。

クラスメイトは、韓国、ベトナム、タイ、フィンランド、チェコ、

ウクライナ、中央アフリカ、サモア、ガーナ、イエメンから

来ていた。

共通語は英語。

中学・高校と6年間も英語を勉強したのに

話せないのがなさけない…。

でも、「構内の食堂で昼食を食べよう!」と、

クラスメイトはよく誘ってくれる。

みんなと一緒にいると、心がなごんだ…。

 

 

トラブルが相次ぎ、鍼灸の勉強のめどは立っていない。

このために留学したのに…。

現地で知り合った日本語専攻の中国人大学生が、

何度も鍼灸関係先と掛け合ってくれた。

何を言われてもひるまない彼女のおかげで、

半年後に鍼灸の勉強がスタートした。

 

 

小さな診療所。

やはり言葉の壁は厚い。

聞き取れない話は書いてもらった。

帰宅後に電子辞書で調べても、

75歳の先生の書く旧漢字は載っていない。

中国語の家庭教師をお願いしていた中国人大学生の

専攻が古文。

彼女は旧漢字も知っていたので、随分教わった。

 

 

1年半後に帰国。

留学中ほとんど日本語を話さなかったせいか、

目の前の建物の名前が出てこない。

えーっと、えーっと、えーっと、

あっ! コンビニだ。

 

 

帰国してすぐ出張鍼灸を再スタート。

でも、心の中が空っぽになっていた。

留学中のことを思い出したくなかった。

なんでだろう。

自分なりに必死に勉強してきたのに…。

このままでは留学したことを後悔しそう…。

ヤバい!

留学中のことは、しばらく心の奥深く封印しよう。

 

 

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1年半ぐらいして、

留学中のことを書き出してみようと思い立った。

書き始めると、次から次へと思い出し、

あっという間にノートが埋まった。

つらいことだけではなかった。

もう大丈夫。

封印をほどこう。

 

 

ブログでもこのノートを基に、

『中国留学思い出し日記』(画面右のカテゴリーの下から2番目)を

スタート。

数えてみたら今日で40話。

そんなに書いたんだ。

ブログの原稿を書くときも

そばに電子辞書がいる。

 

 

最近、その電子辞書の画面が白んで読みにくい。

9年間使っている。

もう寿命かな。

でも、思い出がたくさんつまりすぎて、

新しい電子辞書を買えないでいる…。

 

 

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<診療所 2007.01.27.>

 

 

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<大学構内 2006.11.21.>

 

 

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<黄山旅行 2007.04.13.>

 

 

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<霊山大仏旅行 2007.11.03>

 

 

中国留学思い出し日記~怖いモノ

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「古藤さん、歩行街の花時計で、〇時に待ち合わせましょう」

中国人大学生が言った。

当日の待ち合わせ時刻に、携帯電話が鳴る。

「古藤さん、どうしたんですか?」

「何かあったんですか?」

心配そうな声…。

私は階段を駆け下りながら、

「ごめんなさい。まだ寮にいます。10分待ってください」

そう答えた。

あー、中国でもやってしまった…、遅刻…。

 

修行先の鍼灸院は午前8時半からだったが、

遅れたことはない。

中国語の専門学校は午前8時からだったが、

遅れたことはない。

日本にいる時、仕事に遅れたことはない。

プライベイトな待ち合わせになると、遅れてしまう。

なんでかなぁ~。

今でも、『待ち合わせ』と聞いただけで怖くなる…。

 

 

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小さい頃から、隙間の暗闇が怖い。

夜になると、留学生寮の部屋の窓を

カーテンでしっかりと隠さないと気が済まない。

今でも…、

トイレやお風呂場、押し入れなどの戸が閉め忘れ、

奥の暗闇が少しでも見えると大変!!!

向こうで何か怪物がうごめき…、

瞳がキラッと光り…、

目が合ってしまったら…、

ぎゃぁーーー!

