この時期になると、日中はつくつくぼうし(セミ)が鳴いているが、
日がかげると秋の虫が鳴き始める。
今年は、ひときわ大きく鳴く虫が1匹いる。
イヤ、まてよ。
窓を閉めきっても、声の大きさが変わらない。
もしかして室内に紛れ込んでいる?
聞き耳を立てると、どうやら台所にいるらしい。
角のごみ箱あたりかな???
ゴミ箱をそーっと持ち上げたが、いない…。
たまーにしか鳴かないので、居場所を限定できない…。
はやく仲間のいるところに戻してあげたいのに…。
さて、
鍼やお灸で用いるツボには、いろーんな名前がついている。
ツボがある部位の形状が、
動物そのもの、あるいは動物の一部に似ているから、
その動物の名前がついたツボもある。
残念ながら、秋の虫の名前がついたツボはないが…。
赤い矢印が指しているツボは、『鳩尾 きゅうび』。
『鳩』はハトではなく、カッコウのこと。
『鳩尾』は、左右の肋骨の間にある胸骨という骨の真下にある。
胸骨の形状がカッコウの尾に似ているので、
『鳩尾』という名前がついた。
赤い矢印が指しているツボは、『伏兎 ふくと』。
膝には、赤い花のシールを貼りつけている。
このツボは、太ももの中央にある。
太ももには、大腿四頭筋(だいたい・しとうきん)という大きな筋肉がある。
その中央は盛り上がり、
兎(うさぎ)が伏している姿に似ているので、
『伏兎』という名前がついた。
う~ん、わかりやすい!
赤い矢印が指しているツボは、『犢鼻 とくび』。
『犢』は子牛のこと。
このツボは膝蓋骨の下のくぼみにあり、
その形が子牛の鼻に似ているので、
『犢鼻』という名前がついた。
各々のツボの名前には由来があり、
大先輩の鍼灸師がどんな思いで命名したのか、
思いめぐらすのも楽しい…。
さて、夜も深まり、23時13分。
台所でしゃがみこみ、食器棚に皿を戻そうとすると、
真横の壁にガサガサ動く物体を発見!
一瞬ゴキブリと思ったが、形が違う!!
こいつが大きく鳴く虫にちがいない!!!
プラスチックのカップの中に入っているので、くっきりとは撮れなかった。
右側にあるのは10円玉。
胴体は1cmにも満たない…。
こんなに小さかったら、さすがに見つけられないなぁ…。
同じ鳴き声が聞こえてくる、庭の草むらに放した。
めでたし、めでたし…。