コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

東洋医学からみた『皮膚』の話

今日は前回に引き続き、『皮膚』にまつわる話におつきあい下さい。

東洋医学は、西洋医学のような血液検査やレントゲン撮影など

器具を用いた診察をしません。

視覚・聴覚・嗅覚・触覚などの五感をフル活用して、

目の前の症状の原因とその治療方法を判断します。

               *

その診察方法の中に、『望診 ぼうしん』があります。

患者さんの顔色・つや・表情や、体つき・姿勢・動作などを観察します。

青白い顔色の人に、「調子悪いの?」と声をかけたり、

赤ら顔の人に、「熱でもあるの?」と尋ねたり…。

健康状態は顔色に表れますよね。

顔だけでなく、他の皮膚もしかり。

うぶ毛って、倒れている方向が一定ですが、

部分的に渦を巻いていたり、反対方向に倒れていたり、密集していることがあります。

症状のある部位の皮膚、例えば腰痛の方は腰の部分のうぶ毛が

そのようになっていることがあります。

皮膚のつややくすみ、かさつきなどもチェックします。

               *

皮膚をつかさどっているのは、五臓六腑の中の『肺』。

肺の働きが正常だったら、皮膚はうるおい、

暑い時には汗を出し、寒い時には鳥肌を立たせ、

環境の変化にいち早く対応します。

正常でなくなると、皮膚がかさついたり、湿疹や浮腫などが現れることもあると、

東洋医学ではみています。

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さあ、ここで2週間前に登場したツボ・モデル子ちゃんに再登場していただきましょう!

『手の陽明大腸経 ようめい・だいちょうけい』という経絡。

この経絡上にあるツボは、皮膚病の治療に用いられます。

ツボって、皮膚を見ただけではどこにあるかわかりませんよね。

ツボを押してみると、コリコリと硬かったり、くぼんでいたり、

イタ気持ちよかったり、ぶにょぶにょしていたり…。

他のところとビミョーに違います。

経絡の流れが悪くなっていると、その経絡上にあるツボたちのうち、

他のツボとはビミョーに違う反応のツボがあり、

そのツボに鍼やお灸をして、

経絡の流れをよくして、症状を改善します。

先ほどの五感のうち『触覚』がとても大事です。

指先にぐぐーっと意識を集中します!

かぜの鍼灸レシピ

前回のブログで『かぜ』のことに触れましたが、

今日はその鍼灸治療をご紹介!

今までもかぜにまつわる鍼灸についてブログで書いたなぁーと思い、

下書きをパラパラ読み返しました。

ほほーっ、こんなこと書いたんだぁ~。

もう257話ともなると覚えていません。

今日はちょっと違う視点で書いてみます!

東洋医学では、体の中に『経絡 けいらく』という道が張り巡らされ、

その上に『ツボ』がのっていると考えられています。

この経絡は『手の太陰肺経 たいん・はいけい』。

11個のツボがのっています。

左腕しかツボを書いていませんが、右腕にもあります。

肺をつかさどるので、呼吸器の症状の治療に用いられます。

代表的な経絡は、相棒の経絡がいます。

『手の太陰肺経』の相棒は、『手の陽明大腸経 ようめい・だいちょうけい』。

20個のツボがのっています。

口から鼻にかけては、体の正中を越えて、反対側を通ります。

この経絡は鼻やのどを通り、鼻かぜやのどの痛みなどの治療に用いられます。

さて、ツボの話も何回か書いてきましたが、

代表的のツボは約360個。

そのツボの名前ひとつひとつに由来があります。

『かぜ』は『風邪』と書きますね。

東洋医学では、かぜをひく原因のひとつとして、

『風邪 ふうじゃ』という邪気が体の中に入るから!ととらえています。

『風』の漢字がつく、『風池 ふうち』や『風門 ふうもん』は、

風の通り道とされ、これらのツボもかぜの治療に用いられます。

ぐっすり眠れたら、かぜもすぐ治るのに、仕事・家事・育児などでそうもいかない…。

そんな経験ってありますよね。

かぜを長引かせると、体のスタミナが減り、よけい治りにくくなります。

そんな時は、エネルギーを補う鍼や灸もプラスします。

それにしても、顔と手を描くのは難しい!

2枚目はへび腕になっちゃった。

でも、また懲りずに書くと思う…。

コトーの鍼灸スタイル~心の目、飛びます!

もう20年前のこと。

理学療法士(リハビリ)3年目ぐらいだったと思います。

リハビリ室で担当の外来患者さんを待ちながら、

何気なく、目の前の後輩の治療を見ていました。

その後輩は、自分の体の動かし方に左右差がある。

それは目の前の治療中にもみられ、

あぁー、運動療法を受けている患者さんも左右差のある動き方に…。

体の動かし方も以心伝心するんだぁー!

はてさて私は?

私の腕(脇の下~手首)は約50cm。

患者さんを両手で支えていたとしたら、

患者さんと自分は最高50cmしか離れられない。

患者さん全体を見ることは難しい。

『3次元』に生きていても、自分が動かない限り、

見られるのは目の前の平面だけ。

後ろから、右から、左から、上から、下から、は同時に見ることができない。

たとえ自分が左右差のある体の使い方をしても、

自分で自分を見て修正することは不可能。

おおー、的確な運動をどう指導したらいいのだろうか…。

20代のコトーはもんもんと悩み、

考え出したのが、『心の目をつくる』こと。

患者さんと運動療法をしながら、自分の『心の目』を数m飛ばして、

自分と患者さんの2人の姿を

360度いろんな方向から眺めているイメージをする。

実際には見ることは出来ませんが、イメージするだけでも、

歪んだ自分の動きを患者さんに以心伝心することは防ぐことができました。

               *

鍼灸師をしている今もこれは役に立っています。

体の中に『経絡 けいらく』という道があり、

経絡は内臓も含めた体全体にエネルギーを送り、体の調整をしている!

