コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性⑤~足陽明胃経・後編

足陽明胃経(あし・ようめい・いけい)という経絡(赤いライン)の上に、ツボが45個ある。その中から3個、紹介するよ~ん。

 

顎にあるツボ『頬車 きょうしゃ』(赤丸)。古代中医学では顎の骨のことを『頬車骨』といい、その上にツボがあるので『頬車』と名付けられた。

これらは食べ物をかみ砕く時に働く筋肉。『頬車』は『咬筋』という筋肉の上にある。顎関節症や歯ぎしり、歯の食いしばりが強いと、顎周辺の筋肉がこわばり、痛みやだるさが生じる。そんな時、『頬車』にちょこん!と鍼を置いて、咬筋のこわばりをほぐし、痛みやだるさを和らげる。顔にあるのでお灸はしない。

 

こめかみにあるツボ『頭維 ずい』(赤丸)。『維』は中国語で『角 かど』のこと。正面から顔を見た時、このツボが頭の角(かど)付近にあるので、『頭維』と名付けられた。

食物をかみ砕く時に働く筋肉は、こめかみ周辺にもある(側頭筋)。顎関節症や歯ぎしり、歯の食いしばりによる痛みやだるさには、このツボにもちょこん!と細くて小さな鍼を置く。こめかみ周辺がズキンズキン!と痛む片頭痛でも、ここに鍼を置いて痛みを和らげる。

 

おへそ(青丸)の外側にあるツボ『天枢 てんすう』(赤丸)。ツボモデル君の左側は筋肉が描かれているが、左側にも『足陽明胃経』はあり、『天枢』は左にもあるよ。『天』は上部のこと。『枢』は要(かなめ)のこと。古代中医学では、腹部はおへそを境に、上を『天』、下を『地』としていた。おへそは天と地の境となる要所。『天枢』はおへそのすぐ近くにあり、胃や腸の気(=エネルギー)を整える重要なツボでもあり、『天枢』と名付けられた。下痢、便秘、腹痛、腹脹(お腹が張る)、腹鳴(お腹が鳴る)など、消化器系の症状だけでなく、生理痛や生理不順など婦人科の症状にも『天』に鍼やお灸をする。

 

モグサを固めて和紙でくるみ、タバコ状にしたお灸。棒灸。皮膚から数㎝離して温める。棒灸は動かせるので、『天枢』だけでなくお腹全体を温めることが出来るよ!

黒目の下にあるツボ『四白 しはく』。膝上にあるツボ『梁丘 りょうきゅう』。すねにあるツボ『足三里』。この3つは一般の方でもツボが取りやすく、セルフお灸もおすすすめ。ツボ取り動画を撮ってみた。次回から、順を追って紹介するよ~。福岡市南区にある、女性専門女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性④~足陽明胃経・前編

経絡はメジャーなものでも12本ある。これらは端と端がつながって1つの輪となり、全身に気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)を送る。

特集ブログで一番最初に紹介した経絡、『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』。肺経は、鎖骨の下にあるツボ『中府 ちゅうふ』から始まり、親指にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わり……、

前回紹介した『手陽明大腸経 て・ようめい・だいちょうけい』につながる。大腸経は、人差し指にあるツボ『商陽 しょうよう』から始まり、小鼻の横にあるツボ『迎香 げいこう』に終わり……、

足陽明胃経(あし・ようめい・いけい)につながる。

 

胃経は、黒目の下にあるツボ『承泣 しょうきゅう』から始まり、鼻と口の外側を下行し、顎にあるツボ『大迎 だいげい』から上行し、こめかみにあるツボ『頭維 ずい』に至る。

顎にあるツボ『大迎 だいげい』からは下行するコースもある。のどを下行し、鎖骨の上にあるツボ『缺盆 けつぼん』を通り、胸の中央、お腹、太もも、すね、足の甲、と下り、足の人差し指にあるツボ『厲兌 れいだ』で終わる。この経絡は長く、顔にあるツボも含めて45個ある。

鎖骨の上にあるツボ『缺盆 けつぼん』からは体内に入るコースもあり、臓器の『胃』と『脾』を通って、体表のツボ『気衝 きしょう』で合流する。胃と脾は表裏関係にあり、2つの臓器は経絡で結ばれているんだなぁ…。

