コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

私の相棒、鍼の道具たち…その2

前回に引き続き、今回も鍼灸の鍼の話です。

鍼の素材はステンレスが主流ですが、銀メッキや18金を使用した鍼もあり、

それなりの値段がします。

 

 

持ち手(太いところ)がステンレスのものもあれば

プラスチックのものもあります。

私は持ち手も鍼の部分もステンレス製のものが使いやすく、

すべて使い捨ての鍼で、お一人の方に使ったら廃棄しています。

 

 

鍼の太さは、00番が0.12mm、0番が0.14mm、1番が0.16mm

と、太くなるほど番手数も大きくなります。

鍼灸師によって、使う太さは様々。

私は1番、3番、5番を主に使います。

体の部位や、患者様の体調・体質等によって、使い分けています。

 

 

鍼の長さは3分(10mm)、1寸(30mm)、1寸3分(39mm)、

と、『寸 すん』と『分 ぶ』の単位で表します。

この写真で一番短いのが3分(10mm)。 長いのが2寸5分(75mm)。

短い鍼は顔などデリケートな皮膚のツボに、

長い鍼はお尻の奥の筋肉が痛い時(ふくよかな体型に対応)に使っています。

鍼灸師それぞれに使いやすい鍼の長さがあり、

私の手の大きさでは、1寸3分(39mm)が一番使いやすい!

 

 

これらは一般的な鍼ですが、特殊な鍼もたくさんあります。

私の手元にある鍼だけご紹介します。

 

 

皮内鍼(ひないしん)。

この写真のものは、直径0.14mm、長さ5mm。

 

 

見えますか~?

鍼のリングのところをピンセットではさみ、

皮膚の1mm下を、皮膚と平行に2~3mm刺し、

 

 

医療用のテープに切り目を入れて、鍼の『枕』を作り、

 

 

 

 

その上から医療用テープで固定!

鍼を横に刺しているので、違和感はまったくありません。

途中で張り替えますが、1週間~1ヶ月間して、

長い間ツボに刺激をし続けることができます。

生理痛や生理不順など婦人科の症状で、

血の巡りを改善したい時によく使います。

 

 

円皮鍼(えんぴしん)。

円形のシールの中央に鍼がついています。

この写真の鍼は直径0.2mm、長さ0.9mm。

見えませんよね~。

筋肉がガチガチで痛みが強いときなどに1~2週間、張ります。

 

 

最後にご紹介するのは、灸頭鍼(きゅうとうしん)。

 

 

普通に鍼を刺し、台紙を挟みます。

手に持っているのは、灸頭鍼用のモグサ。

穴が開いている。

鍼の握り手の部分にこのモグサを差し込み、

 

 

チャッカマンで点火!

頑固な、強い腰痛や冷え症、五十肩などに用います。

鍼の刺激とお灸の輻射熱で治療効果バツグンです!

 

 

おぉっ!

今回もふんだんに写真を載せたら、長々としたブログとなりました。

写真撮影は趣味ではありませんが、

どんなアングルで撮ったらわかりやすいかな…と

考えながら撮るのはおもしろいですね。

次回は『中国留学思い出し日記』のコーナーで

『七星針』という鍼をご紹介します。

今日書ききれなかった『鍼のよさ』もその時にお伝えします!

3回連続して鍼の話となりますが、おつきあい下さい…。

 

私の相棒、鍼の道具たち…その1

突然の質問ですが、

鍼灸の鍼って痛そうで怖いですか?

…?

そうですよね…。 怖いですよね。

最初は私も怖かった。

 

 

鍼灸の学校では、まずこの台を使って鍼を打つ練習をします。

Dにいくほど硬い。

その後、自分の太ももやふくらはぎに打ちます。

これは最初怖かった!

コツをつかめると、なんてことない。

 

 

本場の中国と日本では、鍼の刺し方が違います。

日本では、鍼の手前にある鍼管(しんかん)も使います。

(中国にはこの鍼管がありません。)

鍼灸の学校でまず習うのが『片手挿管法』。

右手に鍼と鍼管、左手にデジカメを持ってご紹介!

 

 

鍼管の下を薬指と小指と手のひらで固定しながら、

 

 

親指と人差し指で鍼を鍼管の中に入れて、

 

 

鍼が鍼管の中へ、下へ落ちていくと同時に、

中指と薬指と小指で、鍼管の下端を親指側に移動させ、

 

 

鍼が鍼管の下端から出てきたところを、

親指と人差し指の付け根ではさみ、

 

 

人差し指を伸ばして、

 

 

手のひらを下に向けて、

 

 

皮膚に垂直に鍼管を向ける。

 

 

この間も、鍼管から数㎜出ている鍼を親指と人差し指ではさんで、

鍼を下に落とさないように踏ん張っている!

