コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

【梅雨バテ②】【夏バテ】湿邪と暑邪と寒邪による症状(だるさ・むくみ・片頭痛・のぼせ・胃もたれ・食欲不振・疲れやすさ・夏の冷え)への鍼灸治療

梅雨と猛暑の不調は、湿邪(しつじゃ)と暑邪(しょじゃ)と寒邪(かんじゃ)が引き起こす

気候の変動が激しいと、体の抵抗力が落ち、体調を崩したり、病を引き起こすことがある。東洋医学では、『外感病 がいかんびょう』という。

『外感病』の原因には、『風邪 ふうじゃ』『寒邪』『暑邪』『湿邪』『燥邪 そうじゃ』『火邪 かじゃ』がある。

湿度の高い日が続く梅雨に、体の抵抗力が落ちると、『湿邪』の影響を受けやすくなる。そして、高温の日が続く夏に、体の抵抗力が落ちると、『暑邪』の影響を受けやすくなる。本来、『寒邪』は、冬に登場するが、効きすぎた冷房や、冷たい飲食物の摂りすぎで、夏にも登場するようになった。

 

湿邪が引き起こす症状(体が重だるい、むくむ、下痢をする、関節が痛い、など)の鍼灸治療

赤いラインは、『足太陰脾経 あし・たいん・ひけい』という経絡。体内では、臓器の『脾』とつながる。

湿邪によって、この経絡の中を流れる気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)が滞り、『脾』の働きが鈍くなる。経絡の上にあるツボへ、鍼やお灸をして、『気』と『血』の流れと『脾』の働きを促し、湿邪による症状を緩和させる。

 

気温や気圧の変動が激しい梅雨に起きやすい『片頭痛』の鍼灸治療

 

赤いラインは、『足少陽胆経 あし・しょうよう・たんけい』という経絡。この経絡は、側頭部を行ったり来たりしているのが特徴。片頭痛では、こめかみが痛くなるので、『足少陽胆経』の上にあるツボに、鍼やお灸をする。

片頭痛持ちさんは、首こりや肩こりを伴っている方が多い。鍼やお灸で、首や肩のこわばった筋肉をほぐすことも必須!

 

暑邪による『のぼせ』の鍼灸治療

更年期に『のぼせ』や『ホットフラッシュ』の症状があると、夏に熱がこもって、症状がきつくなる方がいる。熱を外に出す作用のあるツボを 使って、夏の『のぼせ』を解消する。

 

暑邪と湿邪による『胃もたれ』『食欲不振』の鍼灸治療

暑邪に湿邪を伴うと、胃腸の調子を崩しやすい。

赤いラインは、『足陽明胃経 あし・ようめい・いけい』という経絡。体内では、胃につながっている。

この経絡上のツボに鍼やお灸をして、胃腸の働きを整え、胃もたれや食欲不振など胃腸のトラブルを解消する。

 

湿邪と暑邪による『疲れやすさ』の鍼灸治療

関連記事 【梅雨バテ①】自律神経の乱れが引き起こす『だるさ』『疲れやすさ』『眠気』のセルフケア で紹介したセルフケアをしても、なかなか『疲れやすさ』が取れない時は、エネルギーを補給するツボに鍼やお灸!

 

セルフお灸をするなら、足の裏にあるツボ『湧泉 ゆうせん』がおすすめ。ツボの位置を間違えやすいので、関連動画 【動画で見る!ツボの取り方】疲労回復のツボ「湧泉」 を見てね。

手のひらにも、疲労感や夏バテ解消のツボがあるけれど、まだ、ツボ取り動画を撮っていなかった!撮ったら紹介するよ~。

 

寒邪による『夏の冷え』の鍼灸治療

筋肉は動かすと熱を作る。冷え症さんは、筋肉量が少ない方が多く、体の中から熱を作り出しにくい。炎天下で体を動かすのはきついが、冷房が効いた部屋では、できるだけ体を動かし、筋肉を使おう!

