中国最古の医学書『黄帝内経 こうていだいけい』。

紀元前4~5世紀頃から紀元前100年頃にまとめられた。

歴代の医学者が多くの治療経験に基づき書いた本。

その中では、五臓六腑についても触れている。

 

 

五臓は肝、心(しん)、脾、肺、腎。

六腑は胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦(さんしょう)。

心は、君主の官。

心包(しんぽう)は、臣使(しんし)の官。

三焦は、決瀆(けつどく)の官。

 

 

東洋医学では、心の働きは血液を全身に送るだけでなく、

生命活動と精神活動をつかさどる『神 しん』を蔵する。

心は重要な働きをする臓器であり、

『君主の官』つまり『最高指導者』と表現されている。

 

 

心包は形がなく、働きだけがある臓器。

心を包み保護する膜のようなもの。

心に邪気が近づくと、心包が邪気を受け止めて追い払い、

心を守る。

そのため、『臣使の官』と表現されている。

見守り機能付きの臓器は、心のみ。

紀元前から『心』は最も大事にされていたんだなぁ…。

 

 

赤いラインは『手闕陰心包経 て・けついん・しんぽうけい』という経絡。

胸から始まり、脇の下、上肢前面の中央へと下り、

中指で終わる。

この経絡は枝分かれして心包にもつながっている。

経絡上にツボは片側9個。

コトーがよく使うツボは、『内関 ないかん』。

 

 

 

 

 

内関は手首近くにある。

ここに鍼やお灸をして、イライラ感や不安感などの心の不調や

自律神経のアンバランス、つわりなどの改善をねらう。

乗り物酔いをしたとき、ツボ押しもいいよ!

 

 

 

ツボ・モデル子ちゃんの後ろ姿。

赤いラインは『手少陽三焦経 て・しょうよう・さんしょうけい』。

『手闕陰心包経』と表裏関係にあり、お互い影響しあっている。

薬指から始まり、上肢後面中央を上り、

肩、首の横、耳の周りを経て、目の外側で終わる。

ツボは片側23個。

この経絡が通っている目、耳、肩、腕のトラブルを治すときに

これらのツボを用いることが多い。

 

 

この経絡は三焦にもつながっている。

三焦も心包と同様に形はなく、働きだけがある。

場所は体幹。

横隔膜から上の働きを上焦(じょうしょう)、

横隔膜からへそまでの働きを中焦(ちゅうちょう)、

へそから下の働きを下焦(げしょう)という。

 

 

口から取り込まれた飲食物は消化され、

エネルギーと栄養分は体内に吸収され、

不要なものは尿と便となって、体外に排出される。

東洋医学では胃、脾、肺、心、小腸、大腸、腎、膀胱…と

たくさんの臓器がそれにかかわっている。

三焦はこれらの臓器を結びつける通路みたいなもので、

飲食物の消化吸収から排尿・排便までの過程が円滑に進むように、

臓器に働きかけている。

 

 

『決』とは、疎通のこと。

『瀆 とく』とは、溝渠(こうきょ)(=水を流すみぞ)のこと。

決瀆とは、水道を疎通させること。

中国最古の医学書『黄帝内経』で、三焦は『決瀆の官』と書かれたのが、

なーんとなく分かるなぁ…。

 

 

ブログを読んでいる方にも分かってもらえるかなぁ…。

難しいテーマをブログにしちゃったなぁ…。

先は長い。

うっ!うっ!うっ!

気を取り直して、おまけの話!

 

 

 

三焦といえば芭蕉。

この電気スタンドの筒の部分は、芭蕉布と芭蕉紙が使われている。

多年草の芭蕉は、沖縄県と奄美群島の特産品。

芭蕉の茎の繊維を使って、布や紙が作られる。

20年前に沖縄へ行ったときに、

芭蕉布と芭蕉紙の深みのある色合いに一目ぼれして購入した。

 

 

 

 

 

今は、鍼灸院の玄関先で、柄の長い靴べら入れになっている。

三焦と芭蕉の因果関係はまーったくない。

ただ、三焦という文字を見ると、一文字違いの芭蕉を連想し、

このスタンドを思い出すんだなぁ…。