口から取り込んだ飲食物は消化され、栄養分は吸収され、全身に運ばれる。不要な物は尿と便になり、体外に排出される。

一連の食物代謝にかかわる臓器は、胃・小腸・大腸・腎・膀胱・脾・肺・肝・心(しん)(=心臓)、三焦(さんしょう)。あっ!ここで注意してほしいことが1つ。臓器の働きは、東洋医学と西洋医学で共通することもあれば、東洋医学独自の見方もある。食物代謝で、脾・肺・肝・心・三焦がかかわるのは、東洋医学独自の見解。

三焦は、特定の臓器ではない。『気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養分)と津液(しんえき)(=水分)を作り出し、全身に行き渡らせる』機能全般を指す。ややこしいねぇ…。

『腎が尿を作り、膀胱へ送る』機能は、東洋医学と西洋医学の共通点。前回のブログで紹介した、『腎が精(=精気 せいき)を貯蔵する』機能は、東洋医学独自のもの。

あと、もう1つ、腎の機能で大事なのは、『固摂作用 こせつ・さよう』。腎には『しまいこむ』性質がある。尿や便・血(けつ)、精などが、保管されている場所から漏れ出ないようにする。そして、必要な時に、そこから出す。食物代謝にかかわる臓器1つ1つに目を配り、食物代謝全般を腎はコントロールしている。これも、東洋医学独自の見方。

東洋医学において、腎は生命活動に深くかかわる臓器。そのため、様々な機能が落ちてくる中高年の方の鍼灸治療では、『腎』の状態を常に気にかけている。また、若者であっても、体力や気力、治す力が落ちている時には、鍼灸で、腎の力を底上げする。

 

腎と直接つながっている経絡は、『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』。足の裏にあるツボ『湧泉 ゆうせん』から始まり、鎖骨の下にあるツボ『兪府 ゆふ』で終わる。経絡は左右対称にあり、片側27個、左右合わせて54個のツボがのっている。

セルフお灸がしやすいのは、足の裏にあるツボ『湧泉』。腎のエネルギーが地下水のように、このツボから湧き出る特徴があり、この名が付いた。冷え・のぼせ・不眠・頭痛・めまいなどの症状に働きかける。エネルギーを補給する作用もあり、疲労回復にもおすすめ。

 

自分でお灸をするなら、台座灸。底にシールがついているから、足の裏へのお灸もしやすい。

 

使っているのは『棒灸』。モグサを固めて和紙でくるみ、先端に火をつけ、『湧泉』から数㎝離して温める。じ~んわり温まり、気持ちがいいよ~。

ツボの取り方にはちょっとしたコツがある。本来のツボの位置よりも少し上にツボを取る人が多いかなぁ…。『湧泉』のツボの取り方動画を載せておくねぇ~。

高温、高湿、豪雨…。今年の夏は厳しい日が続く。しっかりと食べ、しっかりと寝て、それなりに体を動かし、自分でも『腎』のエネルギーを底上げしよう!

福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング、≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。