コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

魚の目の治療~鍼灸編

魚の目を取る方法として、『点灸 てんきゅう』というお灸の手技がある。

 

ツボに『灸点紙 きゅうてんし』というシールを貼る。

 

その上に、米粒大の円錐形のモグサをのせる。

 

お灸用の線香でモグサの先端に火をつけ、お灸をする。火が消えたら、灰の上に、新しいモグサをのせ、火をつけ、お灸をする。1つのツボに対して、この工程を7回ほど繰り返す。

皮膚の上に灸点紙を貼るので、跡は残らない。とはいえ、燃え終わる時、ピリッと一瞬熱さを感じる。そこが『点灸』の素晴らしい所。ツボの中の中まで、刺激が伝わる。

 

分かりますか?左足の裏、小指の下に、魚の目ができちゃった!

 

思い起こせば、昨年の夏。この辺り(赤丸)の皮膚が硬くなり、タコができたと思っていた。秋に入り、常時、靴下を履くようになり、その存在を忘れていた。

この冬、室内履きを履かずにフローリングを歩いていたら、足裏にズキッ!と痛みが走った。目を凝らして見ると、直径1mm程度の魚の目になってる~~~~~!タコから魚の目に変化するの?

点灸の出番です!

 

魚の目を中心とした『硬くなっている皮膚』の上ぎりぎりに、円錐形のモグサをのせる。

 

モグサの先端に線香で火を付ける。

 

『灸点紙』というシールを貼らなくても、皮膚が分厚くなっているから、お灸の熱さを感じない。

 

あっという間に、燃え終わる。この上に新しいモグサをのせ、お灸をする。この工程を20~25回ほど繰り返す。すると…。

 

皮膚が焦げる。毎日、ここに点灸を20~25回程度続けると、この部分の皮膚がかさぶたになる。やがて、かさぶたが自然にはがれる。その時に、魚の目の芯も取れたら、ばんざーい!

まだ、魚の目の芯が残っていたら、点灸を続ける。かさぶたを何回か繰り返し、芯が取れるまで、数か月かかることもある。

コトーは点灸をするのを忘れがちで、なかなか進展しないまま、ゴールデンウィークに突入。ゴールデンウィーク中は、よく歩き、魚の目の周辺の皮膚がささくれた。

浴槽につかっている時、ささくれを触っていたら、はがれ始めた。指でつまんで引っ張ると、ささぐれがピローッとはがれた。何気なく、取れたささくれの裏を見ると、魚の目の円錐形の芯(高さ1.5㎜程度)が付いている~~~!

イヤイヤ、こんな簡単に芯が取れるわけがない。皮膚の奥に芯が残っているかも…。時間が経つうちに、魚の目周辺の皮膚が柔らかくなった。

 

魚の目の芯で分断されていた、足の裏の指紋も一直線になっている。きたない足の裏をお見せして、申し訳ない!

魚の目は完全に取れた気がする。『魚の目への点灸』を実体験で報告するつもりが、このような展開となり、う~ん、何とも言い難い…。

福岡県福岡市にある、女性専門の鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

5月22日(月曜日)~6月4日(日曜日)の期間、研修のため、休診させていただきます。長期間、ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性⑳~総集編

体と心の不調は、『気(=エネルギー)』と『血(けつ)(=栄養)』が滞った状態。

気と血を全身に巡らすのは、『経絡 けいらく』。気と血の巡りが悪いと、経絡上のツボに反応が現れる。それらのツボに、鍼やお灸をして、気と血の巡りを促し、体と心の不調を整える。

 

この特集のトップバッターは、『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』(赤いライン)という経絡だった。鎖骨の下にあるツボ『中府 ちゅうふ』に始まり、親指の先にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わる。その上に、11個のツボがある。左右対称に経絡はあり、合わせて22個。

この経絡は、体内で肺につながる。東洋医学から見た『肺の機能』は、呼吸だけではない。全身に水分を巡らす。皮毛(ひもう)(=皮膚とうぶ毛)をつかさどる。外邪(=風邪・花粉症・細菌など)の侵入を防ぐ。

五臓六腑は、感情とも結びついている。『肺』は、『悲しみ・憂い』と関係深い。『強い悲しみ』は、肺に影響を与える。

特集ブログで紹介した、12本の経絡は、すべてつながり、1本の輪となっている。

 