妄想は続く…、続く…、続く…。

 

留学当初、鍼灸の勉強も中国語の勉強も思うようにはいかなかった。

「もう、八方ふさがりだ…」と何度も思った。

そんな時、ふっと空を見上げる。

「この空をずっとずっと左に行けば日本なんだ…」

「今眺めている満月は、日本で見ても同じなんだ…」

「ここにいることは特別なことではない」

「日本でもいろいろあったけれど、なんとかなった」

「今度もなんとかなる…」

悲劇のヒロインという思い込みから脱することができた。

マイナスの思い込みにどっぷりとつかる怖さを知った。

 

でも、この『思い込み』って、悪いヤツじゃない。

中国に1年も住んでいると、

「コトー、中国語が上手になったね」と言われるようになった。

「えっ?外国語の勉強って苦手だけれど、

私でも上達できる?できる?できた?」

そんな思い込みは、「もっと話そう!」という気持ちに繋がった。

 

留学中は、1つ1つの課題を達成することに精一杯で、

客観的に自分を見ることができなかった。

今振り返ると、いろいろ体験したことがすべて、

心の糧となっているんだなって思う。

 

中国留学思い出し日記~夏と足三里

福岡は急激に暑くなりましたが、

皆さんの住む街はいかがですか。

こんなギラギラした太陽の下にたたずんでいると、

留学中の夏を思い出します。

 

 

 

最高気温40度。

外に立っているだけで、体がアイスクリームのように

溶けてしまいそう…。

食欲が落ち、アイスクリームだけがお友だち…。

気づけば頬がげっそりこけてしまった…。

こりゃあ、まずいっ!!!

自分でお灸を開始!

 

 

 

『足三里 あしさんり』というツボ。

『足陽明胃経 あし・ようめい・いけい』という経絡の

上にある。

この経絡は胃にもつながり、

胃のトラブルには、この経絡上のツボをよく使う。

 

秋に入ると、体重も元通り!

それでも、ずーーーっと『足三里』にはお灸をしていた。

このツボには、エネルギーを補充してくれる作用がある。

 

 

 

ほわ~んとモグサのにおいが、留学生寮の小部屋を包み込み、

留学中の緊張感が解き放たれた…。

 

小さな診療所の中の鍼灸室。

真夏でもエアコンを入れない上に、

風通しも悪い。

2度目の夏は体調を崩さないようにしよう!と、

塩・砂糖入りの紅茶をペットボトルに入れ、

鍼灸の勉強中に、ちょこちょこ飲んでいた。

室内での熱中症になることはなかったが、

がが~ん!

プクプク太ってしまった!

砂糖が効いたみたい…。

中国人の先生や患者さんから、

「コトー、太ってきれいになったね」

そう言われても、全然うれしくないっ!

 

そんな中、夏かぜを引いたのか、

解熱剤を飲んでも熱が下がらない。

鍼灸を教わっている先生に診てもらった。

処置室で点滴を受けていると、

鍼灸治療を終えた患者さんが

次々と顔を出す。

「大丈夫?」

「お大事に…」

そんなふうに声を掛けられ、

ここに勉強に来てよかった…としみじみ感じた。

 

 

 

初めての、煎じる漢方!

ぐつぐつ煮出すと、やはり臭い…。

まあ、でも、あっさり熱が下がったから、よかった。

 

鍼灸の勉強と、中国語の勉強と、

毎日ハードな生活だった。

それでも、たいした病気にかからず、

1年半、中国で過ごせたのは、『足三里』へのお灸の

おかげかな。

 

ただ今、室内温度は29度。

こんなに急に暑くなると、体がなかなか順応できません。

皆さん、体調を崩さないように、気をつけてくださいね。

 

クリスマスとツボ…

今日は12月25日。

クリスマスにちなんだ鍼灸をご紹介しまーす!

 

鍼灸修行で中国に留学中、驚いたことがあります。

クリスマスって、中国では無縁のことだと思い込んでいました。

実際は、

クリスマス・ツリーが飾られ、外資系のスーパーでは

店員がサンタクロースの格好をしていました。

 

クリスマスには西洋料理店へ行きました。

普段は単品料理のお店ですが、

この日はクリスマス・ディナー・コースのみ。

とっても割高!

腰かけてメニューを見るなり、帰る中国人続出!

おごりだから、私には関係ないけれど…。

小皿にのったクッキー→ホット・ミルクティー

→ヨーグルトがけのサラダ→ワイン→牛肉のステーキ

→鶏のもも肉のステーキ→ライス…。

次から次へと料理を持ってくるので、

テーブルの上に皿が乗り切らない…。

懐かしい思い出です。

 

おっ!困った!

クリスマスと鍼灸の接点がなさすぎる!

話しの展開がっ!

……………………… 。

そうっ!

クリスマスと言えばサンタクロース!

サンタクロースと言えば白い髭と

赤いコスチューム!

 

『白』のつくツボと言えば…、

おっ、結構あります。

メジャーなツボだけでも7個!

『俠白 きょうはく』 『四白 しはく』 『隠白 いんぱく』

『太白 たいはく』 『白環兪 はくかんゆ』

『浮白 ふはく』 『陽白 ようはく』。

その中からいくつかご紹介!

