1年半の中国留学中に、

中国人宛てに書いた手紙が8通。

日本では、手紙を書くことは滅多になく、

もっぱら葉書。

8通というのは、私にとってかなり多い。

その中で一番思い出に残っているのは、

中国語学科のある建物の、警備員さんに宛てた手紙。

 

 

この玄関の奥に広いロビーがある。

50代後半の彼女は、偶数日が警備担当。

暑い日も寒い日も、エアコンのないロビーで、がしっとした制服姿で立っている。

いつの頃からか、授業の休み時間に彼女と話すようになった。

彼女の話す中国語は聞き取りやすい。

私がわからない単語は、掲示板として使っている黒板の隅に、

ちょこちょこっと書いてくれる。

私はウエストポーチの中に常備している、

 

 

この電子辞書をパチパチ!

なんとか、会話ができていた。

 

中国語学科の授業は午前中まで。

午後は課外授業があった。

午後、ロビーの人通りが減ると、彼女は太極拳をしていた。

「私も太極拳をしている」と話すと、

「一緒にしよう!」と誘ってくれた。

時間がある時は、ジャージに着替えて一緒にロビーで太極拳!!!

仕事を終えた中国人教師が玄関に向かう途中、

ひやかすように、にやにや笑っている…。

 

帰国間近、彼女に挨拶にロビーまで行った。

彼女は1週間の冬休みに入っていた。

同じ警備会社の職員に手紙を託した。

彼女といる時が一番リラックスできた。

彼女とは利害関係がなかったからだと思う…。

感謝してもしつくせない手紙だった…。

 

1通、手元にある手紙がある。

 

 

中国語学科の宿題。

写真の上が宿題帳の切れ端。

下がそのときの教科書。

課題は『手紙を書く』だった。

『写』は『書く』、 『信』は『手紙』のこと。

 

この手紙は2007年11月に書いている。

宛名は、10年後の私。

手紙では、10年後の私に、

「中国留学の経験は役に立っている?」と問いかけ、

「もちろん!!!と答えるはず」と自問自答。

「私は自分の潜在能力を信じて、

がんばって中国語と鍼灸の勉強を続けているでしょう」

な~んて、かっこよすぎ!

この宿題をチェックする中国人教師を意識しているなぁ~。

この頃は中国語と鍼灸の勉強で、毎日ヘロヘロ…。

それでも、前向きなことを書いている5年前の私って、けなげ!

最後は、「10年後の私、がんばれ!」と結んでいる。

自分宛てに手紙を書いたのは、この時が初めて。

自分で書いた文章だけれど、恥ずかしながら…、感動!!!

今よりもはるかに若かった時の熱く、ひたむきな思いが、

年とっちゃった今の私に、伝わってくる…。

触発されるぅー!

よっしゃぁー!ー!ー!