コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

花粉症に皮内鍼(ひないしん)はいかが?

免疫。

疫(疫病)を免れる(まぬがれる)こと。

体の中に侵入しようとする物質を異物かどうかチェックし、

異物と判断したときにはそれを排除するシステムのこと。

 

 

免疫システムには中心となって働く臓器はない。

たくさんの種類の『免疫細胞』、

抗体やサイトカインなど『免疫にかかわる物質』、

リンパ節や脾臓、骨髄など様々な『器官・組織』が、

複雑なネットワークで、免疫システムを構築している。

 

 

例えば、免疫細胞の1つ、マクロファージ。

体内に細菌などの物質が侵入したとき、

マクロファージは積極的にそいつらに近づき、

ぱくついちゃう!

そして、マクロファージはぱくついた物質の一部を、

T細胞(リンパ球の1つ)(免疫細胞)に、

「こんなヤツがいたよ!」と見せる。

すると、T細胞はそいつが異物かどうか判定する。

異物だと判断すると、役割分担された免疫細胞たちに指令を送る。

悪いヤツラだとわかると、マクロファージはバクバクぱくついて、

こなごなにしちゃう!

すごいなぁ…。

 

 

例えば、骨髄。

骨髄は骨の中央にあり、

免疫細胞の元になる『造血幹細胞』をつくっている。

骨も免疫に関係しているんだなぁ…。

 

 

自分ではまったく気づかないけれど、

体の中でいろいろな免疫反応が働くおかげで、

疫病を免れているんだな…。

 

 

アレルギー。

本来ならば、体の中に入っても害のない物質を異物と判断し、

異物から体を守ろうと、免疫反応が過剰に働くこと。

 

 

目や鼻の粘膜にくっついた花粉やハウスダストなどを異物と判断し、

それらを追い出そうと涙や鼻水が出たり、くしゃみをする。

また、目が充血したり、目や鼻がかゆくなったりもする。

これがアレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎だったり、

花粉症だったりする。

 

 

気管支で免疫が過剰に働くのは、気管支ぜんそく。

皮膚で免疫が過剰に働くのは、アトピー性皮膚炎。

免疫の誤作動によって、様々な症状があらわれる…。

 

 

さて、

今、ピークの花粉症。

これを鍼灸ではどのようにアプローチするのか。

花粉症のもろもろの症状を鎮めるツボは、

顔や首、腕、手、脚などにあり、そこへ鍼やお灸をする。

それらの治療と同じくらい大切なのが、

免疫システムを正常化する治療。

 

 

首の付け根にある『大椎 だいつい』は、免疫力を整えるツボ。

花粉症や気管支ぜんそくなどアレルギー症状が強くあらわれると、

大椎を中心として、イラストの点線部分が、

逆三角形のうすっぺらーいおにぎり様に、

硬く盛り上がる方が多い。

大椎は背骨の上にあり、背骨と背骨、背骨と頭蓋骨、

背骨と肩甲骨を結んでいる筋肉がガッチガチになっている。

 

 

そのあたりを鍼やお灸でほぐすと、花粉症の症状がやわらぐ。

どれくらいでほぐれるかは、おにぎりの大きさや深さ、硬さや、

全身の疲労度によって異なる。

強固で大きなおにぎりであれば、時間はかかる。

 

 

 

 

そこで、登場するのは皮内鍼(ひないしん)。

画像の1番上が1円玉。

一番下は一般的に使う鍼。

中央が皮内鍼。

長さ5mmの小さくて細い鍼。

 

 

皮膚の1mm下を、皮膚と水平に数mm刺し、

医療用のテープで固定する。

鍼の持ち手の部分はリング状になり、鍼全体が皮膚に入ることはない。

垂直には刺さないので、上から押しても痛くない。

置いているのを忘れるくらい違和感もない。

2週間ほどこのままにして、継続したほうがよければ貼り換える。

 

 

首こり・肩こり・腰痛などのメンテナンスに来るYさん。

花粉症の症状があらわれる前の2月上旬から、

大椎周辺に皮内鍼をしてみた。

花粉量がピークの今でも、

花粉症のつらい症状があらわれていない。

薬も服用していない。

気をつけているのは、マスクをするくらい…。

皮内鍼を置いている周辺の筋肉もやわらいでいる。

 

 

花粉症のあなたは、首のつけ根におにぎりをしょってる?

強い首こり、肩こりでもおにぎりは発生しやすい。

首の付け根を触ってみて!