東洋医学で考える『胃の働き』は3つ。1つ目は、口から入った飲食物を胃に納めること。2つ目は、胃の中で飲食物を消化し、ドロドロの状態にすること。3つ目は、ドロドロになった飲食物を腸に送ること。

これらがつつがなく遂行されるために必要なものは、『胃気 いき』。胃を働かせる気(=エネルギー)。胃気には『下降する』という特徴がある。口から取り込んだ飲食物を下降させ胃に送り込み、ドロドロにしてから下降させ腸へ送る。胃気がしっかり働かないと、それらが十分に遂行できず、お腹が張る、腹痛、便秘、などの症状が現れる。

自分が胃気になってみた。深い意味はない。ふと頭に浮かんだイラストを描いてみたかっただけ…。ぶははははー!

気は、取り込んだ飲食物と吸い込んだ空気から作られ、体内でたくさんの形に変化する。胃に入れば『胃気』。脾に入れば『脾気』。胃気(脾気も含む)が充実していれば病気になりにくく、弱ると病気の原因となる。また、病気となっても胃気の力が残り、食欲があれば病気は回復に向かう。

栄養のバランスの取れた食事を適量いただくことは、胃気や脾気の力を保ちつつ飲食物をしっかり消化・吸収することに直結し、病気や未病(病気の一歩手前)の予防と健康維持につながるんだなぁ…。

次回は、『足陽明胃経』のツボの中で、コトーが鍼灸治療でよく使うツボを紹介するよ~。お楽しみに~!福岡市南区にある女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性③~手陽明大腸経

いきなり問題!東洋医学用語『五臓六腑』の、5つの『臓』と6つの『腑』ってなーんだ?自分の内臓を思い出してみよう!11個あるかな?

五臓は、肺・心・肝・脾・腎。中身が詰まっている器官。気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)と津液(しんえき)(=水分)を作り出し、蓄える。六腑は、胃・小腸・大腸・膀胱・胆・三焦(さんしょう)。中が空洞の器官。三焦以外の5つの腑はつながっている。口から取り込んだ飲食物を消化し、気・血・津液の原料となる物と、そうでない物(不要物)に分ける。また、不要な物は尿や便として排出する。三焦は特定の臓器ではない。気と血と津液を作り出し全身に行き渡らせる、一連の機能を指す。となると、五臓の肺・心・肝・脾・腎と、五腑の胃・小腸・大腸・膀胱・胆の機能は、三焦の機能に含まれる。

東洋医学では体幹部の機能を3分割する。横隔膜よりも上の、胸部の機能を『上焦 じょうしょう』といい、心や肺の機能が含まれる。横隔膜よりも下でヘソよりも上の機能を『中焦 ちゅうしょう』といい、脾や胃などの機能が含まれる。ヘソよりも下の機能を『下焦 げしょう』といい、小腸・大腸・腎・膀胱などの機能が含まれる。上焦と中焦と下焦を合わせて『三焦』という。ほほほーっ。

三焦の一連の機能の中で、大腸が果たす役割は2つ。口から取り込んだ飲食物は小腸で消化・吸収され、残りカスは大腸へと送られる。大腸は、残りカスから水分を吸収し大便を作る。そして、大便を体外に出すために、下へ(肛門へ)と運ぶ。

赤いラインは、体表を通る『手陽明大腸経 て・ようめい・だいちょうけい』という経絡。人差し指にあるツボ『商陽 しょうよう』から始まり、腕の外側を上がり、首・下顎を通り、下の歯に入り、鼻の下から反対側の小鼻にあるツボ『迎香 げいこう』で終わる。この上にツボは20個。経絡の通り道である、手首や腕・肩・首の症状(コリや痛みなど)に対して、ツボに鍼やお灸をすることが多い。

黄色のラインは、体内を通る『手陽明大腸経』。体表を通る『手陽明大腸経』の鎖骨上部から枝分かれして、体内に入る。下行して肺と連絡し、更に下行して横隔膜を貫き大腸に入る。

黄色のラインは、体内を通る『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』という経絡。胃のあたりから始まって、大腸に連絡し、横隔膜を貫いて肺に入る。大腸と肺は『表裏関係』といわれ、2つの臓器の『気』の結びつきは他の臓器よりも強い。

