肺は自分では動かせない。
では、どうやって空気を吸うときに肺をふくらませ、
吐くときに肺をしぼませるのか…。
<胸郭・前面>
左前の肋骨と、胸骨の左前半分を取り除いた図。
左右12本の肋骨は、前方中央で胸骨と関節をつくり、
後方中央では背骨と関節をつくっている。
肋骨と肋骨の間には、外肋間筋(がい・ろっかんきん)と
内肋間筋という筋肉がついている。
肺は肋骨の中におさまり、肺の下には横隔膜。
この横隔膜と外肋間筋を使って、
肺をふくらませたり、しぼませている。
<腹式呼吸・吸気>
胸骨・肋骨・背骨・肋間筋・横隔膜で構成された空間(水色枠)を
胸腔(きょうくう)という。
横隔膜という筋肉が働くと、横隔膜自体は引き下げられ、
その分、胸腔の体積は上下方向に増える。
胸腔の拡がりによって肺がふくらむ。
これが腹式呼吸の吸気。
<胸式呼吸・吸気>
このイラストでは外肋間筋は左横にしかついていないが、
実際は肋骨全体ついている。
外肋間筋の働きが加わると、樽上の肋骨が拡がり、
胸腔の体積は上下・左右・前後方向に増える。
肺もさらにふくらみ、空気もたくさん肺に入る。
これが胸式呼吸の吸気。
空気を吐くときはどうするか…。
簡単!
横隔膜と外肋間筋をゆるませるだけ。
<腹式呼吸・呼気>
横隔膜がゆるむと、横隔膜自体は引き上げられ、
その分、胸腔の体積はせまくなり、肺もせまくなり、
空気は気管へと押し出される。
<胸式呼吸・呼気>
外肋間筋がゆるむと、拡がっていた肋骨は元に戻り、
胸腔はせまくなり、肺の中の空気はさらに気管へと
押し出される。
普段、腹式呼吸と胸式呼吸は併用されているが、
呼吸運動は横隔膜が主体!
横隔膜は呼吸をするために生まれてきた筋肉。
24時間無休でも、へっちゃらな筋肉構造になっている。
全速力で走った後など息切れをしたときに、
ヒトは肩を上下に動かして呼吸を整えようとする。
これは、肩を引き上げる筋肉を使って、胸腔をもっと拡げて、
もっと空気を吸おうとするから…。
努力をして呼吸をするときには、呼吸補助筋が呼吸運動を手伝う。
慢性の呼吸器疾患があると、常に努力性の呼吸を強いられがち…。
呼吸補助筋も働きっぱなし…。
呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすのがメインの仕事で、
24時間無休でも平気な筋肉構造にはなっていない。
そのため、筋疲労を起こしやすい。
前回のブログでご紹介したTさんも、
努力性の呼吸による、呼吸補助筋の筋疲労が著しかった。
次回は、慢性の呼吸疾患に伴いやすい努力性の呼吸と、
それに対する鍼灸治療を書こうと思います!
よろしくです!!!