コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

体のしくみあれこれ~手の機能

何気なく使っている手。

最初からこのような握り方はできません。

最初は

こんなだったり…

こんなだったり…。

食べ物がうまくスプーンにのらないと、

しびれを切らして指で食べ物をつまんで食べていましたよね。

蝶結びができるようになったのは、いつだったでしょうか。

               *

指の使い方ってとってもバリエーションがあります。

指でひっかけてコップを持ち上げたり、

つめでひっかけてシールを剥がしたり、

親指でこすってライターに火をつけたり、

つまんで回してキャップをとったり…。

               *

色鉛筆を1本を取り、

1本握ったまま、もう1本を取り上げると、

最初の1本は薬指と小指で握り、

次の1本は親指と人差し指でつまんでいる。

さて、ここで問題です!

このやり方で私は何本の色鉛筆を取り上げることができるでしょうか。

あと1本取れそう…。

取れたぁ~! 36本!

こんなふうに5本の指を、同時に、

『握る』と『取り上げる』など使い分けることもできます。

手の指は足の指よりもとっても器用。

その分、指の動きに係わる筋肉はたーくさんあります。

指のつけ根から指先までの短い筋肉もあれば、

肘から指までの長い筋肉もあります。

               *

手の指は感覚も繊細!

生卵? ゆで卵?

無意識に力を加減して、殻の割り方を変えていますよね。

このコイン。

こんなふうに隠しても、指の腹で触ってみて、

大きさや真ん中の空洞、厚み、重さで、

500円なのか50円なのか1円なのか、わかりますよね。

真っ暗闇の中、鍵の先と鍵穴を触って、鍵を開けることもできますね。

               *

手の指は握りながら操作をすることが多く、

その時の理想的な手首の角度は

手の甲を軽度(約15度)上げた位置。

指を曲げる筋肉が一番使いやすい角度と言われています。

逆に、軽い物でも手首を下に向けたまま持ち続けているのは

きつい!

頻繁に、手首を下に向けたまま指を使っていると、腱鞘炎になりかねません。

               *

次回はその腱鞘炎の鍼灸治療についてご紹介したいと思います。

今回の写真撮影は、たくさんの小道具を使って楽しかった!

数多くの写真も見て頂き、ありがとうございます。

私の相棒、鍼の道具たち…その2

前回に引き続き、今回も鍼灸の鍼の話です。

鍼の素材はステンレスが主流ですが、銀メッキや18金を使用した鍼もあり、

それなりの値段がします。

 

 

持ち手(太いところ)がステンレスのものもあれば

プラスチックのものもあります。

私は持ち手も鍼の部分もステンレス製のものが使いやすく、

すべて使い捨ての鍼で、お一人の方に使ったら廃棄しています。

 

 

鍼の太さは、00番が0.12mm、0番が0.14mm、1番が0.16mm

と、太くなるほど番手数も大きくなります。

鍼灸師によって、使う太さは様々。

私は1番、3番、5番を主に使います。

体の部位や、患者様の体調・体質等によって、使い分けています。

 

 

鍼の長さは3分(10mm)、1寸(30mm)、1寸3分(39mm)、

と、『寸 すん』と『分 ぶ』の単位で表します。

この写真で一番短いのが3分(10mm)。 長いのが2寸5分(75mm)。

短い鍼は顔などデリケートな皮膚のツボに、

長い鍼はお尻の奥の筋肉が痛い時(ふくよかな体型に対応)に使っています。

鍼灸師それぞれに使いやすい鍼の長さがあり、

私の手の大きさでは、1寸3分(39mm)が一番使いやすい!

 

 

これらは一般的な鍼ですが、特殊な鍼もたくさんあります。

私の手元にある鍼だけご紹介します。

 

 

皮内鍼(ひないしん)。

この写真のものは、直径0.14mm、長さ5mm。

 

 

見えますか~?

鍼のリングのところをピンセットではさみ、

皮膚の1mm下を、皮膚と平行に2~3mm刺し、

 

 

医療用のテープに切り目を入れて、鍼の『枕』を作り、

 

 

 

 

その上から医療用テープで固定!

鍼を横に刺しているので、違和感はまったくありません。

途中で張り替えますが、1週間~1ヶ月間して、

長い間ツボに刺激をし続けることができます。

生理痛や生理不順など婦人科の症状で、

血の巡りを改善したい時によく使います。

 

 

円皮鍼(えんぴしん)。

円形のシールの中央に鍼がついています。

この写真の鍼は直径0.2mm、長さ0.9mm。

見えませんよね~。

筋肉がガチガチで痛みが強いときなどに1~2週間、張ります。

 

 

最後にご紹介するのは、灸頭鍼(きゅうとうしん)。

 

 

普通に鍼を刺し、台紙を挟みます。

手に持っているのは、灸頭鍼用のモグサ。

穴が開いている。

鍼の握り手の部分にこのモグサを差し込み、

 

 

チャッカマンで点火!