肺を膨らませて空気を吸った時に『天空の気(=エネルギー)』も吸い込む。肺にトラブルが生じ肺の気が滞ると、大腸の気や働きも滞り、排便困難や便秘・下痢などの症状が現れることもある。

赤いラインは、体表を通る『手太陰肺経』。体内を通っていた肺経は、鎖骨近くのツボ『中府 ちゅうふ』から体表に出て、親指にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わり、それから…。

『手陽明大腸経』の始まりのツボ『商陽 しょうよう』につながる。『手太肺経』と『手明大腸経』もペアであり、のバランスをとっている。鍼灸治療では、『大腸』や『手陽明大腸経』のトラブルを『手太陰肺経』にあるツボを使って治すこともあれば、『肺』や『手太陰肺経』のトラブルを『手陽明大腸経』にあるツボで治すこともある。う~ん、東洋医学は奥が深い。深い話過ぎて分からなかったら……、う~ん、ごめんなさい。説明が難しい。

『手陽明大腸経』のツボの中で、コトーがよく使い、かつ、一般の方でもツボ取りやお灸がしやすいツボを選んでみた。合谷(ごうこく)、陽谿(ようけい)、手三里(てさんり)、曲池(きょくち)、迎香(げいこう)の5つ。合谷は、ツボ取り動画と一緒にブログで紹介したことがあるので、他の4つを紹介していくよー!よろしくです!福岡市南区にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

【動画で見る!ツボの取り方】呼吸器の症状や首こり・肩こりに働きかけるツボ『中府 ちゅうふ』

赤いラインは、『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』という経絡。体内では肺にもつながっている。イラストには描かれていないが、左にも対称的に『手太陰肺経』はある。鎖骨の外側の下にある『中府 ちゅうふ』というツボに始まり、腕の内側を通り、親指にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わる。この経絡にはツボが11個。左右合わせて22個。

呼吸器(=肺)が不調な時は、この経絡を流れる気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)が滞ったり不足している。そして、経絡上のツボにも反応が現れる。あるツボを押すと、他のツボよりも圧痛が強かったり、皮膚がへこんだり、ざらついたり…。11個のツボのうち、反応が出やすいのが『中府』。『中府』に鍼やお灸をして、風邪や喘息など呼吸器の症状を緩和させる。

大胸筋(だいきょうきん)(オレンジ色)は胸にあり、手作業をする時に働く筋肉。パソコンやスマートフォンなど手作業をしすぎた時には、首や肩だけでなく、この筋肉も凝る。大胸筋の上に『中府』(青丸)があるので、首こりや肩こりの鍼灸治療でも、『中府』に鍼やお灸をして、大胸筋のコリをほぐす。

さて、『中府』という名前の由来の話。『中』は『中焦(ちゅうしょう)の気(=エネルギー)』のこと。『府』は『経絡の気が集結する所』という意味。中焦の気が最初に集まる所なので、『中府』と名付けられた。

東洋医学では体幹の機能を3分割している。横隔膜(紫色)よりも上の胸部を『上焦 じょうしょう』といい、心や肺が含まれる。横隔膜より下でヘソよりも上を『中焦』といい、脾や胃などが含まれる。ヘソよりも下を『下焦 げしょう』といい、小腸・大腸・腎・膀胱などが含まれる。ここで、「あれ?」と疑問に思った方がいるのでは?肺は上焦にあるから『上府』と命名されるべき?

黄色のラインは体内を巡る『手太陰肺経』。中焦から始まり、下って大腸へ。そこから、胃に上り、横隔膜を貫いて肺へ。そして、気管に上り、左右に分かれて脇の下へ向かい、ツボ『中府』で体表に出る。『中府』から、体表の『手太陰肺経』がスタートする。『手太陰肺経』は中焦から始まるので、『上府』ではなく、『中府』という名前がついた。う~~~ん、東洋医学は奥が深い。

『中府』の上に『雲門 うんもん』というツボがある。『雲門』のツボの位置を確認しないと、『中府』のツボを取れない。『中府』のツボ取り方法を動画にしてみたが、説明が難しく、10回ほど撮り直した。苦心の作を見てほしいなぁ~。

次回は特集ブログに戻ります。『大腸』にもつながっている『手陽明大腸経絡 て・ようめい・だいちょうけい』の話となります。よろしくです!福岡市南区にある女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の女性鍼灸師・理学療法士のコトーでした。

 

特集:五臓六腑と経絡とツボと鍼灸の関係性②~手太陰肺経

体と心の不調は、気(=エネルギー)と血(けつ)(=栄養)が滞った状態。気と血を全身に巡らすのは経絡(けいらく)。気と血のめぐりが悪いと、経絡上のツボに反応が現れる。そのツボに鍼やお灸をして、気と血の巡りを促し、体と心の不調を整える。今回は『肺』の症状と、それらにかかわる経絡とツボについて書いてみようと思う。難しそうだなぁ…。頑張るぞ!

