【食欲不振・食欲がない・おなかが空かない】東洋医学の診かた&鍼灸治療&セルフお灸
食欲不振の原因
冷たいもの・生もの・辛いもの・味が濃いもの・脂っこいもの・お酒の摂りすぎ。偏食。もともと胃腸の働きが弱い。強い、精神的ストレスや肉体的ストレスをかかえている。睡眠不足など生活が不規則。胃・腸・肝臓・膵臓・肺・心臓などに、慢性的な病気をかかえている。
「食べたくない」「おなかがすかない」といった食欲不振の原因は、多岐に渡る。
食欲不振の東洋医学の診かた
食欲不振を、東洋医学では、五臓六腑の中の 胃 と 脾(=脾臓) の働きの停滞…と診る。
東洋医学から見た『胃』の働き
1.口から入った飲食物を胃に納める。
2.食べ物を消化し、ドロドロの状態にする。
3.ドロドロになったものを腸に送る。
胃を働かせる気(=エネルギー)、『胃気(いき)』の役割
上記の、3つの、胃の働き に必要不可欠なものは、胃気 。胃気には、下降させる という特徴がある。
口から取り込んだ飲食物を、胃気は下降させ、胃に送り込む。胃の中でドロドロになったものを、胃気は下降させ、腸に送り込む。
東洋医学から見た『脾』の働き
1.胃でドロドロになったものは、脾で更に消化され、水穀(すいこく)の精微(せいび) を作り出す。これは、あらゆるエネルギーと栄養のこと。気 と呼ばれるエネルギーも、血(けつ) と呼ばれる栄養も、水穀の精微 から作られる。
2.脾は、水穀の精微 を全身に運ぶ。
3.脾は、水液 を全身に運ぶ。また、いらなくなった水分を尿や汗として外に出す時に、脾がサポートする。
脾を働かせる気、『脾気』の役割
脾気には、上昇させる という特徴がある。
1.脾で作られた 水穀の精微 は、脾気の力を借りて、上部にある心(しん)(=心臓)・肺・頭・顔に運ばれる。
2.重力によって内臓が下がらないように、脾気の引き上げる力で、内臓は正しい位置に保たれている。
3.経絡を流れる血(けつ)(=栄養)は、正常であれば、外に漏れることはない。脾気が経絡に働きかけ、血が外に漏れないようにしている。
食欲不振の鍼灸治療①~『足陽明胃経』のツボを使う
赤いラインは、足陽明胃経(あし・ようめい・いけい) という経絡。この中を 血 と 気 が流れる。左右対称にある。この上に、(片側)45個のツボがのっている。
体内(赤いライン)では、胃 と 脾 にもつながっている。胃 と 脾 は、表裏関係にあり、2つの臓器は経絡で結ばれている。
ツボの1つ1つに特徴や働きがある。足陽明胃経 の中で、個々の食欲不振に合ったツボを選び、鍼やお灸をして、弱った 胃・胃気・脾・脾気 の回復をはかる。
食欲不振の鍼灸治療②~『足太陰脾経』のツボを使う
足太陰脾経(あし・たいん・ひけい) という経絡も、左右対称に1本ずつあり、片側21個のツボがのっている。
体内では、脾・胃・舌・心(しん)(=心臓)にもつながる。足陽明胃経 と同様に、個々の食欲不振の状態に合ったツボを選び、弱った 脾・脾気・胃・胃気 を回復させる。
食欲不振の鍼灸治療③~『足太陽膀胱経』のツボを使う
足太陽膀胱経(あし・たいよう・ぼうこうけい) という経絡には、五臓六腑に働きかけるツボがたくさん。胃兪(いゆ)・脾兪(ひゆ)というツボが背中にある。背中にあるツボは、よく使う。
食欲不振の鍼灸治療④~『任脈 にんみゃく』のツボを使う
精神的ストレスが強かったり、胃の症状があると、この 任脈 の腹部あたりが、ピアノ線のように硬くなりやすい。鍼やお灸で、それをほぐすのもかかせない。
食欲不振の治療とセルフケア
丁寧な問診と触診で、食欲不振の原因をさぐり、それに合ったツボを使って、鍼灸治療をする。鍼灸は万能ではない。胃腸症状が強かったり、急激な体重減少を伴う場合は、専門医に診てもらおう。暴飲暴食や不規則な生活が、食欲不振の原因であれば、まず、それを見直そう。
ツボ『足三里』へのセルフお灸
足三里 (膝下の赤丸)というツボは、足陽明胃経 の上にある。胃や脾だけでなく、腸・肝・胆・膵など、消化器全般に働きかける 頼もしいツボ 。もともと胃腸が弱い方は、毎日、ここに、1回、お灸をして、胃腸の調子を整えるのもおすすめ。
とっても頼もしいツボだが、ツボの取り方が難しい…。動画『足三里のツボ取りのコツ』を載せておくね~。
今日、福岡は真夏のように蒸し暑い。まだまだ、熱中症に気を付けよう。福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。