東洋医学において、『気』はいろーんな仕事をしている。
例えば、栄養作用。
『気』は体のあらゆる部位に栄養を与える。
つまり、『気』は体を構成する物質の1つなんだなぁ…。
推動作用。
『気』は臓器や器官などの活動の駆動力となり、
経絡の流れの推進力としても働く。
つまり、『気』は生命活動のエネルギー源でもあるんだなぁ…。
防御作用。
『気』は外邪の侵入を防御し、
もし侵入しても、それを除去する。
温煦(おんく)作用。
『気』は臓器や器官などあらゆる部位を温め、
体温を一定に保つ。
などなど…。
こんな、つかみどころのない『気』は、どうやって作られるのか。
胎児のときは、父母から受け取った『先天の精気』が
栄養物質となる。
でも、この世に生まれ出ると、父母からの『先天の精気』はもらえない。
口から取り込んだ飲食物が消化吸収され、栄養物質となる。
これを『後天の精気』と呼ぶ。
『先天の精気』は『後天の精気』によって常に補給され、
『元気』となり、
臍下丹田(せいかたんでん)(=へその下の下腹部)に集まり、
経絡を通って全身にめぐる。
鼻や口から吸いこむ空気(酸素)も栄養物質となる。
これを『自然界の精気』という。
『先天の精気』や『後天の精気』が変化した『元気』と、
『自然界の精気』を原料として、
『気』が作られる。
『元気』が充分に作られると、
下腹部は張りがあり、
臓器や器官も元気はつらつ活動し、
心も体も活動的で、
疲れにくく、病気にもなりにくい。
『元気』が足りないと、
下腹部はフニャフニャで弾力性がなく、
臓器や器官の活動が衰えて、
やる気がなく、疲れやすく、
病気になりやすい。
慢性的な病気による体力の消耗や、
高齢による身体的衰弱や、
飲食物の不摂生や過労などが続くと、
『気』が充分に作りきれず、足りなくなっちゃう。
また、七情(怒、喜、憂、思、悲、恐、驚)は、
日常起こる感情だけど、
ある感情が長く続いたり、
衝撃的な強い感情が起こると、
全身をめぐる『気』が滞り、
臓器や器官なども影響を受ける。
下腹部にあるツボ『関元 かんげん』。 赤矢印。
赤花シールは、へそ。
『関元』の別名は、『丹田』。
『関』は『関所』という意味。重要な場所ってこと。
『元』は『気』の原料でもある『元気』のこと。
このツボは『元気』の関所なんだなぁ…。
鍼やお灸をして、エネルギーを補充したり、
『気』のめぐりを整える。
胸の間にあるツボ『膻中だんちゅう』。赤矢印。
『膻』は『君主の宮城(きゅうじょう)』のこと。
『君主』は五臓六腑の『心 しん』を指す。
『宮城』は、中心に皇居、
その周囲に諸官庁を配置した一郭のこと。
『膻中』は君主(心)に代わって、
周囲の諸官庁が命令を受けるような働きがあり、
このツボは胸膜の『中』にあるので、
この名前がついた。
『膻中』の別名は『上丹田』。
『気』にとーっても関係するツボなんだなぁ…。
不安感や動悸(心臓病ではない)など、情緒の不調に用いる。
『気』をテーマにしたから、話が難しくなっちゃったなぁ…。
体を整えるには、心(こころ)をリラックスさせることが大事。
心を整えるには、体をリラックスさせることが大事。
また、心の病は、体も心も過敏になっていることが多い。
心底、気持ちいいなぁ…。
心と体がそんなふうに感じる治療が必須。
鍼治療で使う鍼は、長さも太さもたくさん種類がある。
細くて短い鍼のほうが、刺激量が弱い。
ツボの中まで刺さずに、ツボの上をちょこんとのせるだけの手法もある。
棒灸。
皮膚から数センチ離して温める。
あるツボを集中して温めることもできれば、
棒灸を経絡の流れに沿って動かし、
経絡の中の『気』の流れも誘導できる。
点灸(てんきゅう)。
手でひねったモグサ(米粒大)をツボに置き、
線香で火をつける。
燃え終わる一瞬だけ熱さを感じ、
ツボの奥の奥まで刺激が伝わる。
モグサをツボに置く前に、
灸点紙というシールを貼るので、お灸の跡は残らない。
灸治療だけしたい方におすすめ。
灸頭鍼(きゅうとうしん)。
置いた鍼の先にモグサを差し込み、
鍼をしながらお灸もする。
鍼の刺激と、お灸の輻射熱のW効果。
張り詰めた心が原因で硬くなった筋肉も、これでほぐれやすい。
台座灸。
台座の上にモグサがのっている。
台座の底にはシールがつき、
どこのツボにものせやすい。
エネルギーを補充しながら、
心(こころ)をリラックスさせるのに、
セルフお灸もおすすめ。
鍼もお灸もいろーんな手法があり、
心(こころ)の不調で悩んでいる方は
試してほしいなぁ…。
自分に合う鍼治療や灸治療があるはず。
『気』はたーくさんの種類と、たくさーんの働きがあり、
東洋医学本を読みあさり、
「よしっ! これを書こう!!!」と
ルーズリーフに下書きをしているうちに、
「う~~~~、なんだかわかりずらいなぁ…」と筆が止まる。
東洋医学本を読み返し、
「よしっ! これを軸に書こう!」
気持ちを新たに書いているうちに、
「あ~~~、これを出だしに書いたほうが
スラスラ読んでもらえるかも…」
筆が止まる。
何度も筆が止まり(=やる気スイッチが止まり)、
しばらく充電期間(=やる気スイッチがOFFからONになるまで)をつくり、
やっと書き上げた。
難しいことほど、
焦らず、休み休み時間をかけて取り組むと、
たくさんの点と点が結びついて線になり、
「あー、そういうことだったのか」と納得する。
今回が今年最後のブログ。
難しい東洋医学の話にも、
熱く語りすぎる趣味の話にも目を傾けていただき、
誠に誠にありがとうございました。
来年も元気に、このコトー・ブログで会いたいです!
皆様にとって2020年も素敵な年になりますように!!!
女性鍼灸師による女性専門鍼灸院
≪レディース鍼灸院ことう≫の
鍼灸師コトーでした。