コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

特集~生理と妊娠の話①~血液力

女性専門の鍼灸院のブログなのに、

婦人科のことをテーマにすることが少ない…。

うっ…、気になっていました。

2012年10月、『生理』をテーマに特集を組みましたが、

今回はちょびっと視点を変えて書いてみます!

よろしくおつきあいください。

 

 

生理とは、「約1ヶ月の周期で起こり、

数日で自然に止まる子宮からの出血」ですね。

特集第1回目のテーマは、『血液力』。

血液の働きをご紹介します。

 

 

心臓の拍動とともに、心臓から送り出された血液は、

脳から足先まで、全身の血管を流れ、

心臓に戻ってくると思いきや、心臓を通り抜け、

運んできた二酸化炭素を肺で酸素に交換してから、

心臓に戻ります。

 

 

さて、問題です!

心臓から出た血液が心臓に戻るまで、

どれくらい時間がかかると思いますか?

……………………。

答えは約1分です。

めちゃくちゃ速いですねぇ~。

 

 

血液が流れる血管には、

動脈と静脈と毛細血管(もうさいけっかん)があります。

毛細血管は、動脈から静脈に移行する部位にあります。

全身の血管のうち、9割が毛細血管です。

さて、第2問です。

毛細血管は、「髪のように細い血管」と書きますが、

髪の毛と同じ太さでしょうか?

……………………。

答えは、髪の毛の約20分の1だそうです。

と言われても想像ができませんねぇ~。

 

 

またまた問題です。

これらの3種類の血管をすべて1本につなぐと

どれくらいの長さになると思いますか?

………………………。

なっなんと、約9万㎞。

地球の2周分!

うっひゃあ~~~!

 

 

体の中の血液量は体重の8%。

体重50㎏の方の血液量は、約4㎏。

1回の生理で排出される経血(けいけつ)は、約15~130g。

平均約50g。

経血の中身は、ほとんど古くなった子宮内膜で、

子宮の内壁から剥がれ落ち、血液とともに排出されます。

血液は経血全体の約10分の1。

一時的に体内の血液量は減りますが、すぐに戻ります。

 

 

ヒトの体は、約60兆個の細胞でできています。

血液は、各々の細胞に新鮮な酸素や栄養分を送り、

細胞から二酸化炭素や老廃物を受け取って戻ります。

年中無休の仕事ですねぇ…。

 

 

血液中の『赤血球』。

こいつは酸素をかついで、細胞に届けます。

赤血球は毛細血管の直径よりも大きいのに、

形を変えて狭いところもスススのスーイ!

 

 

血液中の『白血球』。

こいつは、いくつかの種類があり、チームワークはバツグン!

血管とリンパ管を巡回し、

体内に入ってくるウイルスや細菌と戦い、

私たちを守っている!

えらいっ!

 

 

血液中の『血小板 けっしょうばん』。

こいつは、怪我などで血管が傷つくと、

傷口に集まってふさぎます。

ありがとー!

 

 

食事によって体内に取り込まれた栄養素は、

細胞内で新しい物質に合成されたり、分解されます。

そのときに、熱エネルギーが発生します。

その熱エネルギーが血液を温めます。

温まった血液が全身をめぐり、

約36℃の体温を保ちます。

 

 

『生理』にも『妊娠』にも欠かせないのがホルモン。

脳や卵巣から分泌されるホルモンを、

必要な臓器まで運んでいるのが、血液!

届いたホルモンの指令によって、

子宮や卵巣は、生理の手順をきちんと踏めます。

 

 

さーあ、ラスト問題です。

血液はどこで造られるでしょうか?

……………………。

答えは、頭蓋骨や胸骨、背骨などの骨の中です。

では、東洋医学では、『血 けつ』は主にどこで造られるでしょうか?

答えは、五臓六腑の脾(ひ)。

 

 

spleen_meridian

 

この赤いラインは、『足太陰脾経 あし・たいん・ひけい』という経絡。

この経絡は『脾』にもつながり、

血のめぐりを整える働きがあります。

婦人科の症状を治すとき、

この経絡上にあるツボに、鍼やお灸をします。

 

 

おぉー、サイコーに長いブログとなりました。

難しい話におつきあいいただき、ありがとうございます!