このおにぎりを消し去る手段として、

イヤイヤ花粉症や頑固な首こり、肩こりとさよならする方法の1つとして、

皮内鍼も取り入れてほしいなぁ…と思う。

 

 

あー、今日はめちゃくちゃ長いブログになってしまった。

読んでいただき、ありがとさんです。

Yさんには皮内鍼の感想を聞いてみました。

ぜひぜひ患者様の声(花粉症などに悩んでいたYさん)もご覧ください。

 

特集~慢性呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ④

今回の特集ブログで登場していただいたTさん。

呼吸器疾患をわずらって17年。

慢性の首こり・肩こり・頭痛に困って、昨年12月に当鍼灸院に来られた。

 

 

呼吸をするとき、胸郭の動きが乏しく、呼吸は浅い。

左肺を3分の1摘出し、左胸郭の動きはほとんどない。

声も小さい。

長年の息苦しさや咳込み、痰などが原因で、

呼吸補助筋の筋疲労が著しく、

慢性的な首こり・肩こりと、それに伴う頭痛におちいっていた。

呼吸が楽にならないと、それらは根本的には改善しない。

 

 

カチコチになっている呼吸補助筋を鍼治療でゆるめた。

肺に炎症を起こしていたので、煙が出る灸治療は行っていない。

初回から呼吸が楽になった!と実感された。

 

 

5日に1回のペースで治療。

呼吸補助筋に柔軟性が出て、

呼吸時の胸郭全体の動きが拡大し、

左胸郭の動きも出てきた。

開始当初よりも呼吸が深くなり、

呼吸の楽さが持続するようになった。

 

 

今まで、3回ほど咳込まないと痰が出せなかったが、

1回の咳で痰が出せるようになった。

呼吸補助筋の筋疲労を起こしにくくなり、

首こり・肩こり・背中こりが軽減した。

咳込みに伴う頭痛もなくなった。

インターフォン越しの声も聞き取りやすい。

「主人にもうるさいって言われた」と、

嬉しそうに話すTさんが印象的だった。

 

 

私の前職は理学療法士。

20年間、呼吸リハビリテーション(呼吸筋のリラクセーション、

胸郭運動、排痰など)に携わってきた。

その頃、『呼吸改善に鍼治療』という概念は私にはなかった。

昨年、Tさんと出会い、

『鍼治療で呼吸困難にアプローチする』という貴重な機会を得た。

鍼灸にはいろいろな可能性があり、

多角的な視点でアプローチすることの大切さを痛感した。

 

 

もちろん、鍼治療が適応できない呼吸器疾患があるかもしれない。

全身状態と呼吸機能を事前に評価し、

鍼治療ができるかどうかの判断が必須である。

また、慢性の呼吸器疾患の方は、痩せて胸板が薄く、

呼吸補助筋の筋委縮や硬直を起こしていることも多い。

鍼治療には経験が必要だと思う。

 

 

今回の特集ブログでは、Tさんに全面的に協力していただいた。

深く感謝いたします。

これからもTさんとともに呼吸器疾患と戦います!

Tさんに鍼治療の感想を聞いてみました。

ぜひ、『患者様の声』のページもご覧ください。

 


空気が冷たいと気管が縮こまり、

呼吸器疾患の方は息がしにくいこともある。

梅がほころび始めた。

春近し…。

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ③

咳が止まらず息苦しい…。

夜中に咳で目が覚め、ぐっすり眠れない…。

痰が切れずに息苦しい…。

ちょっと動いただけで息苦しい…。

息苦しくなるから外出できない…。

仕事や家事、育児などの日常生活にも支障をきたしている…。

慢性の呼吸器疾患があると、呼吸のトラブルだけでなく、

長期間に渡って生活も制限され、精神的ストレスも大きい。

 

 

<胸郭>

左右12本の肋骨と、背骨と、胸骨、そして横隔膜と肋間筋。

これらを合わせて『胸郭 きょうかく』という。

肺はこの胸郭の中におさまっている。

肺は自分で動かすことができない。

横隔膜という筋肉が主体となって、胸郭を動かすことにより、

肺をふくらませたり、しぼませている。

横隔膜は24時間無休でも平気な筋肉構造になっている。

 

 

全速力で走った後や呼吸にトラブルがあると、

もっと空気を吸おう!吐こう!と、胸郭をより動かそうとする。

このときに助っ人となるのは呼吸補助筋。

 

 

努力して空気を吸うときにサポートする筋肉は10個以上!

これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらに拡がり、

より多くの空気が肺に入ってくる。

努力して空気を吐くときにサポートする筋肉も10個近くある!

これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらにせばまり、

より多くの空気が肺から出ていく。

 

 

呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすことがメインの仕事で、

年中無休の筋肉構造にはなっていない。

そのため、呼吸で年中稼働していると、筋疲労を起こす。

筋肉のコリや痛みを感じるだけでなく、

筋肉に弾力性がなくなり、

胸郭を動かす補助が充分にはできなくなる。

つまり、努力性の呼吸をしても、

より多くの空気を吸ったり吐いたりすることができない。

 

 

では、呼吸補助筋をいくつかご紹介しよう。

まずは、努力して吸うときのサポート軍団!

 

 

<僧帽筋の上部線維>

僧帽筋(そうぼうきん)の上部線維(オレンジ)。

イラストでは左だけだが、もちろん右にもある。

本来、肩を上げる筋肉。

頭蓋骨(うなじ)と首の骨から、鎖骨についている。

肩が上がると胸郭も肺も上に拡がり、空気をさらに吸える!

ただし、休みなく呼吸に使っていると、筋疲労で肩こりとなる。

 

 

<胸鎖乳突筋>

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は本来、首を曲げる筋肉。

胸骨と鎖骨から、頭蓋骨(耳の下)についている。

この筋肉が働くと胸郭も肺も上に拡がり、

吸うときのサポーターにもなる。

ただし、呼吸に年中頼られると筋疲労を起こし、

慢性的な首こりになる。

 

 

<最長筋>

直立姿勢を保つために、背骨にはたくさんの筋肉がついている。

そのうちの1つ、最長筋(さいちょうきん)。

メインの仕事は背中を伸ばすこと。

背中をそらすことにより胸郭と肺を広げ、

吸うときのサポーターにもなる。

この筋肉も年中呼吸に頼られると筋疲労を起こし、

慢性の背中こりになる。

 

 

さて、次は空気を努力して吐き出すときにサポートする筋肉を紹介!

 

<腹直筋>

腹直筋(ふくちょくきん)は背中を丸めるときに働く。

腹圧がかかるので、空気を履くときに胸郭と肺をしぼめやすい。

やはり、呼吸や咳こみ、排痰(痰を出すこと)で使いすぎると、

筋肉痛になる。

 

 

<内腹斜筋、外腹斜筋>

イラストでは右に内腹斜筋(ない・ふくしゃきん)(青)、

左に外腹斜筋(オレンジ)があるが、どちらも左右両方にある。

これらの筋肉も腹直筋と同じような働きをし、

吐くときの助っ人にもなる。

 

 

慢性の呼吸器疾患では、呼吸補助筋の筋疲労をとり、

胸郭の動きを拡大することが大切。

それが肺の動きの拡大となり、

楽な呼吸、楽な咳、楽な排痰、楽な動作に結びつく。

 

 

最終回の次回は、17年間呼吸疾患をわずらっている

Tさんへの鍼灸治療をご紹介!!!

呼吸補助筋の筋疲労に対して、鍼治療をしています。

今までの特集ブログの中で、一番とっつきにくく、

わかりにくいテーマですが、

もうちょっとおつきあいください!

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ②

肺は自分では動かせない。

では、どうやって空気を吸うときに肺をふくらませ、

吐くときに肺をしぼませるのか…。

 

<胸郭・前面>

左前の肋骨と、胸骨の左前半分を取り除いた図。

左右12本の肋骨は、前方中央で胸骨と関節をつくり、

後方中央では背骨と関節をつくっている。

肋骨と肋骨の間には、外肋間筋(がい・ろっかんきん)と

内肋間筋という筋肉がついている。

肺は肋骨の中におさまり、肺の下には横隔膜。

この横隔膜と外肋間筋を使って、

肺をふくらませたり、しぼませている。

 

 

<腹式呼吸・吸気>

胸骨・肋骨・背骨・肋間筋・横隔膜で構成された空間(水色枠)を

胸腔(きょうくう)という。

横隔膜という筋肉が働くと、横隔膜自体は引き下げられ、

その分、胸腔の体積は上下方向に増える。

胸腔の拡がりによって肺がふくらむ。

これが腹式呼吸の吸気。

 

 

<胸式呼吸・吸気>

このイラストでは外肋間筋は左横にしかついていないが、

実際は肋骨全体ついている。

外肋間筋の働きが加わると、樽上の肋骨が拡がり、

胸腔の体積は上下・左右・前後方向に増える。

肺もさらにふくらみ、空気もたくさん肺に入る。

これが胸式呼吸の吸気。

 

 

 

空気を吐くときはどうするか…。

簡単!