 

 

左手の親指と人差し指で鍼管の下を固定する。

鍼のほうが鍼管より少し長い。

 

 

右人差し指で、鍼先を打つ。

 

 

右の指で鍼管を取った後、

上の写真のように右親指と人差し指で

鍼を更に中に入れることもあれば、

すぐ抜くこともあります。

 

 

鍼を打たれる方は、鍼灸師がどのように鍼をするか

見る機会はないので、

11枚の写真と共にご紹介しました。

こんなのを見たら、よけい怖くなりました?

う~ん…。

鍼管を使ったほうが、打ち始めに鍼がたわまず、

鍼管が皮膚を押しているので、鍼が皮膚に入っていくのが感じにくいと

言われています。

しかし、

中国に留学中、腰が痛くなり、鍼灸を教わっている先生に

鍼管なしの鍼をしていただきましたが、痛くもなんともありませんでした。

 

 

写真を撮る前に、爪を切っておいてよかった。

それにしても…、

私の爪って小さいですよね。

他人様の半分しかありません。

青春まっただ中の頃はネイルをしても、

小学生が大人ぶっている爪にしか見えなくて、

何度もがっくりしました。

次回は、鍼の種類と技法、そして鍼の良さ!!をご紹介します。

よろしくです!

 

膝の痛みの鍼灸レシピ

前回に引き続き、今日も膝の話におつきあい下さい。

膝の痛みといっても、原因はいろいろ。

普段、運動をしていないのに、いきなりスポーツをして、

膝周辺のひどい筋肉痛がいつまでも治らない…。

ちょっとした運動でこんな筋肉痛になるなんて、なさけない!

筋肉トレーニングをしよう! と、さらに筋肉痛が悪化…。

若いとき部活で膝の靭帯(じんたい)を痛めたことがあり、

古傷が痛み始めている…。

整形外科でレントゲンを撮ったら、膝の関節が変形し、

老化によるものと言われた…。

最近、急激に太った…。

買い物も何でも車を利用し、足腰がだいぶ弱ってきた…。

などなど。

原因が1つよりも2つ、3つと重なっていることが多いように思います。

               *

長い間、膝の痛みをかばっていると、

膝の関節が充分に動かせなくなったり、

膝周辺の筋肉がガチガチになったり、

反対側の膝も痛くなったり、

膝周辺の筋肉が落ちたりします。

様々な問題が積み重なってきます。

               *

痛んだ靭帯たちや、

すり減った関節軟骨を鍼灸で元に戻すことはできません。

硬くなった筋肉を和らげながら、

「痛み」と「支障をきたしている日常生活」を改善することが目的となります。

膝にサル・シールを貼った、ツボ・モデル君。

前から見ると、膝近くにあるツボは4個。

後ろから見ると3個。

『委中 いちゅう』が膝の裏の真ん中にあたります。

膝の外側からみると、青い線(=経絡)の上に2個。

内側には3本の経絡上に計4個。

あわせて13個。

この13個は経絡の上にのっているツボ。

経絡の上にのっていないツボを調べてみると、

膝の名前がつくのは、

「膝眼 しつがん」 「膝外 しつがい」 「膝旁 ひつぼう」 「膝跟 ひつこん」 

「膝下 ひつか」。

他にも「鶴頂 かくちょう」 「内龍眼 うちりゅうがん」など、たくさんあります。

古代中国で発展した鍼灸。

膝のトラブルは数千年前から多かったということですよね…。

               *

どんなふうに動かしたら膝が痛いのか、膝を動かしたり、触って、

どのツボを使うか決めます。

当鍼灸院では、ツボに鍼を刺して20分間ほど置いたまま、

台座灸(だいざきゅう)を鍼のそばにしたり、

(この写真は足の裏にしていますが)

膝周辺に棒灸をします。

(この写真は足首近くにしていますが)

