コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

私の相棒、お灸の道具たち…その3

お灸の話も今日が最終回!

モグサの世界へようこそーっ!

昔ながらのお灸といえば、『点灸 てんきゅう』。

モグサを指でひねってツボにのせ、

お線香で火をつける方法です。

前回、米粒の半分くらいの大きさのモグサを使った

『点灸』をご紹介しました。

今日は、親指頭大のモグサを使った『七分灸』 『八分灸』をご紹介します。

 

 

親指頭大のモグサを

 

 

円錐形に整え、線香でさきっちょに点火!

 

 

モグサの下まで燃える前に取り除き、

 

 

水を張った灰皿へ。

皮膚にお灸の跡が残りません。

背中にすると、ぼわっと温まり、気持ちがいい…。

当鍼灸院ではしていませんが…。

 

 

左側のモグサは、ヨモギの葉の裏の産毛のみで、作られたもの。

最高級のモグサです。 半米粒大~米粒大の点灸に用います。

真ん中のモグサは、右側の棒灸の中味。

棒灸は皮膚から数センチ離して使うため、

直に皮膚にのせるモグサ(左側のもの)よりも

燃焼温度が高いほうがいいので、

葉っぱなどの不純物が入っています。

だから、右側の100%産毛のものよりも黒ずんだ色をしています。

 

 

親指頭大のモグサを使った七分灸や八分灸では、

100%産毛ではなく、

ヨモギの葉っぱなどの不純物が入ったモグサを使います。

このようにお灸の仕方によってモグサの中味がびみょーに違います。

 

 

今は自分で簡単にできる『台座灸』が市販されていますね。

台座の上にモグサがのっています。

 

 

台座の底のシールをはがして、ツボにはりつけ、

チャッカマンなどでモグサに火をつけます。

操作が簡単で、セルフお灸におすすめです。

 

 

お灸は「症状を治したい」 「体質を改善したい」 「健康を維持したい」ときに、

力を貸してくれる、たのもしいヤツです!

 

私の相棒、お灸の道具たち…その2

 

これはお灸に使うモグサ。

何から出来ているかご存知ですか?

原料はヨモギ。

ヨモギは菊科で、葉の裏に白い産毛のようなものが密集しています。

ヨモギの葉を乾燥させ、ふるいにかけて

白い産毛だけを取り出したのがモグサ。

採ってきた葉の5%くらいがモグサの原料になるそうです。

実はとーっても貴重なんですね。

 

 

昔ながらのお灸といえば、『点灸 てんきゅう』。

 

 

モグサを少し手のひらにのせ、

 

 

軽く両手でこすり合わせると、

 

 

円柱状のモグサの出来上がり!

 

 

左手の親指と人差し指でひねって、

 

 

さきっちょに出てきたモグサを

右手でつまみ、

 

 

ツボに置きます。

右側で光っているのは1円玉。

ひねったモグサは米粒の半分ぐらいの大きさ。

 

 

学生の時に使った練習台の上で、

お灸専用のやや太めの線香を使い、モグサの先端に点火!

 

 

『灸点紙 きゅうてんし』というシールをツボの上に貼ると、

お灸の跡が残りません。

 

 

この点灸の写真を撮っていたら、思い出したことがあります。

体の横(側面?脇?)の部位にモグサをのせるのは難しい!

体の横の皮膚にも、ささっとお灸ができるようになりたい!

 

 

学生時代、台所からボウルを持ってきて、練習したなぁ~。

懐かしい…。

まだご紹介したいお灸の方法があります!

次回もお灸の話を書きま~す。 よろしくで~す!

 

私の相棒、お灸の道具たち…その1

しんしんと寒いですなぁ~。

この時期は、お灸が大活躍です。

一口に『お灸』といっても種類はたーくさん。

以前、えーっと、2011年1月31日に『お灸アラカルト』というタイトルで、

『点灸』 『間接灸』 『棒灸』 『箱灸』 『台座灸』 『灸頭鍼 きゅうとうしん』

について、ご紹介しました。

(よかったら、読んでみてください。)

 

 

今日は、新しい仲間をご紹介!