『手太陰肺経』の最後のツボは、『少商』。親指の先にある。そこから…。

 

『手陽明大腸経 て・ようめい・だいちょうけい』の最初のツボ、『商陽 しょうよう』につながる。人差し指の先にある。

この経絡の上に、ツボは20個。体内では『大腸』につながる。

『大腸』と『肺』はペアで、お互い影響しあっている。『肺』の症状を治す時に、『手陽明大腸経』の上にあるツボを使うことがある。その反対もしかり。

 

 

『手陽明大腸経』の最後のツボは、『迎香 げいこう』。小鼻の横にある。そこから…。

 

『足陽明胃経 あし・ようめい・いけい』の最初のツボ、『承泣 しょうきゅう』につながる。黒目の下にある。

この経絡は長く、ツボの数は45個。ツボ1つ1つに働きがある。例えば、…。

 

膝下にあるツボ『足三里』は、胃の不調を整えるだけでなく、脚の疲れを取り、健康の維持・増進に働きかける。セルフお灸にもおすすめ。しかし、ツボの取り方がやや難しい。チャレンジしたい方は、ブログ【動画で見る!ツボの取り方】胃の不調や脚の疲れ、健康に維持・増進に働きかけるツボ『足三里』 を見てねぇ~。

 

『足陽明胃経』の最後のツボは、『厲兌  れいだ』。足の人差し指の先端にある。そこから…。

 

『足太陰脾経 あし・たいん・ひけい』の最初のツボ、『隠白 いんぱく』につながる。足の親指の先端にある。

そして、最後のツボは、『大包 だいほう』。脇の下にある。そこから…。

 

『手少陰心経 て・しょういん・しんけい』の最初のツボ、『極泉 きょくせん』につながる。脇の下の、少し上にある。

そして、最後のツボは、『少衝 しょうしょう』。小指の先端にある。そこから…。

 

『手太陽小腸経 て・たいよう・しょうちょうけい』の最初のツボ、『少沢 しょうたく』につながる。小指の先端にあるが、『少衝』とは位置がずれている。

そして、最後のツボは、『聴宮 ちょうきゅう』。耳の前にある。そこから…。

 

『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』の最初のツボ、『睛明 せいめい』につながる。

12本の経絡の中で、この経絡が一番長い。目頭の横にあるツボ、『睛明』に始まり、頭頂部、首、背中、お尻、脚の後面と下行し、足の小指にあるツボ、『至陰 しいん』で終わる。

ツボの数も一番多い。片側だけで63個。

首から背中・お尻を通っているので、首こりや背中の痛み、腰痛、お尻の痛みの治療によく用いられる。

 

背中において、経絡は2本(黒線)になる。背骨側(=内側)の経絡上にあるツボ、『肺兪(はいゆ)』と『心兪』。

 

その下には、肝兪、胆兪、脾兪、胃兪、三焦兪、腎兪。『〇〇兪』と名がつくツボは、各々の臓器の経気(=エネルギー)が、そのツボに巡っている。そのため、『足太陽膀胱経』のこれらのツボを使って、各臓器の症状を治すこともできる。

 

『足太陽膀胱経』の最後のツボ、『至陰 しいん』から…。

 

『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』の最初のツボ、『湧泉 ゆうせん』につながる。足の裏にある。

そして、この経絡の最後のツボは、『兪府 ゆふ』。鎖骨の下にある。そこから…。

 

『手厥陰心包経 て・けついん・しんぽうけい』の最初のツボ、『天池 てんち』につながる。胸にある。

この経絡は、体内で『心包』につながる。『心包』とは、『心 しん』(=心臓)を包む膜のようなもの。東洋医学でも『心』は重要視され、臓器を包んで保護する膜は、『心』以外にはない。

 

この経絡の最後のツボは、『中衝 ちゅうしょう』。中指の先端にある。そこから…。

 

『足少陽三焦経 あし・しょうよう・さんしょうけい』の最初のツボ、『関衝 かんしょう』へ。薬指の先端にある。

この経絡は、体内で『三焦 さんしょう』につながる。といっても、三焦は特定の臓器ではない。気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)と津液(しんえき)(=水分)を作り出し、全身に行き渡らせる機能のこと。

 

この経絡の最後のツボは、『絲竹空 しちくくう』。眉毛の外側にある。そこから…。

 

