コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

【動画で見る!ツボの取り方】呼吸器の症状や首こり・肩こりに働きかけるツボ『中府 ちゅうふ』

赤いラインは、『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』という経絡。体内では肺にもつながっている。イラストには描かれていないが、左にも対称的に『手太陰肺経』はある。鎖骨の外側の下にある『中府 ちゅうふ』というツボに始まり、腕の内側を通り、親指にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わる。この経絡にはツボが11個。左右合わせて22個。

呼吸器(=肺)が不調な時は、この経絡を流れる気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)が滞ったり不足している。そして、経絡上のツボにも反応が現れる。あるツボを押すと、他のツボよりも圧痛が強かったり、皮膚がへこんだり、ざらついたり…。11個のツボのうち、反応が出やすいのが『中府』。『中府』に鍼やお灸をして、風邪や喘息など呼吸器の症状を緩和させる。

大胸筋(だいきょうきん)(オレンジ色)は胸にあり、手作業をする時に働く筋肉。パソコンやスマートフォンなど手作業をしすぎた時には、首や肩だけでなく、この筋肉も凝る。大胸筋の上に『中府』(青丸)があるので、首こりや肩こりの鍼灸治療でも、『中府』に鍼やお灸をして、大胸筋のコリをほぐす。

さて、『中府』という名前の由来の話。『中』は『中焦(ちゅうしょう)の気(=エネルギー)』のこと。『府』は『経絡の気が集結する所』という意味。中焦の気が最初に集まる所なので、『中府』と名付けられた。

東洋医学では体幹の機能を3分割している。横隔膜(紫色)よりも上の胸部を『上焦 じょうしょう』といい、心や肺が含まれる。横隔膜より下でヘソよりも上を『中焦』といい、脾や胃などが含まれる。ヘソよりも下を『下焦 げしょう』といい、小腸・大腸・腎・膀胱などが含まれる。ここで、「あれ?」と疑問に思った方がいるのでは?肺は上焦にあるから『上府』と命名されるべき?

黄色のラインは体内を巡る『手太陰肺経』。中焦から始まり、下って大腸へ。そこから、胃に上り、横隔膜を貫いて肺へ。そして、気管に上り、左右に分かれて脇の下へ向かい、ツボ『中府』で体表に出る。『中府』から、体表の『手太陰肺経』がスタートする。『手太陰肺経』は中焦から始まるので、『上府』ではなく、『中府』という名前がついた。う~~~ん、東洋医学は奥が深い。

『中府』の上に『雲門 うんもん』というツボがある。『雲門』のツボの位置を確認しないと、『中府』のツボを取れない。『中府』のツボ取り方法を動画にしてみたが、説明が難しく、10回ほど撮り直した。苦心の作を見てほしいなぁ~。

次回は特集ブログに戻ります。『大腸』にもつながっている『手陽明大腸経絡 て・ようめい・だいちょうけい』の話となります。よろしくです!福岡市南区にある女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

 

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性②~手太陰肺経

体と心の不調は、気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)が滞った状態。気と血を全身に巡らすのは経絡(けいらく)。気と血のめぐりが悪いと、経絡上のツボに反応が現れる。そのツボに鍼やお灸をして、気と血の巡りを促し、体と心の不調を整える。今回は『肺』の症状と、それらにかかわる経絡とツボについて書いてみようと思う。難しそうだなぁ…。頑張るぞ!

肺は呼吸をつかさどる。肺が不調になると、咳・痰・息切れ・喘息など呼吸器の症状が現れる。また、肺は鼻やのどと関係し、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・声がれ・のどの痛みなどの症状も現れる。

東洋医学からみた『肺』は他の働きもある。

肺を膨らませて空気を吸うときに、『天空の気』というエネルギーを吸い込む。私たちは、口から取り込む飲食物から『後天の精 こうてんのせい』というエネルギーを作り出す。『天空の気』と『後天の精』は合わさり、生命活動を維持するためのエネルギーとなる。肺が不調になると『天空の気』を十分には吸い込めず、エネルギー不足で疲れやすくなる。

肺は全身に水分を巡らす働きもある。肺が不調になると水分が全身を巡りにくくなり、むくみが生じたり、汗が出にくくなる。また、肺は皮毛(ひもう)(=皮膚とうぶ毛)をつかさどる。肺の不調で皮膚が乾燥すると、皮膚のかゆみ・アトピー性皮膚炎・口の渇きなどの症状が現れることもある。