東洋医学では、そのようにとらえています。

その経絡の上にたくさんのツボがのっています。

そのツボに鍼や灸をして、経絡の流れを良くし、体の調子を整えます。

その経絡は、体の前側や後ろ側、横に位置し、

頭~脚、頭~腕と、体全体に渡っています。

経絡はお互い影響しあっています。

患者さんにうつぶせになってもらって鍼灸をしている時に、

自分の心の目を飛ばします。

前側の経絡の状態はどうなのかな…

前と後ろの経絡のバランスがとれているかな…

そんなふうに気にかけます。

その後に仰向けで再チェック!

コトーの鍼灸院では『心の目』が四方八方に飛びかってます。

鼻炎の鍼灸レシピ

鍼灸院に治療に来られる方をお迎えするときに、

私はよく灸用のお線香をたきます。

柔らかい香りなので、

来られる方にリラックスしてもらえるかな…という想いと、

自分自身には「よっしゃあ~、仕事だあっー!」と気持ちを集中させるためです。

香りと心はつながっていますね。

また、

「これ、まだ食べられるかな…」と、

くんくんにおいを嗅いで、食べ物の新鮮さを判断する!という、

体を防衛する働きも『鼻』にはありますね。

この鼻がつまっても、鼻水が止まらなくても、

においがわからなくなるだけでなく、

頭がぼんやりとして思考回路が鈍くなり困るぅー!

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顔や頭にツボはいっぱい!

鼻炎には鼻の横にあるツボ『上迎香 じょうげいこう』に

ほそーい鍼をほんのちょこっと1mm程度刺します。

軽い鼻づまりにはツボ・マッサージも効きます。

前髪の生え際中央の上にあるツボには、頭と水平に鍼をします。

うつぶせ寝のツボ・モデル。

うなじにあるツボ『大椎 だいつい』にお灸をして、温めるのもいいです。

アレルギー性鼻炎や花粉症は、体の免疫機能が過敏に働いて起こるので、

根本的に治そう!とすると、体質を改善することも大切です。

時間はかかりますが、ご自身でもご自宅で腕などのツボにお灸をして、

じっくりと治していけたらいいですね…。

お灸は『台座灸 だいざきゅう』といって、安全に簡単にできるものを使います。

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おまけの話。

鍼灸のことを知らなかった20代、

私はアレルギー性鼻炎で、鼻の粘膜が常に弱く、

しょっちゅう鼻風邪をひいていました。

「こりゃあ、たまらーん!」と始めたのがこれ。

???

なんだかわかりませんよね。

これは鼻洗浄器の一部。

このカップの上にはフタがあり、片鼻に入れるノズルがついていました。

今はありません…。

塩温水を片鼻から吸い込み、口から出します。

適度な塩分濃度と温度であれば、鼻はツーンとしません。

こんなふうに、中の温水温度がわかるすぐれもの。

私はテキトーに塩を混ぜるので、

塩分濃度が薄いと鼻がツツーン!

濃いと塩辛くてたまらない…。

それでも鼻の粘膜が鍛えられ、アレルギー性鼻炎が改善しましたよ。

                *

最近、鼻の粘膜が弱くなってきたので、鼻洗浄を再開しようかな…。

鼻風邪をひいたり、気温差で鼻がむずむずしたりすると思います。

症状が強い時はかなり鼻の粘膜が弱っているので、鼻洗浄はきつい!

落ち着いてからしよう!

何度そう思っても調子がよくなると忘れちゃう。

のどもと過ぎれば…ってやつですね。

鍼灸の陰と陽

だんだん日が登るのが遅くなり、

日が暮れるのが早くなってきました。

夏から秋、冬へと季節が移り変わりますね。

この変わっていく過程を、東洋医学では『陽消陰長』といいます。

逆に、冬から春、夏へと移る過程は『陰消陽長』。

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うわっ!

手描図が大きくでてしまった!

陽の中に陰があり、陰の中に陽がある、太極図。

『陰陽論』の起源は中国の古代哲学で、

日光に向かうのを陽、日光に背を向けるのを陰とする考えから

スタートしたそうです。

やがて医学にも応用されるようになりました。

                *

最近、すっかりメジャーになった『経絡 けいらく』。

体中にはりめぐらされた通路のこと。

『気』と『血』が経絡を通り、

各臓器などに栄養を送り、臓器の機能を調整します。

その『経絡』の代表的な12本も陰と陽に分けられます。

例えば、肩こりや腰痛の鍼灸治療によく用いられる

『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』。

『陽』の経絡です。

体の中で一番長い経絡で、

「目頭の外⇒ひたい⇒頭頂⇒後頭部⇒背中⇒お尻

⇒ももの後ろ⇒ふくらはぎ⇒足の小指」を通っています。

朝日を浴びるツボ・モデル。

膀胱経の上にのっているツボは、67個!

この経絡は右にも左にもあるので、左右あわせて134個!

膀胱経の相棒は、陰の経絡『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』。

「足裏⇒脚の内側⇒胴体前面⇒鎖骨下縁」を通っています。

腎経の上にのっているツボは、27個。

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経絡の上にあるツボに鍼刺激や灸刺激をすることにより、

経絡の流れを良くして、その経絡に係わる症状を治していく。

それが古代からの鍼灸治療の考え方です。

また、陰と陽のバランスも考慮されます。

先ほどの『足太陽膀胱経』と『足少陰腎経』のバランスがどうなっているのか…。

東洋医学って奥が深く、おもしろい!難しい!