咳が止まらず息苦しい…。
夜中に咳で目が覚め、ぐっすり眠れない…。
痰が切れずに息苦しい…。
ちょっと動いただけで息苦しい…。
息苦しくなるから外出できない…。
仕事や家事、育児などの日常生活にも支障をきたしている…。
慢性の呼吸器疾患があると、呼吸のトラブルだけでなく、
長期間に渡って生活も制限され、精神的ストレスも大きい。
<胸郭>
左右12本の肋骨と、背骨と、胸骨、そして横隔膜と肋間筋。
これらを合わせて『胸郭 きょうかく』という。
肺はこの胸郭の中におさまっている。
肺は自分で動かすことができない。
横隔膜という筋肉が主体となって、胸郭を動かすことにより、
肺をふくらませたり、しぼませている。
横隔膜は24時間無休でも平気な筋肉構造になっている。
全速力で走った後や呼吸にトラブルがあると、
もっと空気を吸おう!吐こう!と、胸郭をより動かそうとする。
このときに助っ人となるのは呼吸補助筋。
努力して空気を吸うときにサポートする筋肉は10個以上!
これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらに拡がり、
より多くの空気が肺に入ってくる。
努力して空気を吐くときにサポートする筋肉も10個近くある!
これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらにせばまり、
より多くの空気が肺から出ていく。
呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすことがメインの仕事で、
年中無休の筋肉構造にはなっていない。
そのため、呼吸で年中稼働していると、筋疲労を起こす。
筋肉のコリや痛みを感じるだけでなく、
筋肉に弾力性がなくなり、
胸郭を動かす補助が充分にはできなくなる。
つまり、努力性の呼吸をしても、
より多くの空気を吸ったり吐いたりすることができない。
では、呼吸補助筋をいくつかご紹介しよう。
まずは、努力して吸うときのサポート軍団!
<僧帽筋の上部線維>
僧帽筋(そうぼうきん)の上部線維(オレンジ)。
イラストでは左だけだが、もちろん右にもある。
本来、肩を上げる筋肉。
頭蓋骨(うなじ)と首の骨から、鎖骨についている。
肩が上がると胸郭も肺も上に拡がり、空気をさらに吸える!
ただし、休みなく呼吸に使っていると、筋疲労で肩こりとなる。
<胸鎖乳突筋>
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は本来、首を曲げる筋肉。
胸骨と鎖骨から、頭蓋骨(耳の下)についている。
この筋肉が働くと胸郭も肺も上に拡がり、
吸うときのサポーターにもなる。
ただし、呼吸に年中頼られると筋疲労を起こし、
慢性的な首こりになる。
<最長筋>
直立姿勢を保つために、背骨にはたくさんの筋肉がついている。
そのうちの1つ、最長筋(さいちょうきん)。
メインの仕事は背中を伸ばすこと。
背中をそらすことにより胸郭と肺を広げ、
吸うときのサポーターにもなる。
この筋肉も年中呼吸に頼られると筋疲労を起こし、
慢性の背中こりになる。
さて、次は空気を努力して吐き出すときにサポートする筋肉を紹介!
<腹直筋>
腹直筋(ふくちょくきん)は背中を丸めるときに働く。
腹圧がかかるので、空気を履くときに胸郭と肺をしぼめやすい。
やはり、呼吸や咳こみ、排痰(痰を出すこと)で使いすぎると、
筋肉痛になる。
<内腹斜筋、外腹斜筋>
イラストでは右に内腹斜筋(ない・ふくしゃきん)(青)、
左に外腹斜筋(オレンジ)があるが、どちらも左右両方にある。
これらの筋肉も腹直筋と同じような働きをし、
吐くときの助っ人にもなる。
慢性の呼吸器疾患では、呼吸補助筋の筋疲労をとり、
胸郭の動きを拡大することが大切。
それが肺の動きの拡大となり、
楽な呼吸、楽な咳、楽な排痰、楽な動作に結びつく。
最終回の次回は、17年間呼吸疾患をわずらっている
Tさんへの鍼灸治療をご紹介!!!
呼吸補助筋の筋疲労に対して、鍼治療をしています。
今までの特集ブログの中で、一番とっつきにくく、
わかりにくいテーマですが、
もうちょっとおつきあいください!