肺は外邪の侵入を防ぐバリアを体表に巡らせ、免疫機能を高めている。肺が不調になるとバリアが弱まり、風邪をひきやすくなったり、花粉症が出ることもある。

五臓六腑は感情と結びつきがある。強い『悲しみや憂い』は肺にダメージを与え、肺の症状が出ることもある。

赤いラインは『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』という経絡。肩の付け根にあるツボ『中府 ちゅうふ』から始まり、腕の前面を下降し、手の親指にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わる。この経絡は体の深部で肺にもつながる。経絡の中を流れる気と血は、体表だけでなく肺にも届く。

『手太陰肺経』の上に、ツボは11個ある。経絡は左右対称にあり、ツボは合わせて22個。肺の不調は、この経絡を流れる気と血が滞った状態。そして、経絡上のツボに反応が現れる。具体的には、押すと他のツボよりも痛みが強い、ツボ周辺の皮膚がざらつく、へこむ、などなど。反応があるツボに鍼やお灸をして、経絡を流れる気と血の量や勢いを調整し、肺の不調を改善する。

反応が現れているツボだけで治療を進めていくわけではない。『風邪をひいて咳や痰・のどの痛みがある、肺がダメージを受けている』とすると、肺にもつながっている『手太陰肺経』の上にあるツボを使って、症状を改善させる。ツボは1つ1つ特徴がある。咳・痰・のどの痛みを鎮める作用をもつツボ『太淵 たいえん』を使おうか、『尺沢 しゃくたく』がいいかな…。諸々の症状に合うツボを選ぶ。

この経絡は体表では腕を通っているので、腕コリ、指コリ、肩コリ、首コリの治療にも、この経絡上のツボを使う。コトーがよく使うツボは『中府 ちゅうふ』。

 

大胸筋(だいきょうきん)という筋肉は胸にあり、手作業をするときに働き、コリやすい。その大胸筋の上に『中府』がある。

今回のブログで紹介した『太淵』『尺沢』『中府』のツボ取り動画を自撮りしたよ。『中府』はツボの取り方がややこしく、10回ほど撮り直した。専門的なことを分かりやすく伝えるのは、動画もブログも難しい。3本の動画はブログとYou Tube チャンネル≪レディース鍼灸ことうプラス≫に載せるよ~ん。

特集ブログは始まったばかり。よろしくです!福岡市南区にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

特集~慢性呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ④

今回の特集ブログで登場していただいたTさん。

呼吸器疾患をわずらって17年。

慢性の首こり・肩こり・頭痛に困って、昨年12月に当鍼灸院に来られた。

 

 

呼吸をするとき、胸郭の動きが乏しく、呼吸は浅い。

左肺を3分の1摘出し、左胸郭の動きはほとんどない。

声も小さい。

長年の息苦しさや咳込み、痰などが原因で、

呼吸補助筋の筋疲労が著しく、

慢性的な首こり・肩こりと、それに伴う頭痛におちいっていた。

呼吸が楽にならないと、それらは根本的には改善しない。

 

 

カチコチになっている呼吸補助筋を鍼治療でゆるめた。

肺に炎症を起こしていたので、煙が出る灸治療は行っていない。

初回から呼吸が楽になった!と実感された。

 

 

5日に1回のペースで治療。

呼吸補助筋に柔軟性が出て、

呼吸時の胸郭全体の動きが拡大し、

左胸郭の動きも出てきた。

開始当初よりも呼吸が深くなり、

呼吸の楽さが持続するようになった。

 

 

今まで、3回ほど咳込まないと痰が出せなかったが、

1回の咳で痰が出せるようになった。

呼吸補助筋の筋疲労を起こしにくくなり、

首こり・肩こり・背中こりが軽減した。

咳込みに伴う頭痛もなくなった。

インターフォン越しの声も聞き取りやすい。

「主人にもうるさいって言われた」と、

嬉しそうに話すTさんが印象的だった。

 

 