湿邪を伴う寒邪は、お腹や下肢を冷やす。

東洋医学から見た『元気なおなか』は、少し盛り上がり、弾力性がある。おなかがへこみ、硬い、あるいはプニョプニョ柔らかすぎ、冷たい場合は、『気(=エネルギー)不足』と『冷え』が考えられる。

 

ツボモデル君の背中を温めているのは、棒灸(ぼうきゅう)。モグサを固め、和紙でくるみ、タバコ状にしたお灸。皮膚から少し離して温める。

この棒灸を使って、しっかりお腹を温め、気不足と冷えを解消する。

効きすぎる冷房では、足元が一番冷えるので、先ほど紹介したツボ『湧泉』のセルフお灸もおすすめ。

湿邪が加わった暑邪は、暑邪単独よりも手ごわい!高温・高湿のこの夏は、今までの夏以上に、体調管理に気を配ろう!

 

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【動画で見る!ツボ取り・ツボまっさーじ・セルフお灸のコツ】夏バテ・慢性疲労に働きかけるツボ『注夏 ちゅうか』

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福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

【むくみ】むくみの鍼灸治療②~水分代謝の働きを持つ臓器・経絡・ツボを使った鍼灸治療

 

むくみの鍼灸治療法は、2種類

1つ目は、筋肉のポンプ作用に注目した鍼灸。

長時間、座りっぱなしや立ちっぱなしで、夕方になると脚がむくむけれど、翌朝起きたら、むくみは解消している…。そんな方は、こわばった脚の筋肉を鍼灸でほぐし、筋肉のポンプ作用を復活させて、むくみにくい脚にしたい!

2つ目は、水分代謝の働きを持つ臓器・経絡・ツボに注目した鍼灸。

今回の動画では、2つ目の鍼灸方法を紹介。分かりやすく語ろう!と何度も台本を書き直したが、東洋医学を説明するのは難しい。肺と脾(=脾臓)と腎(=腎臓)の、『水分代謝の働き』が弱まって、体内に余分な水分がたまり、むくみが生じる…って、理解しにくいよねぇ~。

3つの臓器の働きをもっと知りたい方は、下記の関連記事をご覧ください。西洋医学と共通することもあれば、えええっーと驚く働きもあるよ。

なが~~~~い動画を見ていただき、ありがとさんです。小道具(手持ちカード)を作るのに手間取ったが、工作は好きなので、楽しかった!カードが大きく、画面からはみ出しそうになった!ハハハーッ!

福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

【むくみ】むくみの鍼灸治療①~脚のこわばった筋肉をほぐして、水はけをよくする

2種類の鍼灸治療

むくみの鍼灸治療は、2種類。1つ目は、筋肉のポンプ作用に注目した鍼灸。2つ目は、五臓六腑と経絡とツボに注目した鍼灸。この記事では、筋肉のポンプ作用に注目した鍼灸を紹介するよ~。

 

むくみの成り立ち

私たちの体のパーツ、脳・皮膚・骨・筋肉・内臓など、すべてのものは、細胞がたくさん集まってできている。

口から取り込んだ飲食物に含まれる水分は、動脈の中を血液とともに流れ、全身の細胞に吸い込まれる。細胞から出た『古く、いらなくなった水分』は、上のイラストのように、近くの静脈やリンパ管に吸い込まれ、古くなった血液とともに、心臓へ戻っていく。

静脈やリンパ管の流れが悪いと、『いらなくなった水分』は吸収しきれず、細胞と細胞の間にたまり、むくみとなる。

 

筋肉のポンプ作用がむくみの解消と予防になる

筋肉がリズミカルに動けば、その隣にある静脈やリンパ管は押されて、中を通る血液や水分の流れが促される。そして、細胞の外にある、『古く、いらなくなった水分』は静脈やリンパ管に吸収されやすく、むくみは生じにくい。

脚の筋肉が硬くなり、弾力性を失うと、この『ポンプ作用』が働きにくく、静脈やリンパ管の流れが悪くなる。

鍼灸治療でこわばった筋肉をほぐし、脚を動かした際の『ポンプ作用』を復活させる。すると、『古く、いらなくなった水分』を静脈とリンパ管は吸収しやすくなり、むくみが解消される。

 

こわばりやすい脚の筋肉①~大腿四頭筋(だいたい・しとうきん)

