背骨は頭を支えている

上のイラストは、横から見た骨格。

首の骨(=椎骨 ついこつ)は、7個。胸の椎骨は、12個。腰の椎骨は、5個。背骨は、24個の椎骨が積み上がっている。

緩やかなS字カーブとなっているのは、約5㎏もある頭の重さを分散させるため。背筋や腹筋、殿筋(でんきん)(=お尻の筋肉)などが、背骨のカーブを支えている。

 

腰の椎骨は頑丈

背骨の中で、腰の椎骨が一番大きく、がっしりとしている。

右が背中側。左がおなか側。椎骨と椎骨の間にある半透明のものは、椎間板(ついかんばん)。骨と骨のクッションになる。椎骨の隙間からちょろっと出ている黄色のものは、神経。

 

骨粗鬆症のメカニズム

骨の中がスカスカになり、骨の強度が低下した状態が、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)。

女性ホルモンであるエストロゲンは、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えている。閉経すると、エストロゲンの分泌量が減るため、骨のカルシウム量も減少し、骨粗鬆症になりやすい。また、高齢者では女性に限らず、骨粗鬆症になりやすい。若い時の無理なダイエットや、喫煙も、要因とされる。

 

骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折の原因

イラストは、3つの椎骨のうち、中央の椎骨の圧迫骨折。椎骨が押しつぶされるように変形する。

骨粗鬆症が進むと、重いものを持った時や、転倒、背中の軽い打撲でも、腰の椎骨(=腰椎)が骨折しやすい。気づかないうちに、骨折していることもある。70歳以上の女性に多く見られる。

 

骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折の症状

骨折の部位や状況によって、症状は様々。症状が出ないこともあれば、じっとしていても腰や背中にズキズキとした強い痛みがあり、寝返りや起き上がり、立ち上がりなど、ちょっとした動作で痛みが強まることもある。お尻から脚にかけてしびれや痛みが出ることもある。

閉経後の女性や高齢者で、重たいものを持ったり、背中を打ったり、転倒した直後から、腰や背中が痛み出したら、まず、整形外科を受診してほしい。

身長が4㎝以上低くなり、背中が丸くなっていたら、背骨の圧迫骨折によるものかも…。

 

骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折の治療

まず、整形外科でレントゲンやMRIを撮ってもらい、背骨の骨折の有無を確かめよう。

骨折直後は、コルセットで背骨が動かないように固定し、安静に…。長期間のコルセット着用や安静は、高齢者になるほど、体力や筋力が衰え、寝たきりのリスクが高まる。どれくらい安静にしたらいいのか、いつまでコルセットを着けるのか、いつからどの程度、体を動かしていいのか、整形外科の担当医に相談しよう!

体を動かせるようになった時、体力や筋力、バランス能力などが落ちている場合は、自己流のトレーニングはせずに、リハビリ(運動療法)で、専門スタッフ(理学療法士)の指導を受けよう。

背骨の圧迫骨折や背骨の弯曲が強い場合は、つぶれた骨折部位に骨セメントを注入する手術がある。

 

腰椎圧迫骨折を防ぐには、骨粗鬆症の予防が大事

椎骨の圧迫骨折を起こした部位は、押しつぶれたまま骨がくっつき、元の状態に戻ることはない。悲しい現実…。

話は反れるが、コトーは理学療法士として、介護老人保健施設に勤めていたことがある。向こうから、ヨタヨタと歩いてくる高齢の男性がいた。周りに、スタッフはいない。嫌な予感がして、走って近づいたが間に合わず、男性はぽてっと横へ転倒した。ゆっくりと倒れたので、骨折していないかなぁ…と思ったが、太ももの付け根を強く痛がり、太ももの骨が骨折していた。

太ももの骨の頭を骨折すると、手術することが多い。高齢者では寝たきりにならないよう、早期からリハビリを始める。

こんなこともあった。高齢の女性が階段を下りている時に滑り落ち、手をついた拍子に手首を骨折。ギプス固定が外れた後、整形外科の担当医に、「自分で手首の運動をしてください」と言われた。運動の負荷が強かったのか、手首が痛くなり、腫れてしまった。内科でかかっていた病院の主治医にリハビリをすすめられ、コトーが担当した。ギプス固定の影響で、硬くなっている手首を、自分で動かせるようにするのは、無理!!!

熱く語ってしまったが、骨粗鬆症による骨折の予防は、骨粗鬆症にならない!ことに尽きる。

 

骨粗鬆症の予防法

①栄養バランスを気にかけながら食事をしよう!

いくつになっても、骨は再生している。骨の材料となるタンパク質・カルシウム・マグネシウム、そして、骨にカルシウムを骨に吸収させるビタミンDが含まれる食材を意識して摂ろう!

②お日様に当たろう!

日光に当たると、体内でのビタミンDの生成が促される。

③適度な運動をしよう!

運動によって、骨に圧がかかり、骨の再生が促される。

散歩は日光浴にもなり、一石二鳥!背骨をあらゆる方向へ動かすラジオ体操は、小さい頃から馴染みがあり、継続もしやすいのでは…。

人によって、体の柔軟性やバランス能力、体力、筋力など運動能力が異なる。自分のできる範囲とスピードで、気持ちよく運動するのが一番!張り切りすぎて転倒し、骨折しないように!

④骨粗鬆症が気になる方は、病院で骨密度を検査してもらおう!

上記の①~③だけでは、骨粗鬆症の進行を防げない時には、骨を強化する内服薬がある。

⑤鍼やお灸で、体の柔軟性を維持しよう!

運動不足や運動のし過ぎが続くと、筋肉は硬くなる。硬いゴムのように十分には伸びなくなる。関節を動かすのは筋肉なので、筋肉が縮まると、関節を動かせる範囲が狭くなる。高齢者では、バランス能力の低下に結びつきやすい。また、筋肉が硬いと、筋肉は疲れやすい。

鍼やお灸は、骨粗鬆症の直接の予防にはならないが、硬い筋肉をほぐし、『運動しやすい体』のサポーターになれると思う。

年明け早々、長い記事になってしまった…。近い将来、あるいは遠い将来、骨粗鬆症になる可能性は、誰にでもある。今までの、食生活を中心とした生活習慣が、骨の再生に貢献できていたか…。これからは…?この記事が、そんなことを考え、実行する、きっかけになったらなぁ…。

福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の、女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。