コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

【動画で見る!ツボの取り方】逆子に働きかけるツボ『至陰 しいん』

現存する、中国最古の医学書の中に、『皇帝内経 こうていだいけい』がある。紀元前4~5世紀頃の春秋戦国時代から、紀元前100年頃の前漢の時代までにまとめられた。多くの医学者の、多くの治療経験がもとになっている。

西洋医学も経験医学であり、東洋医学と西洋医学は共通する点がある。しかし、東洋医学独特の考え方もある。その中に、『陰陽学説』と『五行学説 ごぎょうがくせつ』がある。

『陰陽学説』では、世界中のすべての物を『陰』と『陽』に分けた。そして、『陰と陽のバランス・協調・調和で、世界は成り立っている』と説いた。『陰ー陽』の例を挙げると…。下ー上、内ー外、夜ー昼、冬ー夏、暗ー明、弱ー強。陰と陽はペアになり、相反する性質を持つ。

陰陽学説では、両者のバランスを重要視。それは、『五分と五分』という意味ではない。陰が極まれば陽になる。逆に、陽が極まれば陰となる。極暑(陽)がいつまでも続くわけではなく、やがて弱まって冬(陰)がやってくる。陰と陽は、その程度を変化させながら、バランスをとっている。

次は、『五行学説』の話。この説明が更に難しい。しかし、これも説明しないと本題に入れない。?????と思っても、読み進めてねぇ~。

『五行学説』の『五』は、木・火・土・金(=金属)・水のこと。『五行』とは、5つ物質の特性やイメージのこと。例えば、木や植物は、上や外側に伸びながら成長する。そこから得られる『木』の特性やイメージは、成長、発育、上昇、伸び伸び、ぐんぐん、など。

 

この図は、『五行学説』の中の、『相生関係 そうせい・かんけい』。

『木』が燃えると『火』が起こる。つまり、木は火を生む。木から火への矢印は、それを意味している。

『火』は『木』を灰にして、灰は『土』となる。つまり、火は土を生む。

『土中』から『金属類(鉱物)』が産出される。つまり、土は金を生む。ちょっと、これはこじつけ?

『地層や岩石の割れ目』に『地下水』がある。つまり、金は水を生む。これも無理があるねぇ。

『水』は『木』を成長させる。つまり、水は木を生む。これは理解できる。このとき、『水』は『木』の母であり、『木』は『水』の子である…と、『五行学説』では表現する。

世の中の事象を『五行』の特性にあてはめ、『相生関係』などを説いているのが『五行学説』。古代中国の医学者たちが考え抜いて、あてはめた。

 

例えば、季節を『五行』の『相生関係』にあてはめてみるとこんな感じ。長夏は雨期のこと。深く考えずに、さらっと見てね。

 

五臓六腑の五臓は、こんな図になる。

 

六腑の中の『三焦 さんしょう』(架空の臓器)を取った『五腑』は、こんな図になる。五臓と五腑は、五行ごとにペアになっている。

『木』の特性を持つ、肝(=肝臓)と胆(=胆のう)。

『火』の特性を持つ、心(=心臓)と小腸。

『土』の特性を持つ、脾(=脾臓)と胃。

『金』の特性を持つ、肺と大腸。

『水』の特性を持つ、腎(=腎臓)と膀胱。

 

これは、5つの感情を五行にあてはめている。

怒りすぎると、同じ『木』の特性を持つ、肝や胆に影響を与える。

喜びすぎると、同じ『火』の特性を持つ、心や小腸に影響を与える。

思いすぎると、同じ『土』の特性を持つ、脾や胃に影響を与える。

憂い悲しみすぎると、同じ『金』の特性を持つ、肺や大腸に影響を与える。

恐れ驚きすぎると、同じ『水』の特性を持つ、腎や膀胱に影響を与える。

五行にあてはめられた物象は、同じ特性を持つ物同士の結びつきもある。あー、東洋医学は難しい…。さぁて、やっと本題に入るよぉ!