頑固な、強い腰痛や冷え症、五十肩などに用います。

鍼の刺激とお灸の輻射熱で治療効果バツグンです!

 

 

おぉっ!

今回もふんだんに写真を載せたら、長々としたブログとなりました。

写真撮影は趣味ではありませんが、

どんなアングルで撮ったらわかりやすいかな…と

考えながら撮るのはおもしろいですね。

次回は『中国留学思い出し日記』のコーナーで

『七星針』という鍼をご紹介します。

今日書ききれなかった『鍼のよさ』もその時にお伝えします!

3回連続して鍼の話となりますが、おつきあい下さい…。

 

膝の痛みの鍼灸レシピ

前回に引き続き、今日も膝の話におつきあい下さい。

膝の痛みといっても、原因はいろいろ。

普段、運動をしていないのに、いきなりスポーツをして、

膝周辺のひどい筋肉痛がいつまでも治らない…。

ちょっとした運動でこんな筋肉痛になるなんて、なさけない!

筋肉トレーニングをしよう! と、さらに筋肉痛が悪化…。

若いとき部活で膝の靭帯(じんたい)を痛めたことがあり、

古傷が痛み始めている…。

整形外科でレントゲンを撮ったら、膝の関節が変形し、

老化によるものと言われた…。

最近、急激に太った…。

買い物も何でも車を利用し、足腰がだいぶ弱ってきた…。

などなど。

原因が1つよりも2つ、3つと重なっていることが多いように思います。

               *

長い間、膝の痛みをかばっていると、

膝の関節が充分に動かせなくなったり、

膝周辺の筋肉がガチガチになったり、

反対側の膝も痛くなったり、

膝周辺の筋肉が落ちたりします。

様々な問題が積み重なってきます。

               *

痛んだ靭帯たちや、

すり減った関節軟骨を鍼灸で元に戻すことはできません。

硬くなった筋肉を和らげながら、

「痛み」と「支障をきたしている日常生活」を改善することが目的となります。

膝にサル・シールを貼った、ツボ・モデル君。

前から見ると、膝近くにあるツボは4個。

後ろから見ると3個。

『委中 いちゅう』が膝の裏の真ん中にあたります。

膝の外側からみると、青い線(=経絡)の上に2個。

内側には3本の経絡上に計4個。

あわせて13個。

この13個は経絡の上にのっているツボ。

経絡の上にのっていないツボを調べてみると、

膝の名前がつくのは、

「膝眼 しつがん」 「膝外 しつがい」 「膝旁 ひつぼう」 「膝跟 ひつこん」 

「膝下 ひつか」。

他にも「鶴頂 かくちょう」 「内龍眼 うちりゅうがん」など、たくさんあります。

古代中国で発展した鍼灸。

膝のトラブルは数千年前から多かったということですよね…。

               *

どんなふうに動かしたら膝が痛いのか、膝を動かしたり、触って、

どのツボを使うか決めます。

当鍼灸院では、ツボに鍼を刺して20分間ほど置いたまま、

台座灸(だいざきゅう)を鍼のそばにしたり、

(この写真は足の裏にしていますが)

膝周辺に棒灸をします。

(この写真は足首近くにしていますが)

膝周辺のツボや硬くなっている筋肉に、

灸頭鍼(きゅうとうしん)(鍼先にモグサをのせて燃やす)をすることもあります。

鍼灸で筋肉がほぐれても、すぐ硬くなり痛くなる時は、

円皮鍼(えんぴしん)を使います。

これはシールの真ん中に鍼が固定され、ツボの上にしばらく貼っておきます。

鍼の長さは1mmもなく、皮膚の上にのっているだけで、違和感はありません。

                *

痛みがだいぶ和らぎ、筋肉も緩んできたら、

筋肉のストレッチングと筋肉トレーニングをおすすめします。

筋肉トレーニングは、筋肉が硬いうちからすると硬さが助長され、

よけい痛みが強まることもあるので、あせりは禁物です。

また、負荷のかかりすぎる筋肉トレーニングから初めても

すぐ硬くなるので、トレーニングのメニュー選びも重要です。

               *

立ち上がるとき、座るとき、横になるとき、歩くとき、階段を上り下りするとき。

いろいろな場面で膝を使います。

だからこそ、トラブルなしに大事につきあいたい関節です。

               *

今日は文章も写真も多くなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

人間の体って不思議。

膝の話を書いていたら、昔痛めた左膝のことが気になりだす…。

知らずしらず左膝周辺をさすっている自分がいます。

体のしくみあれこれ~膝の関節とそれを支える筋肉たち

膝の痛みが続いている…。

そんな悩みで鍼灸院に来られる方がいます。

私自身は20代の頃、スキーにはまり、

下手なくせに上・中級コースで滑り、

コントロールがつかず、加速!加速!

