特集~生理と妊娠の話⑤~東洋医学と鍼灸治療・その2
前回の特集ブログ『生理と妊娠の話』では、
生理と妊娠にかかわりの深い臓器である、
女子胞(じょしほう)、心、脾、肝をご紹介しました。
実はもう1つ、ご紹介したい臓器があります。
『腎』です。
東洋医学でいう『腎』の働きの1つに
『精(せい)の貯蔵』があります。
東洋医学の『腎』と西洋医学の『腎』は働きが異なります。
同一のものとは思わないでくださいね。
精は、ヒトの成長・発育・生殖に必要なエネルギーです。
腎の働きが活発であると、
卵巣、子宮、精巣などの生殖器が成熟し、生殖能力をもちます。
腎の働きが弱まると活動が低下し、生殖能力も低下します。
また、病気にかかりやすく治りにくく、老化現象があらわれます。
女性不妊や男性不妊、不育症(妊娠はするが、流産、死産を
繰り返して生児が得られない)の鍼灸治療では、
腎の働きを把握することが大切です。
赤いラインは、『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』という経絡。
『腎』にもつながっています。
腎の働きが弱まっているときは、この経絡上のツボに鍼やお灸をして、
腎の働きや生殖能力の改善をはかります。
さてさて、臓器の話をもう1つ。
『臓器の働き』といったら何を思い浮かべるでしょうか。
心臓による血液循環。
腎臓による尿の生成。
臓器は生理現象の中心的存在ですね。
東洋医学からみると、臓器は精神活動の中心的存在でもあります。
例えば『怒り』は、臓器の『肝』がつかさどっています。
過度の怒りは肝を傷つけ、肝の働きを弱める…。
逆に肝の働きが弱まると、怒りの感情があらわれやすい…。
そんなふうに、東洋医学では考えます。
何度もしつこく書きますが、
東洋医学の臓器と西洋医学の臓器は違います。
「私、怒ってばかりいるから、肝臓の病気になっちゃう~」と
直結して考えないでくださいね。
赤いラインは『足闕陰肝経 あし・けついん・かんけい』という経絡。
肝にもつながっています。
生理前や生理中にイライラ感があるとき、
この経絡上のツボに鍼やお灸をして、情緒の安定をはかります。
PMSや生理困難症、生理痛、不妊、不育症などの治療に際して、
自分でするお灸もおすすめです。
お灸を続けて、目の前の症状だけでなく、
バランスの崩れた体質を整えます。
症状も体質も人によって異なり、選ぶツボも違います。
鍼灸院で診察を受けて、ご相談ください。
特集ブログ『生理と妊娠の話』、最終回。
東洋医学の抽象的な話にチャレンジしてみました。
いかがでしたか。
少しでも東洋医学が身近なものに感じてもらえたらなぁ…と思います。
おまけの写真!
職場の前にある、早咲きの桜が開き始めました。
春、近し!!!