『自分の意志で指を動かす』しくみを知ろう!
これは、『深指屈筋 しんし・くっきん』という筋肉。肘の手前の骨(=尺骨 しゃっこつ)に付き、手首に近づくと『腱』になり、手首・手のひらを通って、人差し指から小指まで4本の、先端の骨(=末節骨 まっせつこつ)に付く。
脳が、「4本の指を先端までしっかりと曲げろー!」と指令を送る。それは、神経をつたい、深指屈筋へ。指令を受け取った深指屈筋は、「分かりましたー!」と筋肉をぐぐっと収縮させる。すると、腱と先端の骨は肘方向に引っ張られ、4本の指は先端までぐぐっと曲がる。
「4本の指の力を少し緩めて~」と脳が信号を送ると、どうなるか。4本の指を伸ばす筋肉がちょこっと収縮し、曲げる筋肉『深指屈筋』は少し緩み、腱と先端の骨も引っ張られる力が少し緩み、4本の指は少し伸びる。屈筋と伸筋が速度やパワーを協調しあいながら、収縮と弛緩を繰り返すことにより、手の関節を動かしている。
指は10本あり、関節もたくさんある。脳はそれぞれの関節に一斉に信号を送り、それを受け取った筋肉たちは瞬時に収縮あるいは弛緩し、10本の指は脳が思った通りに動く。すごいねぇ~。
筋肉や腱を滑らかに動かすには、エストロゲンがかかせない!
筋肉の先端は腱となり、骨に付く。筋肉が働くと、腱は『伸びたり元に戻ったり』を繰り返している。その繰り返しをスムースにしているのが、『腱鞘 けんしょう』。腱は、『腱鞘』という筒につつまれている。
女性ホルモンの1つ『エストロゲン』は、血液とともに血管の中を流れている。様々な臓器や器官には、エストロゲン受容体が設置され、流れてきたエストロゲンをキャッチする。そして、エストロゲンは、キャッチされた臓器や器官の働きをサポートする。
エストロゲン受容体には、『α アルファ』と『β ベータ』の2種類ある。腱や関節・靭帯を包む『滑膜』に設置しているのは、エストロゲン受容体β。エストロゲンは各々のエストロゲン受容体βと結合し、腱や関節の滑らかな動きをサポートする。
エストロゲンは生殖器の子宮・卵巣・前立腺・精巣だけでなく、脳・肺・腎臓・膀胱・骨・滑膜など様々な所で、機能をサポートしているよ~。
エストロゲンの減少が原因だった、手のこわばり・痛み・しびれ・変形…
女性では、40歳頃からエストロゲンが減り始め、65歳ぐらいには初潮前と同じくらいの値になる。
エストロゲンが減少すると、サポートが減ってしまった腱や腱鞘は摩擦で腫れやすくなり、手のこわばりを感じるようになる。そのまま放置していると、腱鞘炎になり、痛みやしびれが出て、7-10年後には、『プシャール結節』『ヘバーデン結節』という指の関節変形が起こるかも…。指の変形が起きるのは60代が多い。
すべての更年期女性に現れるわけではないが、更年期における手の不調の原因は、『使いすぎ』や『年だから…』ではなく、エストロゲンの減少が考えられる。
産後授乳期の方も、エストロゲンが減少するので、手のこわばりや痛みなど似た症状を起こすことがある。授乳が終われば、エストロゲン値は上昇し、指の症状は消える。7年以上授乳が続くことはないので、手の変形は出ない。
お~、ここまで説明が難しかったなぁ~。次回は、手の腱鞘炎である『ばね指』『ドバルケン病』『手根管症候群 しゅこんかん・しょうこうぐん』、指の関節の変形が起こる『プシャール結節』『ヘバーデン結節』の症状と治療について紹介するよ。そして、セルフケア、鍼灸治療…と続く。
お盆最終日。台風7号の影響を受ける方々は、くれぐれも気を付けてください。台風6号では、去った後の吹き返しの強風も長かった。台風7号でも十分に注意してください!
福岡県福岡市にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。