ヒトが呼吸のために吸い込む空気は、
1日約1万1000リットル!
1回吸うたび、あるいは吐くたびに、空気は約500ml出入りする。
では、なぜヒトは呼吸をするのか。
鼻や口から吸いこまれた空気は気管を通り、
肺へたどり着く。
肺の中では気管支が細かく枝分かれ、
それらの末端に肺胞(はいほう)がある。
その肺胞まで空気は運ばれる。
肺の中を拡大して見てみよう!
気管支が肺全体に行き渡っている。
サンゴ礁みたい!
どの気管支の末端にも肺胞がびっしりついている。
肺胞を拡大して見てみよう!
葡萄のフサのように肺胞がひしめきあって、
気管支末端についている。
両肺に肺胞は約6億個!
1つ1つの肺胞は袋状になり、外側はマスクメロンみたい!
肺胞の壁には毛細血管がへばりついている。
肺胞にたどり着いた空気(酸素)は、この毛細血管に吸収される。
酸素と血液が毛細血管の中を、
やがて肺動脈の中を、
そして全身の動脈の中を流れていく………。
ヒトの体は内臓も皮膚も骨も筋肉もすべて、
いろーんな細胞が集まって構成されている。
細胞の隣には動脈も静脈もある。
1つ1つの細胞は、隣の動脈の中から酸素を取り込み、
エネルギーをつくる。
そのとき、二酸化炭素が発生し、
細胞の隣にある静脈に二酸化炭素を渡す。
つまり、細胞も呼吸をしている!
細胞からもらった二酸化炭素は血液とともに
静脈を流れ、やがて肺にたどり着く。
毛細血管の中に流れ着いた二酸化炭素は
肺胞の壁から吸収される。
肺胞に入った二酸化炭素は気管支、気管を通り、
鼻や口から体外に排出される。
私たちの体の中ではこのようなシステムが
1日中、休むことなく稼働している。
昨年末、首こり・肩こりに悩むTさんが当鍼灸院に来られた。
Tさんは17年前に肺の病気にかかった。
ヒトに感染するものではなかったが、
慢性的な痰やせき込み、息苦しさで、
今も日常生活は制限されている。
これらの症状の影響で、
呼吸にかかわる筋肉が疲労し、
慢性的な首こり・肩こりにも陥っていた。
呼吸にかかわる筋肉を鍼でゆるめると、
呼吸が深くなり、息苦しさも減り、
楽に呼吸できるようになってきた。
痰も出しやすい。
首こり・肩こりも減ってきている。
私の前職は理学療法士。
20年間呼吸リハビリテーションにも携わっていたが、
呼吸機能改善に鍼治療という概念はなかった。
「同じように呼吸で苦しんでいる人たちに、
鍼治療もあることを知ってもらいたい!」
そんな、Tさんと私の熱い思いから、この特集ブログを組むことになった。
かなり難しい内容になりますが、どうぞおつきあいください。
次回は『特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ』
第2弾、呼吸運動についてご紹介します。