特集『お尻の痛みに鍼とお灸』の最終回は、
坐骨神経痛の原因の1つでもある
『梨状筋症候群 りじょうきん・しょうこうぐん』と、
坐骨神経痛の鍼灸治療をご紹介します。
その前に、前回のブログのおさらい。
赤いラインは坐骨神経。
背骨の真ん中は空洞で、脳からの神経が通っている。
骨盤中央にある仙骨の真ん中にも空洞があり、
背骨の中を通ってきた神経が下行している。
背骨の横っちょのすきまから、
枝分かれした神経が顔を出す。
仙骨にも8つの孔があり、そこからも神経が顔を出す。
4番目と5番目の腰椎(腰の背骨)の横っちょから出た神経と、
仙骨の上から3つ(左右あわせて6つ)の孔から出た神経は束となり、
仙骨の外側にある、大きな孔を通って枝分かれする。
そのうちの1枝が坐骨神経となる。
坐骨神経は、お尻の中央から太ももの後面中央を下る。
膝の近くで2つに分かれ、
一方は膝の前に出てスネを下行し、足の甲、足指に至る。
もう一方はふくらはぎを下行し、足底に至る。
う~~~、何回トライしても、坐骨神経の通り道をわかりやすく書けない…。
うっ、うっ、すみません…。
これは右のお尻。
左端が仙骨。
右端が太ももの骨。
お尻の筋肉は9個!
すべて股関節を動かす筋肉!
何層にもなっている!
大殿筋と中殿筋を取り除くと、梨状筋が見えてくる。
お尻の奥にある。
梨状筋の下から坐骨神経と下殿動脈が顔を出し、
脚へと下行する。
この梨状筋が筋肉疲労など何らかの原因で緊張し、
坐骨神経を圧迫すると、坐骨神経痛が起きることがある。
これを『梨状筋症候群』という。
坐骨神経痛は、坐骨神経に沿って痛む。
腰~お尻~脚後面~ふくらはぎ…と、広範囲に痛むこともある。
無意識に、痛みがやわらぐ姿勢や動き方をしがちで、
それが不自然な姿勢や動き方であることも多く、
坐骨神経が支配していない筋肉の疲労も出てくる。
そのために、坐骨神経痛の鍼灸治療は、
症状のあらわれている部位に鍼やお灸をするだけでなく、
全身を調整することも大切!
筋肉がガッチガチなときは、灸頭鍼がおすすめ。
ありゃりゃぁ~、写真がアップすぎて、
めちゃくちゃ大きなお灸に見えちゃったなぁ。
鍼の先にモグサをつけてお灸もする。
血行をよくし、筋肉の柔軟性を出し、痛みをやわらげる。
梨状筋など深部にある筋肉には、
長めの鍼でピンポイントに筋肉をキャッチ!
確実に届くのが鍼のよさかな…。
痛みが強いときは、円皮鍼(えんぴしん)や
皮内鍼(ひないしん)などの置き鍼もおすすめ。
円皮鍼。
直径1cmくらいのシールの中央に、
画鋲みたいに鍼が固定されている。
長さ1mmにも満たない小さな小さな鍼なので、
鍼が刺さって痛いと感じることはない。
ツボを刺激し続け、痛みをやわらげる。
皮内鍼。
これも長さ5mmくらいの小さな鍼。
お月さんのように光っているのは1円玉。
皮膚の1mm下を皮膚と水平に2~3mmほど刺し、
医療用のテープで固定する。
片端がリングになっているので、鍼全体が皮膚に入ることはない。
違和感もない。
ツボを刺激し続け、痛みをやわらげる。
今回、『お尻の痛み』を特集してみて、テーマの難しさを実感!
お尻、つまり骨盤後面につく筋肉に注目すると…、
背中を動かす筋肉が4個!
背骨から仙骨についている。
股関節を動かす筋肉が10個!
骨盤から大腿骨(太ももの骨)についている。
股関節だけでなく膝関節も動かす筋肉が3個!
骨盤から膝下の骨についている。
ということは、これら17個の筋肉のトラブルでも
お尻が痛くなっちゃう!
ということは、背骨や股関節・膝関節を構成する骨や関節のトラブルでも
お尻が痛くなっちゃう!
坐骨神経がお尻を通っているので神経のトラブルでも
お尻が痛くなっちゃう!
骨盤の中には膀胱・直腸・子宮・卵巣などの内臓があり、
これらの内臓のトラブルでお尻が痛くなることもある!
原因が多すぎる…。
問診・触診・姿勢分析・動作分析などなど評価し、
痛みの原因を見極め、鍼灸治療を行う。
次回来られるときも、
再評価し、原因を再確認し、治療に臨む。
痛みの原因が複数であることもあるので、
そんな地道な治療が大切なんだと思う。
おーっ、今日は文字だらけのブログになっちゃった。
毎度難しい話とコトーのつぶやきにおつきあいいただき、
ありがとさーん!
なんで、ここまで専門的なことを書くんだろう…。
そう不思議に思う人がいるかもしれないが、
専門的なことをわかりやすく説明できるのがプロだと考えている。
プロの意地ってヤツかな。
ブハハハハーッ!