『足少陽胆経 あし・しょうよう・たんけい』の最初のツボ、『瞳子髎 どうしりょう』へ。目尻の外にある。

この経絡は側頭部をぐるぐる回っているので、片頭痛や耳のトラブルに用いられることが多い。

 

最後のツボは、『足竅陰 あしきょういん』。足の薬指の先端にある。そこから…。

 

『足厥陰肝経 あし・けついん・かんけい』の最初のツボ、『大敦 だいとん』へ。足の親指の先端にある。

そして、最後のツボは、『期門 きもん』。肋骨の下にある。そこから…。

 

『手太陰肺経』の最初のツボ、『中府 ちゅうふ』へ。

おーっ、やっと1周したー!12本の経絡は、1本の輪となり、気と血を全身に送り、体と心の健康を保つ。

鍼灸治療をちょっとご紹介。まず、問診・視診・触診などで、臓器も含めた『体と心のバランスの崩れ』を探り出す。そして、どの経絡のどのツボを使い、どのような鍼灸の手技で治すのか、見定める。実際に治療し、どのように変化したのか評価し、また仮説を立て、治療し…。そんなふうに、治療を進めていく。

今回の特集ブログでは、東洋医学の奥深さを再発見!ついつい深堀して、皆さんの頭の上に、???(はてなマーク)が浮かんだ日もあったのでは…。失礼いたしました!この特集におつきあいいただき、誠にありがとうございました。

念願だった『ツボ取り動画』もなんとか撮れ、セルフお灸の『おとも』になったらうれしいなぁ…。

今後も、ブログと動画で、分かりやすい『東洋医学と西洋医学の話』をお伝えします!よろしくです!福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

【動画で見る!ツボの取り方】婦人科の症状や自律神経の乱れ、足先の冷え、目の疲れなどに働きかけるツボ『太衝 たいしょう』

『太衝 たいしょう』というツボは、『足厥陰肝経 あし・けついん・かんけい』(赤いライン)という経絡の上にある。『太』は、『大きい』という意味。『衝』は、『要衝』のこと。『太衝』は、『足厥陰肝経』にとって重要なツボに当たる。

 

『足厥陰肝経』という経絡は、体内で『肝』とつながっている。肝の働きには、『血の貯蔵』と『血量の調節』がある。そのため、PMS(月経前症候群)・生理痛・生理不順・無月経・更年期症状など婦人科の症状や、高血圧、足の冷えの治療に、ツボ『太衝』は用いられる。

また、肝は精神活動とも深く関係している。イライラ感、不安感、ストレス、不眠、自律神経失調症などがあり、情緒を安定させたい時、『太衝』に鍼やお灸をする。

頭痛やのぼせ、めまい・耳鳴り・目の疲れにも用いられ、このツボの活用範囲は広い。肝の働き自体が、多岐にわたっているからなぁ…。

肝の働きについては、ブログ『特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性⑲~足厥陰肝経』を見てね。ツボや経絡の働きを知ると、どのツボを使おうか、選びやすくなるよ。

『イライラする』『そわそわする』『うじうじする』『ふわんふわんする』『ドヨ~ンとする』『ハァーッとため息…』そんな気持ちを切り替えたい!立て直したい!何とかしたい!時に、『太衝』もいいし、『内関 ないかん』もいいよ~。

ツボ『内関』は腕にある。詳しくは、ブログ【動画で見る!ツボの取り方】自律神経を整えるツボ『内関  ないかん』をご覧くださ~い。 

『太衝』は足の甲にあり、ツボの取り方は『内関』よりも簡単。『太衝』にセルフお灸をしてみたい方は、下記のツボ取り動画をどうぞ!

 

2023年春!舞鶴公園の桜をテ~クテ~ク散策!

福岡市にある、舞鶴公園へ花見に出かけた。

 

以前、撮った福岡城跡。

1600年、黒田長政は、関ヶ原の戦いの功績で、筑前52万石の大名となった。福岡藩初代藩主となり、1601年から7年の歳月をかけて、福岡城を築き上げた。

福岡は海に面している。海側から城を望むと、鶴が羽ばたく姿と似ていたので、『舞鶴城』とも呼ばれていた。

現在、天守閣などの城は残っていない。総延長3㎞を超える石垣が残っている。石垣の高さは10m以上のところもある。

 

石垣の角は『算木積み (さんきづみ)』という手法が使われ、石垣の強度がアップする。今から420年ほど前、重機がない時代に、人力でこれほど精巧な角のラインを造るとは!ご先祖様、素晴らしい!