私の前職は理学療法士。

20年間、呼吸リハビリテーション(呼吸筋のリラクセーション、

胸郭運動、排痰など)に携わってきた。

その頃、『呼吸改善に鍼治療』という概念は私にはなかった。

昨年、Tさんと出会い、

『鍼治療で呼吸困難にアプローチする』という貴重な機会を得た。

鍼灸にはいろいろな可能性があり、

多角的な視点でアプローチすることの大切さを痛感した。

 

 

もちろん、鍼治療が適応できない呼吸器疾患があるかもしれない。

全身状態と呼吸機能を事前に評価し、

鍼治療ができるかどうかの判断が必須である。

また、慢性の呼吸器疾患の方は、痩せて胸板が薄く、

呼吸補助筋の筋委縮や硬直を起こしていることも多い。

鍼治療には経験が必要だと思う。

 

 

今回の特集ブログでは、Tさんに全面的に協力していただいた。

深く感謝いたします。

これからもTさんとともに呼吸器疾患と戦います!

Tさんに鍼治療の感想を聞いてみました。

ぜひ、『患者様の声』のページもご覧ください。

 

 

空気が冷たいと気管が縮こまり、

呼吸器疾患の方は息がしにくいこともある。

梅がほころび始めた。

春近し…。

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ③

咳が止まらず息苦しい…。

夜中に咳で目が覚め、ぐっすり眠れない…。

痰が切れずに息苦しい…。

ちょっと動いただけで息苦しい…。

息苦しくなるから外出できない…。

仕事や家事、育児などの日常生活にも支障をきたしている…。

慢性の呼吸器疾患があると、呼吸のトラブルだけでなく、

長期間に渡って生活も制限され、精神的ストレスも大きい。

 

 

<胸郭>

左右12本の肋骨と、背骨と、胸骨、そして横隔膜と肋間筋。

これらを合わせて『胸郭 きょうかく』という。

肺はこの胸郭の中におさまっている。

肺は自分で動かすことができない。

横隔膜という筋肉が主体となって、胸郭を動かすことにより、

肺をふくらませたり、しぼませている。

横隔膜は24時間無休でも平気な筋肉構造になっている。

 

 

全速力で走った後や呼吸にトラブルがあると、

もっと空気を吸おう!吐こう!と、胸郭をより動かそうとする。

このときに助っ人となるのは呼吸補助筋。

 

 

努力して空気を吸うときにサポートする筋肉は10個以上!

これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらに拡がり、

より多くの空気が肺に入ってくる。

努力して空気を吐くときにサポートする筋肉も10個近くある!

これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらにせばまり、

より多くの空気が肺から出ていく。

 

 

呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすことがメインの仕事で、

年中無休の筋肉構造にはなっていない。

そのため、呼吸で年中稼働していると、筋疲労を起こす。

筋肉のコリや痛みを感じるだけでなく、

筋肉に弾力性がなくなり、

胸郭を動かす補助が充分にはできなくなる。

つまり、努力性の呼吸をしても、

より多くの空気を吸ったり吐いたりすることができない。

 

 

では、呼吸補助筋をいくつかご紹介しよう。

まずは、努力して吸うときのサポート軍団!

 

 

<僧帽筋の上部線維>

僧帽筋(そうぼうきん)の上部線維(オレンジ)。

イラストでは左だけだが、もちろん右にもある。

本来、肩を上げる筋肉。

頭蓋骨(うなじ)と首の骨から、鎖骨についている。

肩が上がると胸郭も肺も上に拡がり、空気をさらに吸える!

ただし、休みなく呼吸に使っていると、筋疲労で肩こりとなる。

 

 

<胸鎖乳突筋>

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は本来、首を曲げる筋肉。

胸骨と鎖骨から、頭蓋骨(耳の下)についている。

この筋肉が働くと胸郭も肺も上に拡がり、

吸うときのサポーターにもなる。

ただし、呼吸に年中頼られると筋疲労を起こし、

慢性的な首こりになる。

 

 

<最長筋>

直立姿勢を保つために、背骨にはたくさんの筋肉がついている。

そのうちの1つ、最長筋(さいちょうきん)。

メインの仕事は背中を伸ばすこと。

背中をそらすことにより胸郭と肺を広げ、

吸うときのサポーターにもなる。

この筋肉も年中呼吸に頼られると筋疲労を起こし、

慢性の背中こりになる。

 

 

さて、次は空気を努力して吐き出すときにサポートする筋肉を紹介!