右脚前面のイラスト。

太ももの前にある筋肉『大腿四頭筋』。4本の筋肉の総称で、脚の中では一番大きい。大腿四頭筋は、膝を伸ばす時に働く。

 

こわばりやすい脚の筋肉②~ハムストリングス

右脚後面のイラスト。

太ももの後面にある筋肉『ハムストリングス』。『大腿二頭筋』『半腱様筋 はんけんようきん』『半膜様筋 はんまくようきん』の3本あわせて、『ハムストリングス』という。膝を曲げる時に働く。

 

大腿四頭筋とハムストリングスの相反関係

膝を伸ばして床に座り、右横から見たイラスト。

膝を伸ばす時は、赤色の『大腿四頭筋』が働いて縮まり、青色の『ハムストリングス』が緩んで伸びる。逆に、膝を曲げる時は、青色の『ハムストリングス』が働いて縮まり、赤色の『大腿四頭筋』は緩んで伸びる。

このように、膝を動かすと、太ももの前後の筋肉の『ポンプ作用』が発揮され、近くにある静脈やリンパ管が押され、中を通る血液や水分が心臓へ戻りやすくなる。そして、細胞の外に出された水分も、静脈やリンパ管に吸い込まれやすくなり、むくみにくい。

膝を動かさなかったり、太ももの筋肉たちがこわばっていると『ポンプ作用』が働きにくい。むくみは強まってしまう。

 

脚のこわばりやすい筋肉③~前脛骨筋(ぜん・けいこつきん)

右脚前面のイラスト。

すねの部分にある筋肉『前脛骨筋』。足首から足先までを『足の甲』の方向に曲げる時に働く。

 

脚のこわばりやすい筋肉④~下腿三頭筋(かたい・さんとうきん)

右脚後面のイラスト。

ふくらはぎにある筋肉『下腿三頭筋』。『ヒラメ筋』と『腓腹筋 ひふくきん』をあわせて、『下腿三頭筋』という。足首から足先までを、足裏方向に伸ばす時に働く。

つま先立ちになる時、ぐっと働く。その時、『前脛骨筋』は、緩んで伸びる。逆に、立位で、つま先を上げて踵で体重を支える時は、『前脛骨筋』が働いて縮み、『下腿三頭筋』は緩んで伸びる。

このように、足首を動かすと、すねとふくらはぎの筋肉の『ポンプ作用』が働く。

足首をあまり動かさなかったり、これらの筋肉がこわばっていると、『ポンプ作用』が働きにくく、膝から下のむくみが生じやすい。

 

こわばった脚の筋肉をほぐす鍼灸治療

脚の筋肉は大きく太いので、鍼とお灸のセットがおすすめ。鍼先にモグサを差し込み、お灸もする『灸頭鍼 きゅうとうしん』は、分厚い『大腿四頭筋』もほぐしやすい。

せっかく、こわばった筋肉を鍼灸でほぐしても、『ポンプ作用』を働かせないと、むくみはぶり返しやすい。『脚の筋肉を動かすぞー!と意識しながらの散歩』など、脚を適度に動かすことを日課にしたい。

 

補足①~むくみを引き起こしている『こと』に対しての鍼灸アプローチ

冷えや疲労・ストレスなどが、血行不良や筋肉のこわばりに結びつき、むくみのきっかけになっていることもある。そのため、それらの要因に対しても、鍼灸治療で改善することはかかせない。

 

補足②~病気による『慢性的なむくみ』は、専門医による治療が必要

下肢静脈瘤(かし・じょうみゃくりゅう)や、深部静脈血栓症(しんぶ・じょうみゃく・けっせんしょう)など、『病気』が原因で、慢性的なむくみが生じている場合は、専門医による治療を受けないと、むくみは解消されない。

 

福岡県福岡市にある女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

【動画で見る!ツボの取り方】胃痛や胃もたれ、脚の疲れ、健康の維持・増進に働きかけるツボ『足三里 あしさんり』

足陽明胃経(あし・ようめい・いけい)という経絡

 