舞鶴公園は、その城内にあり、約500本の桜が植えられている。

 

晴天下では、新緑もまぶしい。ゆるやかな坂を上ると、石垣の上に出た。

 

先ほどの新緑は紅葉だったのねぇ~。更に、城内を歩くと…。おーっ!

 

年季の入った桜が連なる。おっ?近づくと…。

 

幹がねじれてる!若く細かった幹が『横に倒れては戻る』を繰り返しながら成長したのかなぁ…。幹の間から、赤ちゃん枝が育ってる

 

背の高い、しだれ桜。

 

桜餅ってピンク色だけど、桜の花びらは意外と白に近い。

 

しだれ桜の中には、濃いピンク色もあり、青空に際立つねぇ~。更に、城内を歩き、石段を上り、一番高い所から眺めると…。

 

福岡城跡の向こうは、ビルやマンション。黒田長政は天守閣から、ビル群の背後にある、海を眺めていたんだろうなぁ…。

花見を堪能した後は、街中をテクテクテク。あっ!

 

花が桜に似ているけれど桜じゃない。何という名前だったか、うーっ、思い出せない。

 

あっ!更に濃いピンク色。もちろん、花の名前は…、知らない。

時間に余裕があるときは、公共の交通機関を使わずに、徒歩で移動する。こんな風に、元気いっぱいの花たちに巡り合えるのは、散歩の楽しみ。体力や筋力の維持にもなる。そして、目的がもう1つ。

もし、外出先で大地震などの大災害にあい、電車やバスがストップし、携帯電話などの通信機器も使えなかったら…。歩いて自宅まで帰れるように、ルートを覚えている。しかし、コトーの方向音痴はひどい!

18年ほど前の話。車を運転して、高速で北九州まで行こうとした。右手の福岡空港を超えて直進しないと、高速の入り口にはたどり着かない。滅多に走らない道で右折するタイミングがよく分からない。

前を走る車につられたのか、気づくと、福岡空港のターミナル。1周しただけでは外に出れず、2周した。ハハハハハー!

北九州から戻り、高速を下りれたが、その先が分からなくなった。直進していると、やがて、『この先、北九州』の看板。ア~~~!また、北九州へ行こうとしていた。

今も、方向音痴は変わらない。グーグル・マップで念入りに目的地までのルートをチェックするが、1つ手前の交差点で曲がったりする。「こっちかなぁ…」という感は、当たったためしがない。ルートを覚えるには、数をこなすしかない!よね?

さて、おまけの話。

ツボ取り動画の編集をしようとしたら、ない!ない!ない!撮ったはずの動画の一部がない!間違って消しちゃった?自分で編集するので、消したのは自分だけど…ど…ど…。もう1度撮り直す?す?す?それしかないけどーっと、行き場のない気持ち…。

福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性⑲~足厥陰肝経(あしけついんかんけい)

赤いラインは、前回の特集ブログで紹介した『足少陽胆経 あし・しょうよう・たんけい』という経絡。

目尻の外側にあるツボ『瞳子髎 どうしりょう』に始まり、側頭部を往復する。そして、うなじ・肩・脇腹・脚の外側を下行する。更に、外くるぶしの前、足の甲を通り、足の第4趾(薬指)の先端にあるツボ『足竅陰 あしきょういん』で終わる。そこから…。

 

『足厥陰肝経 あし・けついん・かんけい』という経絡につながる。

足の親指の先端にあるツボ『大敦 だいとん』に始まり、足の内側を上行する。更に、おなかを通り、肋骨の下にあるツボ『期門 きもん』で終わる。

この経絡は左右対称にあり、片側14個ずつ、ツボがのっている。体内では、肝・胆・肺・のど・目・前頭部・脳・唇につながる。

 

肝臓は、右下部肋骨の高さ、かつ、横隔膜の下にある。

肝の働きは、大きく2つある。

1つ目は、疏泄(そせつ)作用。疏泄とは、『通りをよくする』ということ。

気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養分)が全身にしっかりと行き渡るように、肝は『気と血の流れ』をサポートしている。気と血が臓器や器官などにしっかりと届けば、臓器や器官などは、各々の働きをしっかりと遂行できる。