横隔膜と外肋間筋をゆるませるだけ。

 

 

<腹式呼吸・呼気>

横隔膜がゆるむと、横隔膜自体は引き上げられ、

その分、胸腔の体積はせまくなり、肺もせまくなり、

空気は気管へと押し出される。

 

 

<胸式呼吸・呼気>

外肋間筋がゆるむと、拡がっていた肋骨は元に戻り、

胸腔はせまくなり、肺の中の空気はさらに気管へと

押し出される。

 

 

普段、腹式呼吸と胸式呼吸は併用されているが、

呼吸運動は横隔膜が主体!

横隔膜は呼吸をするために生まれてきた筋肉。

24時間無休でも、へっちゃらな筋肉構造になっている。

 

 

全速力で走った後など息切れをしたときに、

ヒトは肩を上下に動かして呼吸を整えようとする。

これは、肩を引き上げる筋肉を使って、胸腔をもっと拡げて、

もっと空気を吸おうとするから…。

努力をして呼吸をするときには、呼吸補助筋が呼吸運動を手伝う。

 

 

慢性の呼吸器疾患があると、常に努力性の呼吸を強いられがち…。

呼吸補助筋も働きっぱなし…。

呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすのがメインの仕事で、

24時間無休でも平気な筋肉構造にはなっていない。

そのため、筋疲労を起こしやすい。

 

 

前回のブログでご紹介したTさんも、

努力性の呼吸による、呼吸補助筋の筋疲労が著しかった。

次回は、慢性の呼吸疾患に伴いやすい努力性の呼吸と、

それに対する鍼灸治療を書こうと思います!

よろしくです!!!

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ①

 

ヒトが呼吸のために吸い込む空気は、

1日約1万1000リットル!

1回吸うたび、あるいは吐くたびに、空気は約500ml出入りする。

では、なぜヒトは呼吸をするのか。

 

 

鼻や口から吸いこまれた空気は気管を通り、

肺へたどり着く。

肺の中では気管支が細かく枝分かれ、

それらの末端に肺胞(はいほう)がある。

その肺胞まで空気は運ばれる。

肺の中を拡大して見てみよう!

 

 

気管支が肺全体に行き渡っている。

サンゴ礁みたい!

どの気管支の末端にも肺胞がびっしりついている。

肺胞を拡大して見てみよう!

 

 

葡萄のフサのように肺胞がひしめきあって、

気管支末端についている。

両肺に肺胞は約6億個!

1つ1つの肺胞は袋状になり、外側はマスクメロンみたい!

肺胞の壁には毛細血管がへばりついている。

 

 

肺胞にたどり着いた空気(酸素)は、この毛細血管に吸収される。

酸素と血液が毛細血管の中を、

やがて肺動脈の中を、

そして全身の動脈の中を流れていく………。

 

 

ヒトの体は内臓も皮膚も骨も筋肉もすべて、

いろーんな細胞が集まって構成されている。

細胞の隣には動脈も静脈もある。

1つ1つの細胞は、隣の動脈の中から酸素を取り込み、

エネルギーをつくる。

そのとき、二酸化炭素が発生し、

細胞の隣にある静脈に二酸化炭素を渡す。

つまり、細胞も呼吸をしている!

 

 

細胞からもらった二酸化炭素は血液とともに

静脈を流れ、やがて肺にたどり着く。

毛細血管の中に流れ着いた二酸化炭素は

肺胞の壁から吸収される。

肺胞に入った二酸化炭素は気管支、気管を通り、

鼻や口から体外に排出される。

私たちの体の中ではこのようなシステムが

1日中、休むことなく稼働している。

 

 

昨年末、首こり・肩こりに悩むTさんが当鍼灸院に来られた。

Tさんは17年前に肺の病気にかかった。

ヒトに感染するものではなかったが、

慢性的な痰やせき込み、息苦しさで、

今も日常生活は制限されている。

これらの症状の影響で、

呼吸にかかわる筋肉が疲労し、

慢性的な首こり・肩こりにも陥っていた。

 

 

呼吸にかかわる筋肉を鍼でゆるめると、

呼吸が深くなり、息苦しさも減り、

楽に呼吸できるようになってきた。

痰も出しやすい。

首こり・肩こりも減ってきている。

 

 

私の前職は理学療法士。

20年間呼吸リハビリテーションにも携わっていたが、

呼吸機能改善に鍼治療という概念はなかった。

「同じように呼吸で苦しんでいる人たちに、

鍼治療もあることを知ってもらいたい!」

そんな、Tさんと私の熱い思いから、この特集ブログを組むことになった。

 

 

かなり難しい内容になりますが、どうぞおつきあいください。

次回は『特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ』

第2弾、呼吸運動についてご紹介します。