1年半の留学を終え帰国すると、心が空っぽになった。
留学中のことをすべて思い出したくなかった。
鍼灸の修業のために必死に勉強してきたのに、
なんでこんなにむなしいんだろう…。
自分でもこの気持ちが腑に落ちない。
といってもどうすることもできない。
心の小箱に封印した。
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1年半経って、「留学中の日記を書こう!」と思いついた。
凍りついた想い出が溶けるかもしれない…。
現地で撮った写真を見ながら、、ノートに書いていく…。
30話目はこんなふうに書き記している。
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『一番うれしかったこと』
鍼灸治療は朝8時半からで、終わるのは13時半。
先生はよく自宅へ昼食に呼んでくれた。
75歳の先生は、バスで5~6停目にある古いマンションに、
奥さんと住んでいた。
バスは市内ならば1元(=15円くらい)でOK。
バス停はマンションの前の大通りにある。
バスの路線は非常に多い。
帰り際、先生は毎回、何回も、聞いてくる。
「1人で帰れるか?」
「〇番あるいは〇番のバスだからね。」
「1元、持ってる?」
ある日、私はたまりかねて言ってしまった。
「私は大人だぁー、子どもじゃなーい!」
それを聞いた先生も奥さんも大笑い!
うけを狙ったわけではないけれど、
白髪がどっと増えるくらい中国語の勉強もしていたので、
中国語で中国人を笑わせることができたのがとてもうれしかった。
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留学中はつらいことばかりだった。
このブログで書けるような出来事は0.1%にも満たない。
そんな中、一番うれしかったことが、『人を喜ばせること、笑わせること』。
「そう、私は人の笑顔をみたいから、鍼灸師をしているんだ…」
大爆笑の出来事を思い出したことで、そのことに気づけた。
凍りついた想い出も溶け出した…。
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このブログでもちょっと面白いことを書きたい!と思うのは
画面の向こうのあなたをクスッと笑わせたいから…。
えっ?!
面白くない??
まだまだ笑いの修業が足りませんなぁ~。
精進します!