 

中国最古の医学書に、

『皇帝内経 こうていだいけい』があります。

その中に書かれている『五行説 ごぎょうせつ』。

五行は、木、火、土、金、水の5種類の物質のことです。

古代の中国人が、日々の生活の中で

不可欠な基本物質として、かかげたものです。

やがて、世界のすべての事象を、

この五行に当てはめるようになります。

青・赤・黄・白・黒の五色を五臓六腑に当てはめると、

青は肝、赤は心、黄は脾、白は肺、黒は腎とされています。

 

先ほどご紹介した、『俠白 きょうはく』というツボは、

手太陰肺経(て・たいん・はいけい)という経絡の上にあります。

この経絡は、五臓六腑の『肺』にもつながっています。

『俠白 きょうはく』というツボに鍼やお灸をして、

肺の症状を治します。

肺は五色では『白』なので、ツボの名前に『白』という字が

入っています。

 

『白』は『光』も意味します。

目の近くにある『四白 しはく』と『陽白 ようはく』というツボは、

目のトラブルを改善し、視界がよくなるので、

『白』という字がツボの名前に入っています。

 

さて、『赤』がつくツボですが…。

私が調べた限りでは見当たりません。

なんて中途半端な、クリスマスにちなんだツボの話!

すみません…。

 

今日はクリスマス!

目くじら立てずに、ゆるゆるホクホク気分でまいりましょう!

みなさん、メリー・クリスマス!

コトーの鍼灸スタイル~中国留学で得たもの

先日、福岡の大宰府にある『九州国立博物館』へ行ってきました。

『ベルリン国立美術館展』を開催しています。

 

そこで見つけた冊子。

懐かし~い!

中国の南京にある、南京博物院。

1992年に福岡県と友好協定を結んでいるそうです。

 

 

これが実物。

といっても写真ですが…。

館内は広く、展示品も多く、じっくりと見るには

かなり時間を要します。 見ごたえがありました。

 

 

これも南京。

2006年12月17日の長江と、ぽっちゃりコトー。

私が留学していた街から南京まで、高速バスで1時間!

ときどき遊びに行きました。

石窯で焼くピザ屋さんがあり、おいしかった~~~。

 

 

言葉の壁をよじ登るのは大変でしたが、

「本場の鍼灸を肌で感じたい!」という思いと、

「鍼灸の何かを得るまでは、どんなことがあろうとも絶対帰らないぞっ!

多くの方々のサポートを無に出来ない!」という思いだけで、

中国にしがみついていました。

 

ポケットにメモ帳とツボ本を入れ、

食い入るように鍼灸院の先生の治療を見つめ、

メモを取り、質問をしていました。

あの時の集中の仕方は、今も私の心の根っこに住み着いています。

 

患者さんの体と心に効かせる鍼とお灸をするには、

鍼灸師は研ぎ澄まされた五感、六感が必要だと思っています。

丁寧に患者さんの声を聞き、

体に触れて、体と心の声を聞く…。

鍼を打った時に、鍼の取っ手から指先に伝わってくる感覚で、

ツボの状態を読む…。

留学中の集中力がよみがえってきます。

 

私は留学中、大学内にある留学生対象の中国語の

専門学校にも在籍していました。

クラスメイトは、タイ、韓国、ベトナム、フィンランド、ウクライナ、

チェコ、中央アフリカ、サモア、ガーナ、イエメンから来ていました。

日本人は私1人。

 

日本にいると、ただの『コトー』ですが、

留学中は『日本人のコトー』とみられるので、

自分でもいつの間にか、日本人としての『コトー』として、

発言、行動するようになりました。

 

今も、「日本人として…」と意識することがあります。

『気配り』、『心配り』は、日本の文化だと思います。

缶詰のフタを開けるとき、缶切りが必要でなくなったのは

いつからでしょうか?

缶詰のフタの縁で手を切ることは滅多にありませんよね。

縁に加工をしているそうです。

納豆に付いている、醤油のビニールに切り込みがなくなり、

ビニールの縁を手で切れるようになったのは、いつからでしょうか?

こんな細かい所まで気を配れるなんて、

日本人ってスゴイ!?!?

 

鍼灸って医療ですが、サービス業でもあると思います。

今、自分が持っている技術を最大限に生かし、

一人ひとりの患者さんにあった、

きめ細かいサービスをどこまで提供できるか!?

いつも自分自身に挑戦しています。

「この発想って、日本人ならではだろうな…」

日本人に生まれたことに感謝!