前回の特集ブログ『生理と妊娠の話』では、
生理と妊娠にかかわりの深い臓器である、
女子胞(じょしほう)、心、脾、肝をご紹介しました。
実はもう1つ、ご紹介したい臓器があります。
『腎』です。
東洋医学でいう『腎』の働きの1つに
『精(せい)の貯蔵』があります。
東洋医学の『腎』と西洋医学の『腎』は働きが異なります。
同一のものとは思わないでくださいね。
精は、ヒトの成長・発育・生殖に必要なエネルギーです。
腎の働きが活発であると、
卵巣、子宮、精巣などの生殖器が成熟し、生殖能力をもちます。
腎の働きが弱まると活動が低下し、生殖能力も低下します。
また、病気にかかりやすく治りにくく、老化現象があらわれます。
女性不妊や男性不妊、不育症(妊娠はするが、流産、死産を
繰り返して生児が得られない)の鍼灸治療では、
腎の働きを把握することが大切です。
赤いラインは、『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』という経絡。
『腎』にもつながっています。
腎の働きが弱まっているときは、この経絡上のツボに鍼やお灸をして、
腎の働きや生殖能力の改善をはかります。
さてさて、臓器の話をもう1つ。
『臓器の働き』といったら何を思い浮かべるでしょうか。
心臓による血液循環。
腎臓による尿の生成。
臓器は生理現象の中心的存在ですね。
東洋医学からみると、臓器は精神活動の中心的存在でもあります。
例えば『怒り』は、臓器の『肝』がつかさどっています。
過度の怒りは肝を傷つけ、肝の働きを弱める…。
逆に肝の働きが弱まると、怒りの感情があらわれやすい…。
そんなふうに、東洋医学では考えます。
何度もしつこく書きますが、
東洋医学の臓器と西洋医学の臓器は違います。
「私、怒ってばかりいるから、肝臓の病気になっちゃう~」と
直結して考えないでくださいね。
赤いラインは『足闕陰肝経 あし・けついん・かんけい』という経絡。
肝にもつながっています。
生理前や生理中にイライラ感があるとき、
この経絡上のツボに鍼やお灸をして、情緒の安定をはかります。
PMSや生理困難症、生理痛、不妊、不育症などの治療に際して、
自分でするお灸もおすすめです。
お灸を続けて、目の前の症状だけでなく、
バランスの崩れた体質を整えます。
症状も体質も人によって異なり、選ぶツボも違います。
鍼灸院で診察を受けて、ご相談ください。
特集ブログ『生理と妊娠の話』、最終回。
東洋医学の抽象的な話にチャレンジしてみました。
いかがでしたか。
少しでも東洋医学が身近なものに感じてもらえたらなぁ…と思います。
おまけの写真!
職場の前にある、早咲きの桜が開き始めました。
春、近し!!!