 

こちらは女性の骨盤の中。膀胱の後ろで、ちょこっとおじぎをしているのが子宮。その両脇に卵巣。子宮の奥にあるのが直腸。

女性生殖器の働きを持つものを、東洋医学では『女子胞 じょしほう』という。

 

ここで腎気(=腎のエネルギー)の登場。女子胞は腎気により成長・成熟し、やがて生理(=月経)が始まり、子どもを産む能力が備わる。受胎すると生理を停め、胎児に栄養を送り育てる。

胎児は子宮の中で、頭を下、お尻を上にして、手足を胸に引き寄せ、丸まった姿勢をとっている。中には、お尻を下、頭を上にした姿勢や、横向きの姿勢の胎児がいる。これが逆子。胎児の頭が下を向いている姿勢だと出産しやすい。反対を向いていると難産になりやすく、帝王切開となることが多い。

 

 

赤いラインは『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』という経絡。目頭と鼻の間にあるツボ『睛明 せいめい』に始まり、足の小指にあるツボ『至陰 しいん』で終わる。経絡は左右対称にあり、片側だけでも63個のツボがのっている。

『至陰 しいん』は、逆子を治すツボとして超有名!このツボにお灸をして、胎児が頭を下にした姿勢に戻るように働きかける。『至陰』は、逆子の灸として、長く語り継がれ、今も実践されている。

なぜ、足の小指にあるツボが女子胞に働きかけられるのか………。『足太陽膀胱経』は体内で膀胱(と腎)につながっているが、女子胞にはつながっていない。

東洋医学では、『胎児のトラブルは、腎気の影響』と考える。注意してほしいが、安易に、腎臓が悪いとは考えないでね。

 

赤いラインは『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』という経絡。足の裏から始まり、鎖骨の下で終わる。体内では腎(と膀胱)につながっている。

経絡には気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養分)が流れている。体表だけでなく、体内の腎にも、気と血を送っている。『足少陰腎経』の上にあるツボに鍼やお灸をして、経絡の流れや腎気・腎の働きをアップさせたくなる。しかし、『五行学説』を思い出してほしい。

 

 

腎と膀胱は(水)に属し、ペアだった。

『足少陰腎経』は陰の経絡。『足太陽膀胱経』は陽の経絡。この2つの経絡は、陰と陽のペア。『陰陽学説』を思い出してほしい。陰と陽はバランスが大事だった。

実は、『足太陽膀胱経』の上にあるツボを使って、『足少陰腎経』や腎、腎気を調整することがある。

あと、もう1つ疑問が残る。片側だけでも63個のツボがある『足太陽膀胱経』。なぜ、『至陰』が選ばれた?ここまで長いブログになったら、最後まで説明しちゃうよぉー。

経絡の中を流れる気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養分)に深くかかわるツボたちを、『五兪穴 ごゆけつ』という。井穴(せいけつ)、栄穴(えいけつ)、兪穴(ゆけつ)、経穴(けいけつ)、合穴(ごうけつ)の5つ。各々、特徴がある。

そして、五兪穴は、『五行学説』とリンクしている。『足太陽膀胱経』のように、陽の経絡は、井金穴、栄水穴、兪木穴、経火穴、合土穴となる。

 

『足太陽膀胱経』の36番目のツボ『委中 いちゅう』は、そのツボの特徴から合土穴とされ、土に属する。

54番目のツボ『崑崙 こんろん』は経火穴であり、火に属する。

61番目のツボ『束骨 そくこつ』は兪木穴であり、木に属する。

62番目のツボ『足通谷 あしつうこく』は栄水穴であり、水に属する。

この経絡の最後、63番目のツボ『至陰』は井金穴であり、金に属する。

 

 

『腎』『腎気』は水に属していた。五行の基本を思い出してほしい。矢印を見ると、『金』は『水』の母。

 

金のツボである『至陰』にお灸をして、水である『腎』『腎気』の働きを調整する。

古典の東洋医学を理解するのは難しいが、逆子の灸として『至陰』が語り継がれ、実践されているのだから、古典も大事なんだなぁ…。

子宮の中で胎児が大きくなり、大きく動けなくなる前までにお灸をする。『至陰』のツボ取り動画を撮ったよ。妊娠も出産もとってもデリケート。ご自分で逆子の灸をしてみたい方は、事前に、必ず、担当の産科医に相談してくださいね。

最高に長い上に、難解なブログを最後まで読んでいただき、ありがとさんです。6月から猛暑とは…。皆さん、体調を崩さないように気を付けてください。福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

 

お灸の魅力…

寒い冬に、当鍼灸院では、お灸が大活躍!