 

<腹直筋>

腹直筋(ふくちょくきん)は背中を丸めるときに働く。

腹圧がかかるので、空気を履くときに胸郭と肺をしぼめやすい。

やはり、呼吸や咳こみ、排痰(痰を出すこと)で使いすぎると、

筋肉痛になる。

 

 

<内腹斜筋、外腹斜筋>

イラストでは右に内腹斜筋(ない・ふくしゃきん)(青)、

左に外腹斜筋(オレンジ)があるが、どちらも左右両方にある。

これらの筋肉も腹直筋と同じような働きをし、

吐くときの助っ人にもなる。

 

 

慢性の呼吸器疾患では、呼吸補助筋の筋疲労をとり、

胸郭の動きを拡大することが大切。

それが肺の動きの拡大となり、

楽な呼吸、楽な咳、楽な排痰、楽な動作に結びつく。

 

 

最終回の次回は、17年間呼吸疾患をわずらっている

Tさんへの鍼灸治療をご紹介!!!

呼吸補助筋の筋疲労に対して、鍼治療をしています。

今までの特集ブログの中で、一番とっつきにくく、

わかりにくいテーマですが、

もうちょっとおつきあいください!

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ②

肺は自分では動かせない。

では、どうやって空気を吸うときに肺をふくらませ、

吐くときに肺をしぼませるのか…。

 

<胸郭・前面>

左前の肋骨と、胸骨の左前半分を取り除いた図。

左右12本の肋骨は、前方中央で胸骨と関節をつくり、

後方中央では背骨と関節をつくっている。

肋骨と肋骨の間には、外肋間筋(がい・ろっかんきん)と

内肋間筋という筋肉がついている。

肺は肋骨の中におさまり、肺の下には横隔膜。

この横隔膜と外肋間筋を使って、

肺をふくらませたり、しぼませている。

 

 

<腹式呼吸・吸気>

胸骨・肋骨・背骨・肋間筋・横隔膜で構成された空間(水色枠)を

胸腔(きょうくう)という。

横隔膜という筋肉が働くと、横隔膜自体は引き下げられ、

その分、胸腔の体積は上下方向に増える。

胸腔の拡がりによって肺がふくらむ。

これが腹式呼吸の吸気。

 

 

<胸式呼吸・吸気>

このイラストでは外肋間筋は左横にしかついていないが、

実際は肋骨全体ついている。

外肋間筋の働きが加わると、樽上の肋骨が拡がり、

胸腔の体積は上下・左右・前後方向に増える。

肺もさらにふくらみ、空気もたくさん肺に入る。

これが胸式呼吸の吸気。

 

 

 

空気を吐くときはどうするか…。

簡単!

横隔膜と外肋間筋をゆるませるだけ。

 

 

<腹式呼吸・呼気>

横隔膜がゆるむと、横隔膜自体は引き上げられ、

その分、胸腔の体積はせまくなり、肺もせまくなり、

空気は気管へと押し出される。

 

 

<胸式呼吸・呼気>

外肋間筋がゆるむと、拡がっていた肋骨は元に戻り、

胸腔はせまくなり、肺の中の空気はさらに気管へと

押し出される。

 

 

普段、腹式呼吸と胸式呼吸は併用されているが、

呼吸運動は横隔膜が主体!

横隔膜は呼吸をするために生まれてきた筋肉。

24時間無休でも、へっちゃらな筋肉構造になっている。

 

 

全速力で走った後など息切れをしたときに、

ヒトは肩を上下に動かして呼吸を整えようとする。

これは、肩を引き上げる筋肉を使って、胸腔をもっと拡げて、

もっと空気を吸おうとするから…。

努力をして呼吸をするときには、呼吸補助筋が呼吸運動を手伝う。

 

 

慢性の呼吸器疾患があると、常に努力性の呼吸を強いられがち…。

呼吸補助筋も働きっぱなし…。

呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすのがメインの仕事で、

24時間無休でも平気な筋肉構造にはなっていない。

そのため、筋疲労を起こしやすい。

 

 

前回のブログでご紹介したTさんも、

努力性の呼吸による、呼吸補助筋の筋疲労が著しかった。

次回は、慢性の呼吸疾患に伴いやすい努力性の呼吸と、

それに対する鍼灸治療を書こうと思います!

よろしくです!!!