次回のブログは、コンパクトになる……かなぁ~~?~~?~~?

 

不妊症の鍼灸レシピ

今日が12月29日?

3日後にはお正月?

慌てて来年1月のお灸教室のテキストを作っています。

1月のテーマは『不妊』。

ブログでもあまり取り上げていないので、

今日は『不妊』の話をしようと思います。

 

『赤ちゃんが欲しいけれど、なかなか授からない』人が

身近にいることを知ってから、知り合った奥様方に、

気軽には、「お子さんは?」と聞かなくなりました。

それほどデリケートな悩みだと思います。

 

不妊は女性側に原因があるように思われがちですが、

実際には男性に原因があることもあります。

男女ともに原因は様々です。

女性では、女性ホルモンの異常、子宮筋腫、子宮腺筋症、

子宮内膜症、子宮の奇形など…。

 

さて、妊娠するときに、女性の体の中では

どんなことが起きているでしょうか?

 

 

 

1.脳から卵巣へホルモン分泌。

 (ホルモンは血液の中に溶け込んで

 血管を流れる)

2.そのホルモンに刺激されて、

 卵巣の中の卵胞(らんほう)が成長。

 

 

3.成熟した卵胞から子宮内膜へホルモン分泌。

4.そのホルモンに刺激されて、子宮内膜は厚みを増す。

 受精卵がのるベット作りです。

 

 

5.脳から卵巣へ、ホルモン(『1』のホルモンとは違う)が

 分泌。

6.そのホルモンの刺激を受けて、

 卵巣の中にある、卵胞が1つ破裂して、

 中から卵子が飛び出す(=排卵)。

7.飛び出した卵子は卵管に入る。

 

 

8.卵子が飛び出した後、

 卵胞は『黄体 おうたい』と名前を改名!

 黄体は子宮内膜へホルモンを分泌。

9.そのホルモンの刺激で、

 子宮内膜は作り上げたベットの上に、

 フカフカの敷布団を作る。

10.性交により、卵管に留まっている卵子が、

 子宮頸管・子宮内・卵管と進んできた精子と出会い、

 受精すると、『受精卵』となって卵管を上り、

 子宮内膜に作られたフカフカの敷布団の上に

 くっつき(=着床ちゃくしょう)、そこで成長する。

 

これが『妊娠』です。

 

 

卵子が精子と出会わなければ、

子宮内膜のベットと敷布団は剥がれ落ち、

子宮の外に排出されます。

これが『生理』です。

 

以前、『生理の話』で書いたことと重複しましたが、

妊娠や生理までの過程って複雑ですね。

妊娠するには、『きちんと生理がある』ことが大切です。

生理中には女性ホルモンがいくつもかかわっています。

女性ホルモンは健康状態やストレスに影響を受けると

いわれています。

心も体も調子がいい!ことも、妊娠にはかかせませんね。

 

不妊症の鍼灸治療では、

先に述べた原因(子宮筋腫や子宮内膜症など)の治療と、

『心も体も調子い~い』妊娠しやすい体質にすることも

大切だと思います。

体質を改善するには時間がかかります。

当院に不妊治療に来られる方には、

自分でのお灸もおすすめします。

丁寧な問診と触診で、その人に合ったツボを教えます。

じんわりと症状と体質を改善します。

 

1月8日(火)と20日(日)の、当院内のお灸教室では、

妊娠しやすい体質にするツボの取り方、

お灸の仕方、ツボ押しを伝授いたします!

初心者の方も大歓迎!

お申し込みは電話と専用のメール・フォームで受け付けています。

詳しくは、ホームページ『お灸教室』のページをご覧ください。

 

今年最後のブログもながーくなりました。

毎度、最後まで読んでいただきありがとうございます。

皆さんは、年末年始をどう過ごされますか?

みなさんにとって、来年もステキな年になりますように!!!