今日は、いろーんなお灸をご紹介します。

 

江戸時代、庶民に親しまれていたお灸は、『点灸 てんきゅう』。

今どきのやり方は、お灸の跡が残らないように、

ツボの上にシールを貼ります。

指でひねったモグサをその上にのせ、

お灸用の線香で火をつけます。

写真のツボは、『至陰 しいん』。

逆子を治します。

ピリッとした熱さがツボの中の中まで、一瞬で伝わるのがいい!

ファンも増えています…。

 

 

今どきでも、シールを貼らずに点灸をするのは、魚の目やタコ。

皮膚が分厚くなっているので、熱さを感じません。

魚の目やタコの部分をこがして乾燥させ、

自然に剥がれてくるのを待ちます。

『焦灼灸 しょうやくきゅう』といいます。

自宅で毎日お灸をしていただくので、根気のいるお灸です。

 

 

誰でも気軽にできるのは、『台座灸 だいざきゅう』。

底にシールがついているから、簡単にできる!

当鍼灸院では、鍼のそばに台座灸をすることもあります。

 

 

もう1つ手軽にできるお灸は『棒灸』。

皮膚から3~5cm離して温めるので熱くありません。

鍼の周りに棒灸をすることも多いです。

鍼とお灸と同時にしたほうが、効き目が強い気がします。

当院で開催しているお灸教室も、棒灸を使っています。

棒灸をしだすと、参加者の皆さんは温かさにひたって、

無言になります。

 

 

モグサでできた棒灸はかなり煙が出ます。

炭でできた棒灸は煙がほとんど出ないので、

自宅でも気軽にできます。

 

 

『箱灸』は五合升の底に直径10cmの穴を開けています。

五合升に入れたパッドの中で、モグサを燃やします。

五合升の底の穴から温かさがじんわりじんわり伝わります。

 

 

当院の一番人気は、『灸頭鍼 きゅうとうしん』。

鍼の刺激と、お灸の輻射熱で、効果バツグン!

これも熱くはありません。

筋肉がカチコチな腰痛や強い冷えにもいいですよ。

ほわんほわんと温まり、保温効果も高い!

お灸をする頃には、ほとんどの方が無口になり、

寝ます…。

コトーは孤独に耐えながら、もくもくとお灸をします…。

 

 

珍しいお灸は、『隔物灸 かくぶつきゅう』かな?

皮膚とモグサの間に物を介するお灸です。

例えば、スライスした生姜やにんにくの上に、

モグサをのせてお灸をします。

 

このように、お灸のやり方はいっぱい!

お一人おひとりの症状や体質などにより、

どの方法が合うか選びます。

熱くないお灸もたくさんあるので、

気軽にお灸に親しんでほしいな…って思います。

最近のマイ・ブーム~点灸(てんきゅう)

『点灸』って、

モグサを指でひねって円錐形にしたものを

ツボの上に置き、線香で火をつける、

お灸の方法です。

皮膚に跡を残さないために、

今は、『灸点紙 きゅうてんし』というシールを

ツボの上に貼り、その上にモグサをのせます。

 

逆子を治すとき、足の小指にあるツボに点灸をします。

ざざっと写真でご紹介!

 

 

まず、足の小指にあるツボ[至陰 しいん]にシールを貼る。

 

 

円錐形に指でひねったモグサをシールの上にのせる。

 

 

モグサの先端にお線香で火をつける。

 

 

 

 

 

写真が暗くてすみませ~ん!