必ず左カーブで耐え切れずにスッテンコロリン。

左膝を捻って、何回も痛めました。

今回と次回は、その膝に関することを書いてみようと思います。

骨盤からふくらはぎまでの色つき骨。

外から見てもわかりませんが、

太ももの骨って斜めについています。

膝下の、ふくらはぎ部分の骨は2本。

膝の関節をつくっているのは、そのうちの太い骨。

膝の3つの関節、股関節と膝関節と足関節(足首)のうち、

股関節と足関節は、グルグル回せる動きができますが、

膝関節は曲げるか伸ばすか、単純な動きしかできません。

膝周辺の筋肉を線で描いてみました。

これは前からみた筋肉。

骨盤と膝下の骨を結ぶ筋肉もあれば、

太ももの骨と膝下の骨を結ぶ筋肉もあります。

これは後ろからみた筋肉たち。

骨盤とふくらはぎの骨を結ぶ筋肉や、

太ももの骨と踵の骨を結ぶ筋肉。

これらの筋肉たちが、私たちの膝を動かしつつ、膝をケガからガード!

これは膝を曲げた状態で、前から膝をみた図。

太ももの骨と膝下の骨との間で、クッションがわりになるのが、

『内側半月 ないそく・はんげつ』と、『外側半月』。

そして、

関節の中央にある、

『前十字靭帯 ぜん・じゅうじ・じんたい』と『後十字靭帯』。

関節の外についている、

『内側側副靭帯 ないそく・そくふく・じんたい』と、『外側側副靭帯』。

これらは、関節が大きくぶれないように支えている、

とっても大切な靭帯たちです。

膝の関節を横からみた図。

左側が膝の前です。

太ももの骨と膝下の骨の端っこには、関節軟骨がつき、

硬い骨と骨がこすりあわないようにカバーしています。

今日は5枚の図を描きました。

な~んとなく、膝の構造が伝わりましたでしょうか?

ふと思い出したことがあります。

(ここだけの話ですが)

絵本作家になりたい!と思ったことがあります。

面白い夢を見て、それを童話にしようとしましたが、すぐ断念!

絵が…、

絵が…、

絵が…、

描けない…。

今描いているのは『下手の横好き』ですねぇ~。

(悲しい…。

このことわざの『下手の』の後ろの文句が思い出せずに

電子辞書のお世話になった。)

余談が長すぎました。

次回は、膝の鍼灸治療をご紹介します。

鍼灸の陰と陽

だんだん日が登るのが遅くなり、

日が暮れるのが早くなってきました。

夏から秋、冬へと季節が移り変わりますね。

この変わっていく過程を、東洋医学では『陽消陰長』といいます。

逆に、冬から春、夏へと移る過程は『陰消陽長』。

               *

うわっ!

手描図が大きくでてしまった!

陽の中に陰があり、陰の中に陽がある、太極図。

『陰陽論』の起源は中国の古代哲学で、

日光に向かうのを陽、日光に背を向けるのを陰とする考えから

スタートしたそうです。

やがて医学にも応用されるようになりました。

                *

最近、すっかりメジャーになった『経絡 けいらく』。

体中にはりめぐらされた通路のこと。

『気』と『血』が経絡を通り、

各臓器などに栄養を送り、臓器の機能を調整します。

その『経絡』の代表的な12本も陰と陽に分けられます。

例えば、肩こりや腰痛の鍼灸治療によく用いられる

『足太陽膀胱経 あし・たいよう・ぼうこうけい』。

『陽』の経絡です。

体の中で一番長い経絡で、

「目頭の外⇒ひたい⇒頭頂⇒後頭部⇒背中⇒お尻

⇒ももの後ろ⇒ふくらはぎ⇒足の小指」を通っています。

朝日を浴びるツボ・モデル。

膀胱経の上にのっているツボは、67個!

この経絡は右にも左にもあるので、左右あわせて134個!

膀胱経の相棒は、陰の経絡『足少陰腎経 あし・しょういん・じんけい』。

「足裏⇒脚の内側⇒胴体前面⇒鎖骨下縁」を通っています。

腎経の上にのっているツボは、27個。

               *

経絡の上にあるツボに鍼刺激や灸刺激をすることにより、

経絡の流れを良くして、その経絡に係わる症状を治していく。

それが古代からの鍼灸治療の考え方です。

また、陰と陽のバランスも考慮されます。

先ほどの『足太陽膀胱経』と『足少陰腎経』のバランスがどうなっているのか…。

東洋医学って奥が深く、おもしろい!難しい!