前回のブログでは更年期の不調の原因と諸々の症状について、
今回は鍼灸の治療方法について、ご紹介!!!
更年期にあらわれる症状は、
腰痛、肩コリ、関節痛。
頭痛。
老眼。
疲れやすい、だるい。
めまい、耳鳴り。
肌の乾燥、かゆみ。
食欲不振、便秘、下痢。
イライラ、怒りっぽい、ゆううつ、落ち込み。
不眠。
などなど。
多岐に渡る。
当鍼灸院では、あらわれている症状1つ1つに対して治療する。
例えば…。
突然、顔からだらだらと汗が流れ、顔がほてる。
でも、下半身まで熱くなることはなく、
むしろ足は冷えている『冷えのぼせ』。
そんなときは血の巡りを整えるツボに鍼とお灸をして、
下半身を温め、エネルギーが全身を巡るように調整する。
たくさんの症状があらわれても共通する点があり、
使用するツボを絞り込む。
また、ツボの効能は1つとは限らず、
たくさんの効能を持つ万能ツボがあり、それを使うこともある。
鍼とお灸の強みは、体だけでなく心の不調も整えられること。
今までは気にもとめなかったことにひどく落ち込んだり、
イライラしたり、怒りっぽくなったり、急に悲しくなったり…と、
感情のコントロールができないときにも、
鍼とお灸は、優しく気持ちを整える…。
更年期の不調のきっかけは、前回のブログで説明したとおり、
卵巣機能低下によるエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量の低下。
急激にエストロゲン量が減ると、
エストロゲンが作用している臓器も調子を崩し、
症状としてあらわれちゃう。
老化を止めることはできないが、
急激にエストロゲン量が落ちないように、
卵巣に働きかけたい。
そこで登場するのが『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』。
足の裏にあるツボ『湧泉 ゆうせん』から始まり、
脚の内側と体幹前面を上向し、
鎖骨下縁にあるツボ『兪府 ゆふ』で終わる。
この経絡は、五臓六腑の『腎』にもつながっている。
東洋医学の『腎』は、西洋医学の『腎臓』と若干働きが異なり、
成長と老化に深くかかわっている。
『腎の機能が衰えると、他の臓器の機能も衰えてくる…。
腎の働きを底上げし、卵巣機能の急激な衰えをくいとめる。』
これは東洋医学独特の考え方。
足少陰腎経の上にあるツボに鍼やお灸をして、
腎、卵巣にエネルギーをおくる…。おくる…。おくる…。
更年期のつらさは、なかなか周囲には理解してもらえない。
「女って大変だなぁ~」と男性は他人事に思っているかもしれないが、
男性の更年期症状もある。
家族や職場などでの理解が広がれば…と思う。
さーて、おまけの話。
ずっと大事にしている本がある。
笠智衆写真集『おじいさん』。
笠 智衆(りゅう ちしゅう)。
俳優。
熊本県出身。
下積みが長く、小津安二郎監督に見いだされ、映画デビュー。
山田洋二監督の映画『男はつらいよ』では、
お寺の住職『御前様』役で全作45本に出演。
86歳には黒沢明監督の映画『夢』に出演。
映画館の大スクリーンに映し出された笠氏が、
花笠をかぶって満面の笑みで一心に踊りを舞う姿は
圧巻だった。
この写真集では、
「人生、いろいろあるけれど、捨てたもんじゃない。楽しいもんだよ。」とでも
語りかけるように笠氏が笑っている…。
更年期のコトーはまだまだ108つの煩悩があるけれど、
老年期を迎える頃には、笠氏のように余計なものがこそぎ落とされた笑顔で
人生を楽しんでいたい…。