この工程を7回ほど繰り返します。

ピリッとした熱さが、一瞬ツボの奥の奥まで

伝わります。

ツボに効いている~~~!と感じる瞬間です。

 

逆子や生理痛、生理不順、不妊症などの婦人科の症状や、

強い冷え症の方には、ご自分でのお灸もおすすめです。

台座灸は、自分で簡単にできます。

 

 

台座灸。

 

 

「点灸は熱いっ!」と敬遠されがちですが、

普段、台座灸を自分でして、

お灸になれていると、

「点灸のピリッとした熱さが心地いい!」

と言う方が多いですよ。

いつの間にか、点灸をする機会が増えてきました。

 

点灸の心地よさの理由は、もう2つあると思います。

1つ目は、モグサと線香の香り…。

モグサの原料は、ヨモギの葉の裏にある産毛!

 

 

100%産毛のモグサ。

 

 

ヨモギの葉や茎などの不純物が入ったモグサ。

 

 

棒灸や灸頭鍼で使うモグサは、

ヨモギの葉や茎などの不純物が入っています。

点灸で使うモグサは100%産毛!

最高級のモグサです。

燃やした時の香りも上品!

お灸用の線香は、仏事などで使う線香よりも太く、

折れにくく、控えめな香りです。

 

 

心地よさのもう1つの理由は、『間(ま)』です。

モグサを指でひねって半米粒ほどの大きさにしたものを

ツボの上にのせるまでの時間。

モグサの先に線香で火をつけて

ピリッと熱さが伝わるまでの時間。

どちらも、ほんの数秒!

でも、この絶妙な間(ま)が、

心と体をリラックスさせる気がします。

患者さんに点灸をしている自分も

心がなごんでくるから、不思議…。

 

逆子を治すお灸

前回のブログでは、腰痛の鍼灸治療で、

『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』という経絡をご紹介しました。

今回は、その経絡の上にのっているツボ 『至陰 しいん』をご紹介します。

 

『至陰』は逆子を治すツボとして、超有名なツボです。

どこにあるかというと…、

 

 

足の小指の外側にあります。

おなかから離れているのに、なぜ逆子に効くのか?

 

ツボの名前には由来があります。

『至陰』はとってもわかりやすい。

『陰』に至るところ、『陰』に到達するところ。

 

ここで姉妹のツボ・モデル子ちゃん、登場!

 

 

左側が『足太陽膀胱経』。

経絡には陰と陽があり、

この経絡は、名前に『陽』が入っているとおり、陽経の経絡。

この経絡の最後のツボが『至陰』。

『足太陽膀胱経』は、この『至陰』から

陰経の経絡『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』に繋がっています。

右側の手描き図です。

陽経が陰経に到達するツボなので、

『至陰』と名付けられています。

 

これだけでは、逆子に効く説明にはなりませんね。

ここで大事なのは『腎』です。

東洋医学でいう『腎』は、西洋医学でいう『腎臓』とはちょいと違います。

『腎』は、生命力、成長、生殖力の根源である『精 せい』を蓄えています。

生理や妊娠、出産には、腎の十分な働きが欠かせません。

 

その腎に関わりがあるのが『足少陰腎経』という経絡。

そして、この経絡とペアなのが、『足太陽膀胱経』です。

『足太陽膀胱経』の上にのっているツボ『至陰』を

お灸で刺激することにより、

ペアである『足少陰腎経』という経絡の流れも良くして、

この経絡がエネルギーと栄養分を送っている『腎』の機能も良くしよう!

逆子を治すツボとして『至陰』が選ばれる理由は、

そんな考え方からです。

東洋医学ってややこしいですねぇ~。

 

おなかの中の赤ちゃんが大きくなると、

赤ちゃんは窮屈になり、動きにくくなるので、

大きくなる前に『至陰』にお灸をします。

 

 

 

台座灸は、写真のように台座の下にシールが付いているので、

自分でも簡単にお灸ができます。

鍼灸院での治療だけでなく、逆子が元に戻るまで、

毎日自分でお灸をしていただくことになりますが、

まず主治医の先生に相談されることをお勧めします。

 

ツボの名前の由来って面白いですよ。

由来によってはツボの効能までわかり、

治療に用いるツボが選びやすくなります。