肝が不調だと、気と血の流れが滞り、臓器や器官などの働きも不調となる。例えば…。

 

久しぶりに登場!胃気(いき)!胃を働かせる気(=エネルギー)。

胃気には、『下行する』という特徴がある。詳しくは、ブログ『特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性④~足陽明胃経(あし・ようめい・いけい)・前編』を見てね。

肝は『胃気の下行』をサポートしている。

 

この方も久しぶりの登場!脾気(ひき)!脾を働かせる気(=エネルギー)。

脾気には、『上昇する』という特徴がある。詳しくは、ブログ『特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性⑥~足太陰脾経(あし・たいん・ひけい)・前編』を見てね。

肝は、『脾気の上昇』もサポートしている。

胃と脾のメインの仕事は、消化活動。肝が不調になると、『胃気の下行』と『脾気の上昇』が滞り、消化活動に影響が出てくる。

東洋医学では、臓器が感情を司っている。肝は、『怒り』という感情と関係が深い。肝の疏泄作用が過剰になると、怒りっぽい・落ち着かない・不眠…などの症状があらわれる。逆に、疏泄作用が不足すると、気分が落ち込む・ため息を多くつく・悩み事や心配事が多い…などの症状があらわれる。

肝の働きの2つ目は、『蔵血(ぞうけつ)作用』。激しく体を動かしている時、肝は貯蔵している血(ち)をたくさん送り出す。逆に、休息している時や寝ている時、たくさんの血は必要ないので、肝は最低限の血を全身に送り出し、残りは貯蔵する。

肝の蔵血作用は、女性の生理にも関係する。肝の蔵血作用が弱ると、PMS(月経前症候群)や生理中の血塊(けっかい)(=ベタッとした血の塊)があらわれやすい。

 

膝の内側が痛い時には、『足厥陰肝経』のうえにあるツボ『膝関 しつかん』や『曲泉 きょくせん』への鍼灸治療がおすすめ。

 

こちらは、右脚を前から見たイラスト。膝の内側が痛い時は、内ももの筋肉(赤い部分)が硬くなっていることが多い。膝周辺は特に硬く、お灸よりも鍼のほうが緩ませやすい。

 

膝周辺には、鍼の先端にモグサを差し込み、お灸もする『灸頭鍼 きゅうとうしん』もおすすめ。膝の中の中まで温め、緩みやすい。

 

肋骨の下にあるツボ『章門 しょうもん』。別名、『臓会 ぞうえ』。五臓の気(=エネルギー)が集まるツボなので、そう呼ぶ。重要なツボなんだなぁ…。

 

赤いラインは、『帯脈 たいみゃく』という経絡。今まで、特集で紹介してきた経絡たちは、体内で五臓六腑とつながる、『同士』だった。しかし、『帯脈』は別物。

帯脈は、『章門』から始まり、腰を一周する。この経絡だけが、体の横を走っている。縦に走っている経絡たちを、帯脈は束ねている。ベルトのような存在。

他の経絡たちが緊張している時、帯脈は自ら緩み、他の経絡たちを緩ませる。他の経絡たちがだらけている時、帯脈は自らを引き締め、他の経絡たちを引き締める。帯脈は、縁の下の力持ちなんだなぁ…。

そのため、『足厥陰肝経』と『帯脈』の上にあるツボ『章門』は、鍼灸治療でよく使う。

日々の忙しさやストレスは、心身の緊張を生み、呼吸は浅くなる。そんな時、『章門』など帯脈を意識した鍼治療をすると、「呼吸が楽になった」「深く呼吸ができる」と実感される方が多い。

 

足の甲にあるツボ『太衝 たいしょう』もよく使う。

血(ち)の巡りをコントロールする作用があるので、PMS・生理痛・生理不順・不妊症・不育症・更年期症状など婦人科の症状に用いる。また、足先の冷えや足の甲の痛みに用いる。イライラする、怒りっぽい、という感情がある時も『太衝』の出番!

セルフお灸がしやすいので、次回、『ツボ取り動画』と共に、紹介するよ~ん。

今回のブログは短くなるかなぁ…と、書き始めは思っていたけれど、かなり長くなった…。難しい話を最後まで読んでいただきありがとー!!!

福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニングの≪レディース鍼灸ことうプラウ≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。