今回の特集ブログで登場していただいたTさん。
呼吸器疾患をわずらって17年。
慢性の首こり・肩こり・頭痛に困って、昨年12月に当鍼灸院に来られた。
呼吸をするとき、胸郭の動きが乏しく、呼吸は浅い。
左肺を3分の1摘出し、左胸郭の動きはほとんどない。
声も小さい。
長年の息苦しさや咳込み、痰などが原因で、
呼吸補助筋の筋疲労が著しく、
慢性的な首こり・肩こりと、それに伴う頭痛におちいっていた。
呼吸が楽にならないと、それらは根本的には改善しない。
カチコチになっている呼吸補助筋を鍼治療でゆるめた。
肺に炎症を起こしていたので、煙が出る灸治療は行っていない。
初回から呼吸が楽になった!と実感された。
5日に1回のペースで治療。
呼吸補助筋に柔軟性が出て、
呼吸時の胸郭全体の動きが拡大し、
左胸郭の動きも出てきた。
開始当初よりも呼吸が深くなり、
呼吸の楽さが持続するようになった。
今まで、3回ほど咳込まないと痰が出せなかったが、
1回の咳で痰が出せるようになった。
呼吸補助筋の筋疲労を起こしにくくなり、
首こり・肩こり・背中こりが軽減した。
咳込みに伴う頭痛もなくなった。
インターフォン越しの声も聞き取りやすい。
「主人にもうるさいって言われた」と、
嬉しそうに話すTさんが印象的だった。
私の前職は理学療法士。
20年間、呼吸リハビリテーション(呼吸筋のリラクセーション、
胸郭運動、排痰など)に携わってきた。
その頃、『呼吸改善に鍼治療』という概念は私にはなかった。
昨年、Tさんと出会い、
『鍼治療で呼吸困難にアプローチする』という貴重な機会を得た。
鍼灸にはいろいろな可能性があり、
多角的な視点でアプローチすることの大切さを痛感した。
もちろん、鍼治療が適応できない呼吸器疾患があるかもしれない。
全身状態と呼吸機能を事前に評価し、
鍼治療ができるかどうかの判断が必須である。
また、慢性の呼吸器疾患の方は、痩せて胸板が薄く、
呼吸補助筋の筋委縮や硬直を起こしていることも多い。
鍼治療には経験が必要だと思う。
今回の特集ブログでは、Tさんに全面的に協力していただいた。
深く感謝いたします。
これからもTさんとともに呼吸器疾患と戦います!
Tさんに鍼治療の感想を聞いてみました。
ぜひ、『患者様の声』のページもご覧ください。
空気が冷たいと気管が縮こまり、
呼吸器疾患の方は息がしにくいこともある。
梅がほころび始めた。
春近し…。