「どうしたらそんなふうに弾けるんですか?」
小学5,6年生の頃、エレクトーン発表会の舞台そでで、
年下の見知らぬ子に言われた。
今まで発表会ではミナコちゃんと一緒に演奏してきた。
1000人ぐらい収容できる市民ホールの大きな舞台。
トップバッターで演奏しても、
ミナコちゃんとだったから緊張しなかった。
そのミナコちゃんがエレクトーン教室を辞め、
今回初めて1人で弾いた。
ミナコちゃんの演奏がなく、自分で弾く音しか聴こえてこない…。
こんなに心細いなんて…。
脚がガクガク震えて止まらない…。
どんなふうに弾いたか覚えていない。
「窮地に追い込まれたときほど、本領を発揮できる」
どん底に落ちたとき、あのエレクトーン発表会の光景を思い出す。
そして、この言葉を心の中でつぶやきながら、立ち向かう。
「あなたはそのままでいい」
鍼灸院を開設したての頃、
福岡では有名なお菓子メーカーの社長に言われた。
理学療法士から鍼灸師に転職し、
自分の鍼灸スタイルが見つけられずにいるときだった。
「長年の理学療法士の仕事で築き上げたものがあるから、
無理に変えることはない」
そんなふうにも言われた。
その頃、たくさんの方からアドバイスを受けた。
でも、自分を肯定してくれたのはこの社長だけだった。
「ありのままを受け入れる」
仕事を通してたくさんの方と出会ってきたが、
ありのままを受け入れようとすると、
先入観なしにその方の本質が見える。
いろいろな状況に置かれた自分をありのままに受け入れると、
ジタバタせずに、自分なりに行動できる。
「あんた、中学の頃と変わらないねぇ」
1年ほど前、母は呆れた顔で私に言った。
どんな内容だったか忘れたが、私がドジ話をしたときだった。
「ヨシコさんはしっかり者のようで、何か1つ抜けているところがありますね。」
中学の担任だった松本先生に、その当時、母が言われたらしい。
「完璧な人間よりも、1つ抜けているほうが人間臭くていいんじゃない?」
すっかりおばちゃんになった私は、母に切り返した。
「完璧を求めすぎない」
1つ抜けているくせに物事は完璧にこなしたい性分。
でも、それを追求しすぎるとギスギスし、
一歩手前で踏みとどまるほうが居心地がよかったりする。
そのさじ加減が難しいけれど…。
何気なく掛けられた言葉が、私の思考回路の分岐点になっている。
これからもそんな言葉をキャッチして、自分を高めていきたい…。
プップクプー!