先日、ドラム教室の発表会があった。

思い起こせば1か月半前。

先生から発表会用の楽譜を手渡された。

今使っているテキストよりもワンランク上のテキストに載っているらしい。

ということは難しいんだ…。

月3回のレッスン。

来週はお休み。

次回は2週間後かぁ…。

次回のレッスンまでに、ゆっくりでも何とか叩けるようにならないと、

発表会に間に合わないだろうなぁ…。

………。

………………。

 

 

あっという間に2週間が経ち、

先生と一緒にその曲を叩く。

「短期間でよく叩けてる! 今の段階では何も言うことはない」

先生にそう言われた。

2回一緒に叩いた後、いつも通りにテキストのレッスンに入った。

 

 

へっ?!

発表会前って、発表会で演奏する曲だけレッスンするんじゃないの?

70%ぐらいのテンポでしどろもどろにしか叩けないのにー!にー!にー!

心の中で叫ぶ…。

 

 

自宅にはドラムがない。

クッションをパカパカ叩いて、イメージ・トレーニング。

何となく、こーかなーと思っても、

実物ではすんなりとは叩けない…。

80%以上のテンポになると、リズムがぐっちゃんぐっちゃん。

自主練で落ち込みつつ、レッスンへ。

 

 

「いい! 今の段階では何も言うことはない」

先生にまた言われてしまった。

『今の段階』ということは、『次の段階』では何を言われるんだろう…。

こうも言われた。

 

 

「この曲は、リードギターとベースギターがグルーブを作り出している。

きちっとした16ビートではなく、

3,4拍目は納豆をかき回すような、ねばーっこいリズムになっている」

 

 

グルーブ???

100%のテンポで叩けないのに、なんでそんなこと言うのぉ~?

ドラムを習い始めて1年4か月。

ひよっこドラマーなんだよぉー!

大人だから口に出せない。

心の中で叫ぶ!

 

 

 

 

レンタル・スタジオでの自主練を週1回(2時間)から、週2回に増やした。

強めに叩く曲なので、腕の筋肉疲労も激しい。

長時間練習するときはテーピングをするようになった。

100%のテンポで何とか叩けるようになったかなぁ…と思いつつ、レッスンへ。

 

 

「コトーさんの叩き方はジャズだよ。

他の楽器よりも速いリズムで演奏し、先行している。

この曲はギターの後ろをついていくような叩き方なんだよ」

 

 

先生に言われてしまった。

速く叩けるようになると、あせってテンポが速くなっちゃう。

以前も指摘されたなぁ…。

1,2拍目よりも3,4拍目をねばっこいリズムで演奏するギターの後ろを

どうしたらついていけるんだろう…。

うー!うー!うー!

あっ? そうだ!

あれを使って曲を聴いてみよう!

 

 

 

 

ヘッドホンからは、沢山の楽器の音色が聴こえてくる。

リードギターとベースギターもはっきりと聴きとれるから、

自分が叩く音がこもっても、叩くタイミングはつかみやすい!

そう気づいたのが発表会4日前。

うっ、うっ、うっ………。

 

 

 

 

右足も左足も小刻みにペダルを踏む。

コトーは、靴の中で足指じゃんけんができるくらい大きめの靴しか持っていない。

靴が大きいせいか、足の動きがペダルに伝わりにくい(気がした)。

指先付近のフィットした靴を購入!

選びに選んだ靴を履いてドラムを叩いてみると、すっすべる…。

靴底の凹凸が少ないから、指先に力を入れてペダルを踏み込むと、

靴がペダルの上を滑る。

あー!あー!あー!

結局、普段使用の靴の紐をきつめに絞めて対応…。

 

 

前日も当日の朝もイメージ・トレーニングができないまま、

リハーサル。

左端からキーボード、サックス、リードギター、ベースギターの講師が座ってる。

右端にドラムがセッティング。

講師陣と演奏できる機会は滅多にない。

『自分のドラムにあわせて演奏してもらってる』よりも

『一緒に演奏してる』気分でドラムを叩きたい一心で練習してきたが、

今となっては、『先生方の演奏を乱さないように叩きたい』気分。

 

 

あれっ?

テンポが少し遅い気がする。

自分のために、先生方は遅めに演奏してるのかなぁ…。

他の楽器の音を消さない程度のドラムの音量ってよくわからないなぁ…。

どれくらいの強さで叩いたらいいんだろう…。

あっという間に1曲叩き終わり、リハーサル終了。

 

 

本番まで2時間ある。

公園のベンチに座り、ヘッドホンで曲を聴く。

あれ?

リハーサルと同じテンポだ。

さっきは気がせいていたんだなぁ…。

ヘッドホンから流れるベースギターの音色を聴きながら、

何度もエアードラムを叩いた。

ふと見上げると、ピーカンの青空。

そうそう、この曲のイメージも、スカッとした輝きなんだな…。

 

 

本番はリハーサルよりも講師陣の演奏を聴く余裕があった。

『ベースギターの演奏の後をスパーッ、スパーッ、スパーッとついていこう!』

そう念じ続けながらドラムを叩いた。

自分では今までで一番思い通りに叩けた(気がした)。

後日…。

 

 

 

 

 

 

福岡市博物館で開催中の『ジブリの大博覧会』に行った。

 

 

 

 

 

その後、レンタル・スタジオでドラムの自主練。

ジブリ映画『風の谷のナウシカ』に登場する王蟲(おうむ)や他の昆虫たちの

フィギアを手掛けた竹谷隆之氏の解説を思い出す。

 

 

物作りにしても書くにしても音楽にしても、

『観察』 『分析』 『理解』があって、『表現』できるのではないか。

 

 

ひよっこドラマーは、テキストをにらみながら、

奏でるドラムの音色に耳をそばだて、

自分の思いをドラムに託せる日が来ることを夢見るのであった。

おしまい…。