体の抵抗力が落ちているときに、
『天候の激しい変動』が原因で体調を崩すことがある。
東洋医学ではその原因を、『外邪 がいじゃ』といい、
風邪(ふうじゃ)、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪(かじゃ)の6つがある。
今年の夏に猛威をふるったのは、暑邪と湿邪。
福岡では日中35℃以上は当たり前になった。
夜になっても気温が下がらず、熱帯夜…。
暑さはエネルギーを消耗しやすく、
激しい暑さが続けば、ちょっと動いただけでもバテやすくなる。
こんなときに鍼やお灸では、エネルギーを補給するツボを使う。
例えば、足の裏にある『湧泉 ゆうせん』。
エネルギーが湧く泉。
ネーミング自体、すごい!
エネルギーの消耗が激しい方には、
このツボなどに『自分でするお灸』もお願いした。
台座灸は、底にシールがつき、足の裏だってペタッと貼れ、
簡単にお灸ができる!
背中には自分で台座灸はできないけれど…。
今年の真夏は1日中冷房をつける日が何日も続いた。
そうなると、女性はどうしても体、特に下半身が冷えやすい。
冷えると血のめぐりがとどこおり、筋肉も硬くなりやすい。
首こり・肩こりや腰痛が強くなったり、
睡眠中にこむらがえりを起こしたり…。
こんなときには鍼とお灸で血のめぐりを整え、
筋肉をほぐし、痛みをやわらげる。
お灸は症状に合わせて使い分けている。
棒灸。
モグサを固めて和紙でくるみ、タバコ状にしている。
直径2cmほどの大きさ。
先端に火をつけて皮膚から数cm離して温める。
このお灸の長所は動かせること。
下半身全体が冷えているとき、
うつぶせで、お尻から足の裏までじんわりと温めることができる。
ツボ・モデル君も気持ちよさそう…。
灸頭鍼(きゅうとうしん)。
これはツボに鍼を置き、
その先端にモグサをのせ、お灸もする。
熱くはなく、体の芯までボワン!と温まり、筋肉もゆるみやすい。
20年前を振り返ると、
天気予報で「今日の最高気温は30℃です」と聞けば、
「えーっ、30どぉ~~~! きついなぁ…」と思っていたが、
今では30℃ぐらいはへっちゃらな体となった。
しかし、これに湿度70~80%が加わると、きつい!
今年は梅雨以降も湿度が高いままで、じとーっとした真夏だった。
湿邪と冷房の冷えで、血のめぐりと水分代謝がとどこおり、
脚のむくみや下痢を起こす人もいた。
こんなときに鍼やお灸では、血のめぐりだけでなく、
水分を調整するツボを使う。
内くるぶしの上にある『三陰交』。
脚のむくみには自宅で台座灸もいいけれど、
皮内鍼(ひないしん)もおすすめ。
長さ5mm程度の小さな小さな鍼。
鍼の上で光っているのは1円玉。
これを皮膚の1mm下に、皮膚と平行に2~3mm刺す。
先端はリングになっているので、
鍼全体が皮膚の中に入ることはない。
痛くもない。 違和感もない。
医療用のテープで固定し、1~2週間そのままにする。
ずーっとツボを刺激し、血のめぐりと水分代謝を整える。
小さいけれど、パワーは大きい。
猛暑が続いて抵抗力が落ちると、
自分の弱い部分が顔を出しやすい。
例えば…、
風邪をひきやすくなる。
胃もたれがしやすくなる。
むくみやすく、元に戻りにくい。
冷えやすく、温まりにくい。
久しぶりに膀胱炎に…。
下痢ぎみ…。
などなど。
こんな症状が出ないように、未病(=病気の一歩手前)や
養生(=健康維持)にも働きかけられるのが、
鍼とお灸。
一人ひとりの体質や季節変動を把握し、
先手先手の鍼灸治療をし、症状が出にくい状態にする。
それって難しいけれど、鍼灸治療の醍醐味だと思う…。
この夏、一番元気なのは、セミと観葉植物。
うーん、申し訳ないが君の名前は忘れちゃった。
いつも1~2輪しか咲かないのに、この夏、4輪も咲いている!
背の低いパキラ。
葉っぱが、うーじゃうじゃ!
「じめじめした夏、サイコー!」って気分かな?