肺は呼吸をつかさどる。肺が不調になると、咳・痰・息切れ・喘息など呼吸器の症状が現れる。また、肺は鼻やのどと関係し、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・声がれ・のどの痛みなどの症状も現れる。

東洋医学からみた『肺』は他の働きもある。

肺を膨らませて空気を吸うときに、『天空の気』というエネルギーを吸い込む。私たちは、口から取り込む飲食物から『後天の精 こうてんのせい』というエネルギーを作り出す。『天空の気』と『後天の精』は合わさり、生命活動を維持するためのエネルギーとなる。肺が不調になると『天空の気』を十分には吸い込めず、エネルギー不足で疲れやすくなる。

肺は全身に水分を巡らす働きもある。肺が不調になると水分が全身を巡りにくくなり、むくみが生じたり、汗が出にくくなる。また、肺は皮毛(ひもう)(=皮膚とうぶ毛)をつかさどる。肺の不調で皮膚が乾燥すると、皮膚のかゆみ・アトピー性皮膚炎・口の渇きなどの症状が現れることもある。

肺は外邪の侵入を防ぐバリアを体表に巡らせ、免疫機能を高めている。肺が不調になるとバリアが弱まり、風邪をひきやすくなったり、花粉症が出ることもある。

五臓六腑は感情と結びつきがある。強い『悲しみや憂い』は肺にダメージを与え、肺の症状が出ることもある。

赤いラインは『手太陰肺経 て・たいん・はいけい』という経絡。肩の付け根にあるツボ『中府 ちゅうふ』から始まり、腕の前面を下降し、手の親指にあるツボ『少商 しょうしょう』で終わる。この経絡は体の深部で肺にもつながる。経絡の中を流れる気と血は、体表だけでなく肺にも届く。

『手太陰肺経』の上に、ツボは11個ある。経絡は左右対称にあり、ツボは合わせて22個。肺の不調は、この経絡を流れる気と血が滞った状態。そして、経絡上のツボに反応が現れる。具体的には、押すと他のツボよりも痛みが強い、ツボ周辺の皮膚がざらつく、へこむ、などなど。反応があるツボに鍼やお灸をして、経絡を流れる気と血の量や勢いを調整し、肺の不調を改善する。

反応が現れているツボだけで治療を進めていくわけではない。『風邪をひいて咳や痰・のどの痛みがある、肺がダメージを受けている』とすると、肺にもつながっている『手太陰肺経』の上にあるツボを使って、症状を改善させる。ツボは1つ1つ特徴がある。咳・痰・のどの痛みを鎮める作用をもつツボ『太淵 たいえん』を使おうか、『尺沢 しゃくたく』がいいかな…。諸々の症状に合うツボを選ぶ。

この経絡は体表では腕を通っているので、腕コリ、指コリ、肩コリ、首コリの治療にも、この経絡上のツボを使う。コトーがよく使うツボは『中府 ちゅうふ』。

 

大胸筋(だいきょうきん)という筋肉は胸にあり、手作業をするときに働き、コリやすい。その大胸筋の上に『中府』がある。

今回のブログで紹介した『太淵』『尺沢』『中府』のツボ取り動画を自撮りしたよ。『中府』はツボの取り方がややこしく、10回ほど撮り直した。専門的なことを分かりやすく伝えるのは、動画もブログも難しい。3本の動画はブログとYou Tube チャンネル≪レディース鍼灸ことうプラス≫に載せるよ~ん。

特集ブログは始まったばかり。よろしくです!福岡市南区にある、女性専門鍼灸&パーソナルトレーニング≪レディース鍼灸ことうプラス≫の鍼灸師・理学療法士のコトーでした。