赤いラインは、『足陽明胃経 あし・ようめい・いけい』という経絡。体内では胃とつながり、気(=エネルギー)と血(けつ)(=えいよう)を胃にも送る。

胃の調子が悪いと、この経絡の流れが滞る。そして、経絡上にあるツボに反応が現れる。ツボを押すと他のツボよりも圧痛が強い、ツボ周辺の皮膚がへこむ、ざらつく、などなど。

 

ツボ『足三里』の働き

45個あるツボの中で、反応が出やすいのが『足三里 あしさんり』(赤丸)。このツボに鍼やお灸をして滞った経絡の流れを促し、気と血を十分に胃にも送り、胃の調子を整える。

また、胃だけでなく、腸・肝・胆・膵など消化器全般に働きかける頼もしいヤツ!すねにあるので脚の疲れや痛み、運動麻痺などにも用いられる。脚のむくみや冷えにもよく使うなぁ~。

 

ツボ『足三里』にまつわる思い出

コトーは鍼灸修行で中国に滞在中、毎日『足三里』にお灸をしていた。胃の調子が悪かったわけではない。『足三里』は無病長寿!健康維持!増進!にも働きかけるツボ。留学先で体調を崩さないようにお灸をしていた。

おかげで大病もせず…と言いたいところだが、夏風邪で高熱を出し、真冬の北京旅行でインフルエンザにもかかったなぁ…。ハハハハハーッ!

 

『足三里』のツボ取りの難しさ

青丸は『膝眼 しつがん』というツボ。そこから指4本分下に『足三里』(赤丸)がある。2つのツボを取る必要があるので、『足三里』のツボ取りは難しい。簡易的な方法もあるが、ツボの位置がずれやすい。

難しくても、コツをつかんで何度も探していると、分かるようになるよー!下記のツボ取り動画を見てね!

関連記事

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性④~足陽明胃経・前編

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性④~足陽明胃経・後編

福岡市南区にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

 

『足三里』ツボ取りのコツ動画

特集~梅雨バテの話②~湿邪(しつじゃ)と鍼灸

冬の寒さが厳しすぎる…。

春の寒暖の差が激しすぎる…。

夏なのに涼しすぎる…。

気候の著しい変化に、体の抵抗力が落ち、

体調を崩すときがあります。

東洋医学では、『外感病』といいます。

外感病の原因となるものは、

風邪(ふうじゃ)、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪の6つ。

 

 

湿度が高く雨が長く続くこの時期に登場しやすいのは、

湿邪。

湿邪にノックアウトされると、水分代謝が落ち、

むくみやすくなります。

湿邪の『下注性』という性質から、

上半身よりも下半身がむくみます。

『重濁性』という性質もあり、

頭や体が重く、四肢がだるくなることもあります。

『粘滞性』という長くとどまる性質もあり、

症状は治りにくく、

繰り返しやすいとも言われています。

 

 

湿邪によってダメージを受けるのは『脾』。

ここで述べている『脾』は、東洋医学用語。

東洋医学の『脾』と西洋医学の『脾臓』とでは、

とらえ方が異なります。

梅雨にむくむから脾臓が悪い…とは思わないでくださいね。

 

 

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赤いラインは『足太陰脾経 あし・たいん・ひけい』という経絡。

足の親指から始まり、脚の内側、体幹前面と上り、

肋骨の外側で終わります。

この経絡は五臓六腑の『脾』にもつながっています。

経絡は、気(エネルギー)と血(けつ)(栄養分)を

臓器にも送っています。

 

 

『足太陰脾経』の上にあるツボに鍼やお灸をすることにより、

経絡の流れを改善し、

『脾』に活力を与え、湿邪を退散させます。

 

 

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これは、台座灸。

台座の上にモグサがのっています。

台座の底にシールがついているので、

ツボにのせやすいです。

「梅雨になると脚のむくみがひどくなる…」

そんな方には、根気強く自宅で台座灸をするのもおすすめです。

 

 

コトーは20代のとき、脚のむくみがひどく、

鍼灸院でツボの取り方とモグサのひねり方を教わり、

せっせとお灸をしていました。

その頃は理学療法士の仕事に情熱を傾け、

まさか鍼灸師になるとは思ってもみませんでした…。

人生、どうなるかわかりませんね~~~。