膝周辺のツボや硬くなっている筋肉に、

灸頭鍼(きゅうとうしん)(鍼先にモグサをのせて燃やす)をすることもあります。

鍼灸で筋肉がほぐれても、すぐ硬くなり痛くなる時は、

円皮鍼(えんぴしん)を使います。

これはシールの真ん中に鍼が固定され、ツボの上にしばらく貼っておきます。

鍼の長さは1mmもなく、皮膚の上にのっているだけで、違和感はありません。

                *

痛みがだいぶ和らぎ、筋肉も緩んできたら、

筋肉のストレッチングと筋肉トレーニングをおすすめします。

筋肉トレーニングは、筋肉が硬いうちからすると硬さが助長され、

よけい痛みが強まることもあるので、あせりは禁物です。

また、負荷のかかりすぎる筋肉トレーニングから初めても

すぐ硬くなるので、トレーニングのメニュー選びも重要です。

               *

立ち上がるとき、座るとき、横になるとき、歩くとき、階段を上り下りするとき。

いろいろな場面で膝を使います。

だからこそ、トラブルなしに大事につきあいたい関節です。

               *

今日は文章も写真も多くなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

人間の体って不思議。

膝の話を書いていたら、昔痛めた左膝のことが気になりだす…。

知らずしらず左膝周辺をさすっている自分がいます。

コトーの鍼灸スタイル~体の力を抜こう!

「今まで、すいぶん体全体に力が入っていたんですねぇ…」

鍼灸治療後に、ぽつりと話す方が多い。

体の疲労も心の疲労も長く続くと

横になっても全身の力が抜けにくくなる。

体には『慣れ』というものがあるようで、

体に力が入りすぎていることが当たり前となり、

力を抜けずにいることに、リラックスできずにいることに、

気づかない…。

筋肉疲労になっても気づかない…。

筋肉痛など症状が出てやっと気づく…。

そうならないよう、鍼灸治療後に、

「今の、この抜け感を覚えておいて下さいね。」と言います。

力が抜けていないことに気づいたら、症状が出る前に行動を起こせます。

当鍼灸院では、お灸やストレッチなどに興味がある方には、

その方にあったツボへのお灸の仕方や、ストレッチ方法を指導しています。

それは治療効果を高めるだけでなく、継続することにより、

体の変化に気づきやすくなる!という利点もあります。

例えば…、

冷えが強いと、最初はなかなかお灸の温かさを感じませんが、

毎日続けると、温かさを感じやすくなります。

血の巡りがよくなり、冷えが改善してきている!

自分で実感できます。

寒空の中、薄着でついつい体を冷やした時など、

お灸が温かく感じにくいこともあります。

冷えが進まないうちに、

1日おきにしていたお灸を毎日しよう!

じっくり湯船につかって体全体を温めよう!

そんなふうに早めに対応ができます。

今、ブログの下書きを見ながらパソコンのキーボードを打ち…、

手元を見ることは減りつつ…、

打ち間違えの頻度は変わらず…、

妙な漢字変換に笑いつつも…、

パソコンが苦手だ!という意識は頭の片隅にあり…、

体に妙な力が入っているんだなぁ~。

終わったらストレッチでもしよう…。

かぜの鍼灸レシピ

前回のブログで『かぜ』のことに触れましたが、

今日はその鍼灸治療をご紹介!

今までもかぜにまつわる鍼灸についてブログで書いたなぁーと思い、

下書きをパラパラ読み返しました。

ほほーっ、こんなこと書いたんだぁ~。

もう257話ともなると覚えていません。

今日はちょっと違う視点で書いてみます!

東洋医学では、体の中に『経絡 けいらく』という道が張り巡らされ、

その上に『ツボ』がのっていると考えられています。

この経絡は『手の太陰肺経 たいん・はいけい』。

11個のツボがのっています。

左腕しかツボを書いていませんが、右腕にもあります。

肺をつかさどるので、呼吸器の症状の治療に用いられます。

代表的な経絡は、相棒の経絡がいます。

『手の太陰肺経』の相棒は、『手の陽明大腸経 ようめい・だいちょうけい』。

20個のツボがのっています。

口から鼻にかけては、体の正中を越えて、反対側を通ります。

この経絡は鼻やのどを通り、鼻かぜやのどの痛みなどの治療に用いられます。

さて、ツボの話も何回か書いてきましたが、

代表的のツボは約360個。

そのツボの名前ひとつひとつに由来があります。

『かぜ』は『風邪』と書きますね。

東洋医学では、かぜをひく原因のひとつとして、

『風邪 ふうじゃ』という邪気が体の中に入るから!ととらえています。

『風』の漢字がつく、『風池 ふうち』や『風門 ふうもん』は、

風の通り道とされ、これらのツボもかぜの治療に用いられます。

ぐっすり眠れたら、かぜもすぐ治るのに、仕事・家事・育児などでそうもいかない…。

そんな経験ってありますよね。

かぜを長引かせると、体のスタミナが減り、よけい治りにくくなります。

そんな時は、エネルギーを補う鍼や灸もプラスします。

それにしても、顔と手を描くのは難しい!

2枚目はへび腕になっちゃった。

でも、また懲りずに書くと思う…。