お正月明けに、この画面でまた会いましょう!

それまでお元気でっ!!!!!

生理痛・生理不順・不妊症などの婦人科の症状を治す灸

女性のおなかの奥にある子宮。

毎月、生理がおこるところですね。

生理にかかわる臓器は、子宮と卵巣と、ホルモンを分泌する脳。

そして、生理に欠かせないホルモンは、脳と卵巣から分泌されます。

様々な臓器やホルモンが生理には関係しているので、

生理痛、生理不順、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊症や、

更年期にあらわれる諸症状など

婦人科の症状の原因も様々です。

 

東洋医学から見ても、原因は様々です。

東洋医学で、生理に重要なのは、『気(=エネルギー)』と

『血(けつ)(=栄養分)』が元気一杯であることです。

そして、その気や血と深いかかわりのある五臓六腑は、

心・肝・腎・脾・胃です。

東洋医学でいう五臓六腑と、西洋医学でいう内臓とは、

働きがちょっと違います。

それらの5つの臓腑は、心経・肝経・腎経・脾経・胃経という

経絡とつながっています。

 

婦人科の症状では、

気・血と、5つの臓腑と、5本の経絡の働きが

どのように変化しているのか見極め、

それらの働きを整える鍼灸治療もします。

それが、『バランスの崩れた体質を元に戻す』治療です。

 

東洋医学は目に見える症状を治すだけでなく、

バランスの崩れた体質を元に戻すことも重要視します。

婦人科の症状では、特に大事だと思います。

体質を元に戻すには時間がかかります。

じんわりじんわりと効くお灸はいいですね。

当鍼灸院では、体質の改善のために、

一人ひとりに合ったツボに、

ご自分でも台座灸をすることをおすすめします。

 

台座灸は、台座の上にモグサがのっています。

台座の底にはシールが付き、

気軽に簡単に自分でもできます。

 

不妊症の場合は、『体質を元に戻す』というよりも、

『妊娠しやすい体質にする』ことを心がけて治療しています。

治療が長期に渡るほど、病院通いは苦痛ですね。

鍼灸治療もその一環と考えすぎると、苦痛は倍増です。

鍼灸師である私は、

体と心の不調を整え、妊娠しやすい体質にする鍼灸治療をしますが、

鍼灸治療に来られる方には、

「いつもがんばっている自分をリラックスさせよう!」という

気持ちで来てほしいな…って思います。

生理にかかわる女性ホルモンは、

ストレスや健康状態に影響されます。

心と体をリラックスさせるって大切だと思います。

ご自分で毎日するお灸でも、リラックスできますよ。

 

随分と先の話ですが、来年の1月のお灸教室では、

『不妊症』をテーマにします。

お気軽にご参加ください。

お灸教室の詳細は、ホームページのお灸教室のページをご覧ください。

東洋医学の診察法~四診法(ししんほう)

西洋医学の診察では、

レントゲン検査や血液検査など道具を用いますが、

東洋医学の診察では道具はなく、

視覚、聴覚、嗅覚、触覚などの五感を用います。

おおまかに4種類に分けられ、『四診法』といいます。

 

その1:望診(ぼうしん)

患者さんの顔色や表情、体格、姿勢、動作などを観察し、

病状を把握します。

 

その2:聞診(ぶんしん)

患者さんの音声や呼吸、咳などを聞いたり、

患者さんの体臭や口臭などのにおいを嗅いで、

病状を把握します。

 

その3:問診

患者さんに症状に関することや、日常生活の様子を聞き、

病状を把握します。

東洋医学は目の前の症状だけでなく、

バランスの崩れた体質も治すので、

日常生活など幅広く聞くことはとても大事です。

 

その4:切診(せっしん)

患者さんに直接触れて、症状を把握します。

切診は、脈診、切経(せっけい)、

そして前回のブログにちょこっと登場した腹診があります。

 

脈診は、患者さんの手首で、

動脈の拍動がわかる部位に触れて、

脈の数や拍動の仕方を診て、経絡の状態を把握します。

自分で自分の脈診をするときは、こんな感じ。

 

