腎臓の働きといえば、尿の生成。

腎臓には1分間に約500~700mlの血液が入り込み、

濾過(ろか)される。

濾過量は、1日150ℓ。

そのうちの99%は体に必要な物として再吸収され、

残りの1%(約1.5ℓ)が尿として膀胱へ送られる。

 

 

東洋医学の『腎』には、他にも多くの働きがある。

一番重要なのは、精(せい)を蔵していること。

精には、『先天の精』と『後天の精』がある。

両親から受け継いだ『先天の精』によって、

胎児の体が形成され成長する。

そして、この世に生れ出ると、先天の精は腎におさまり、

発育・成熟・生殖という生命活動をスタートさせる。

そのときには、両親から『精』は補充できない。

口から取り込んだ飲食物から『後天の精』は作り出され、

『先天の精』に『精』を補充している。

『精』って栄養源のようなエネルギーのようなものかなぁ…。

 

 

赤いラインは、『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』という経絡。

足の裏から始まり、下肢内側、体幹前面を上り、鎖骨の下で終わる。

経絡上にツボは片側27個。

腎にもつながり、泌尿器の症状を治すときには、

この経絡のツボに鍼やお灸をする。

 

 

生理痛や生理不順、更年期症状、不妊症など婦人科の症状にも、

この経絡のツボをよーく使う。

腎のエネルギーが衰えれば、生殖器の機能も衰えやすい。

子宮や卵巣の機能アップには、腎の活性化は不可欠なんだなぁ…。

足少陰腎経のツボに鍼やお灸をして、

腎、そして子宮と卵巣の機能の底上げをはかる。

男性の更年期症状や不妊症など生殖器のトラブルでも、

同様に、この経絡のツボを使って、

腎、そして精巣の機能アップをはかる。

これらは東洋医学独自のアプローチであり、

これらの症状があるからといって、

腎臓の病気があるわけではない。

 

 

 

 

腎は耳と連結している。

これも東洋医学独自の見解。

突発性難聴や急性耳鳴りなど耳の症状には、

耳周辺のツボだけでなく、

腎のエネルギーを補充するツボにも鍼やお灸をする。

 

 

腎と表裏関係にあるのは、『膀胱』。

腎臓で生成された尿は、毎分約1mlずつ膀胱へと送られる。

膀胱は伸縮性に富む筋性の袋で、

容量は300~500ml。

尿が150~300mlくらいたまると尿意を感じるが、

脳の指令でがまんできる。

400mlくらいたまると尿意が高まり、

トイレに行きたくなる。

 

 

赤いラインは、『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』。

東洋医学でも膀胱の働きは蓄尿と排尿であり、

膀胱炎など泌尿器の症状には、この経絡のツボを使う。

 

 

この経絡の注目する点は、位置だと思う。

目の内側から始まり、額、頭頂と上り、

後頭部、体幹後面(ここでは2列になる)、

下肢後面と下り、足の小指で終わる。

体の中心にあり、頭のてっぺんから足先まで通る経絡は、

これしかない。

ツボは片側67個!

とーっても多い!

目、後頭部、背中、腰、下肢だけでなく、泌尿器や生殖器など、

治療対象となる疾患は多岐に渡る。

 

 

 

 

もう1つ注目する点は背中からお尻にかけてのツボ!

 

 

 

 

 

ツボ・モデル君の背中。

左側の黒線2本が、足太陽膀胱経。

右の黒線を見てほしい。

上から、肺兪、心兪(しんゆ)、1つ飛ばして肝兪、胆兪、

脾兪、胃兪、三焦兪(さんしょうゆ)。

あっ、肺兪が写っていなかったなぁ…。

すみません。

 

 

 

 

そして、腎兪、大腸兪、小腸兪、膀胱兪。

足太陽膀胱経のツボを使って、11個の臓器にも働きかけられる!

それだけ重要な経絡だと思う。

 

 

ヤッター!

特集がやっと終わったぞぉー!

関係する東洋医学本と鍼灸本を読みあさり、

各臓器の何の働きを取り上げるか考えに考え、

いざ下書きを始めると、まとまらない…。

う~ん、う~ん、う~ん、もう頭が回らない…。

明日、考えよう…。

このパターンを何回も繰り返し、時間がかかっちゃったなぁ。

 

 

うだるような暑さの中、小難しいブログに何回もつきあっていただき、

ホントーに、ホントーに、ホントーに、ホントーにありがとさんです。

今回の特集では、たくさんの疾患が出てきました。

治療の選択肢の1つに、鍼灸も加えてもらえたらなぁ…と思います。

あぁ、しばらくは軽いノリのブログが書きたい………。