首・肩・腕・背中・腰・脚など、様々な部位の痛みをかかえた方が当鍼灸院に来る。その際、じっくりと問診をして、姿勢や動作を観察し、関節や筋肉に触れ、痛みの原因をさぐる。筋肉が痛んで痛む?実は内臓の病気で痛い?骨の病気で痛い?精神的な病気で痛い?原因によっては治療法が異なるから、原因を見極めることが大切。例えば、腰痛。

横になっても安静にしていても痛く、発熱や腹痛もある場合、内臓の病気による腰痛かもしれない。胃・腸・肝臓・膵臓・胆のう・腎臓・子宮・卵巣など、内臓の異常があっても、内臓そのものは痛みを感じない。内臓の異常は脊髄(せきずい)という神経を介して、脳に伝えられる。脳は、『内臓からの刺激』を、『その近辺にある腰からの刺激』と錯覚し、異常のない腰に痛みを感じる。そうなると、腰の筋肉は緊張し始める。もともと腰痛がある方は、筋肉の過緊張による腰痛なのか、内臓の病気による腰痛なのか、判断がつきにくい。鍼灸治療をし続けても、なかなか改善せず、内臓の病気が疑われるときは、内科などへの受診をすすめる。

これは腰の背骨を上から見た図。右が背中側。左がおなか側。背中側と左右に突起があり、中央(椎孔 ついこう)は空洞になっている。

 

これは腰の背骨2個を横から見た図。背骨はたくさんの靭帯(じんたい)(緑色)で連結している。

 

 

頭から太ももまでの骨格。22個のすべての背骨に椎孔(中央の空洞)があり、トンネルになっている。これを脊柱管(せきちゅうかん)という。さぁ、これからイメージを膨らませて!頭蓋骨や背骨・ろっ骨などの骨を取り除くと何がある?

 

脳とそれに続く脊髄(せきずい)がある。脊柱管(背骨の中のトンネル)の中に、こんなふうに脊髄が通っている。脊髄からは左右31対の脊髄神経が出て、背骨と骨盤の隙間から、筋肉や皮膚や内臓につながる。

内臓はこの神経を伝って、脳に「ちょっと、調子が悪いんだけど…」と信号を送る。脳は信号をキャッチするけれど、その内臓の近くにある腰の痛みと勘違いする。というのが、先ほどの話。話がどんどん込み入ってくるよー。ついてきてねぇ!!!

コトーは理学療法士((リハビリ)の仕事をしている時に、腰椎椎間板ヘルニアになり、腰痛と脚の筋力低下、左足の親指のしびれに悩まされた。どんな病気かというと…。

背骨と背骨の間にある椎間板(水色)は、クッションの役目をしている。スポーツや重労働などで椎間板に強い圧力がかかると、椎間板の中央にある髄核(ずいかく)(青色)が押し出され、脊髄を圧迫する。圧迫された部分の脊髄から伸びている脊髄神経がダメージを受ける。これが『椎間板ヘルニア』。腰の部分の脊髄神経は、下半身の筋肉と皮膚などの感覚器につながっているから、下半身の筋力低下や痛みやしびれなどがあらわれる。他にも、腰痛を引き起こす、背骨の病気がある。例えば…。

『変形性脊椎症』。加齢により椎間板の弾力性が低下し薄くなると、背骨の角に骨棘(こつきょく)という突出部が形成されることがある。出っ張りが強くなると、その部位の脊柱管が狭くなり、『脊柱管狭窄症 せきちゅうかん・きょうさくしょう』になる。狭窄が強まると、脊髄が圧迫され、腰が痛くなることもある。

『変性脊椎すべり症』。加齢により、連結する背骨の支持性が弱まり、一部の背骨が前方へズレる。ズレが強まると、その部位の脊柱管が狭くなり、『脊柱管狭窄症』となる。狭窄が強まり、脊髄が圧迫されると、腰が痛くなることもある。

『脊椎圧迫骨折』。加齢や骨粗しょう症などで、骨の密度が低下すると、いつの間にか背骨を骨折することがある。突然の腰の激痛で、レントゲンを撮ってみたら、背骨が骨折していた…ということがある。他にも骨の病気による腰痛はたくさんある。

おおおーっ、テーマから話が反れてしまった。しかし、骨の病気による腰痛について、きちんと書いてみたかった!!皆さんに、うまく伝わったかな?次回も痛みのメカニズムを書くよ~。脱線が絶えない、この特集ブログは年内に終わらないかもしれない…。

福岡市南区にある、女性専門の鍼灸とパーソナルトレーニングをしている、≪レディース鍼灸ことうプラス≫の、女性鍼灸師・理学療法士コトーでした。またねぇ~!