人差し指と中指と薬指で、軽く触れたときに感じる脈の状態で、

各々1本ずつ、計3本の経絡の状態を把握します。

さらに、少し押し気味に触れたときに感じる脈の状態で、

別の3本の経絡の状態を把握します。

この写真では、左手の脈で、

計6本の経絡を診たことになりますね。

右手でも同様に脈を診て、

左とは別の6本の経絡の状態を把握します。

左右合わせて、12本の経絡を診ます。

とーっても難しい診察法です。

 

切診とは、経絡に沿って指で触れて、

経絡の状態を把握します。

経絡の上にツボが乗っているので、

鍼やお灸に用いるツボを選定できます。

 

腹診は、患者さんのおなかに触れて、

硬さ、厚さ、動悸、圧痛、皮膚の潤い、皮膚温などを診て、

症状を把握します。

『健康なおなか』ってどんな感じだと思いますか?

東洋医学でいう健康なおなかは…、

おへその上は平らで、おへその下はふっくら。

硬すぎず、柔らかすぎず、適度な弾力があり、

適度な潤いがあり、おなか全体が温かい!

皆さんのおなかはいかがですか?

 

おなかにはたくさんのツボがあります。

下腹部の奥には、女性の場合、子宮と卵巣があるので、

生理痛、生理不順、子宮筋腫、子宮内膜症、不妊症、

更年期の症状など婦人科の症状には、

下腹部にあるツボにも鍼やお灸をします。

 

また、婦人科の症状では、バランスの崩れた体質を

元に戻すことも重要で、

そのために下腹部にあるツボなどに

ご自分で毎日お灸をすることをすすめています。

次回は、体質改善のためのお灸について

書いてみようと思います。 よろしくぅー!

はりきゅう雑話~お灸アラカルト

めちゃくちゃ寒い日が続いていますが、
皆さま、風邪などひいていませんか。
今日は体の芯まで温まる『お灸』の話におつきあい下さい。
長いです!お覚悟を~!

 

 

『モグサ』
お灸にモグサが使われるようになったのは、
中国の春秋戦国時代(B.C.8~3世紀)。
モグサの原料はヨモギの葉の裏の産毛。
菊の葉と似ています。

 

 

ヨモギの葉を夏に刈り取る→乾燥→裁断→石臼でひく
→トウミという機具で不純物除去→モグサ完成!

ヨモギの葉の量のうち、モグサになれるのは、たった5%!

 

 

 

『点灸 てんきゅう』
モグサを米粒ほどに指でひねったものを
ツボに置き、線香で点火。
皮ふ上にシールを貼ってからモグサをのせれば
灸の跡が残りません。

 

 

『しょうが灸』
スライスしたしょうがを皮ふとモグサの間に置く。
他には、スライスしたニンニクでも。

 

 

『灸頭鍼 きゅうとうしん』
名前のごとく、鍼の先にモグサをつけて点火。
伝導熱でツボの中まで温まります。
中国留学中、師匠はこの方法をよく使っていました。

 

 

『棒灸 ぼうきゅう』
モグサをタバコのように和紙でくるんで棒状にしたもの。
皮ふから3~5㎝離して温める。
棒灸は手や足、お腹など広範囲に温められ、
操作も簡単。

 

 

『箱灸 はこきゅう』
底をくりぬいた五合升に、ステンレス製のパッド、
その中に棒灸をカットしたものを入れます。
お尻やお腹、背中の上に置き、
温かさは上にのせた木ブタで調整。
棒灸同様、広範囲に長い時間温められます。

 

 

『台座灸』
台座の上にモグサがくっついている。
台座の下にはシールがついているので、
どこのツボにもしやすい!
自宅で自分でお灸するのには、簡単です。

 

お灸には、いろいろな方法があります。

江戸時代から庶民に親しまれてきたお灸。
日本の風土や日本人の体質にはあっていると思います。

今日もサイコーに長いブログ。
最後まで読んで頂き、誠に有難うございます!