『塩灸 しおきゅう』です。

本来は、ツボの上に塩を盛り、

その上にモグサをのせてお灸をするのが『塩灸』。

おへその真ん中に『神闕 しんけつ』というツボがあり、

そこに塩灸をすると、ほんわかほんわかおなかが温まります。

おへその中まで塩が入り、後片付けが大変だけど…。

 

 

1人でモデル兼カメラマンをするのは大変でーす!

1人でおへそへのお灸写真は撮れないので、

手のひらの上となりました。

この写真のように手のひらに塩灸をすることはありませんが、

イメージは伝わりましたか?

ハハハハハッー!

 

 

その塩灸の応用が鍼灸本に載っていました。

塩を袋に入れて、電子レンジで温めて使います。

意外と保温効果が高い!

風邪ひきさんなど、お灸(モグサ)の煙にせきこむ方のために

使い始めました。

コンパクトで、足の裏やお尻など、

いろいろな部位を温めることができるので、重宝しています。

 

 

もう1つご紹介。

煙の少ない棒灸。 炭でできています。

端に火をつけ、皮膚から数センチ離して使うので、

熱くありません。

 

 

写真奥にある、一般の棒灸は、

モグサを和紙でタバコのように包んでいます。

広範囲に温め、操作が簡単!

ご自宅で使っている方がいますが、

じっくり温めるとかなり煙が出ます。

写真手前の、炭でできた棒灸は、

煙がほとんど出ません。

 

 

中国から伝わったお灸。

江戸時代には、日本全国で庶民に親しまれたそうです。

浮世絵にも描かれていますね。

日本人にしっくり合う治療方法ではないでしょうか。

次回もお灸の話をしたいと思います。

おつきあい下さい!

 

ツボ・パワー! 三陰交(さんいんこう)

鍼灸治療にかかせないのが『ツボ』。

東洋医学では全身に経絡という通路があると考えています。

経絡は『陰経』と『陽経』に分けられ、

経絡上に乗っているツボは約360穴。

今日はその360穴の1つ、『三陰交 さんいんこう』をご紹介します!

               *

『足の太陰脾経 たいん・ひけい』と、『足の厥陰肝経 けついん・かんけい』と、

『足の少陰腎経 しょういん・じんけい』という

3つの陰経が交わるところにあるのが『三陰交』。

このツボは、3つの経絡が治す症状たちに係わることができるので、

すごいっ!!!

               *

『三陰交』の位置は、

足の内くるぶしの頂点から指4本ほど上で、

脛骨(けいこつ)という骨の後ろ。

ツボを押すとウッ!と圧痛があり、

少しでもずれると圧痛が和らぐので、見つけやすいツボです。

                *

強い冷えなどには…

灸頭鍼(きゅうとうしん)。

強い生理痛や生理不順などには…

皮内鍼(ひないしん)。

皮膚の1mm下に、皮膚と平行に小さな鍼をして、

医療用テープで固定します。

違和感はありません。

1~4週間ツボを刺激し続けることにより、症状を改善します。

足のむくみにもOK!

『三陰交』に鍼をしたまま…

棒灸もします。 (写真はツボが違います)

ご自宅でお灸をして頂くときには…

台座灸も使います。

いろいろな手法を使うツボって珍しい気がします。

               *

経絡には『陰経』と『陽経』があり、各々ペアになっています。

ツボ自体もペアになっているものがあり、

『三陰交』の相手は『懸鐘 けんしょう』。

足の外くるぶしの上にあります。

この2つのツボに同時にお灸や鍼をするのを、

『貫抜きの灸』とか『抜き打ちの鍼』と言います。

2つのツボを通して陰陽のバランスを整える!というイメージです。

               *

これからぐっと寒くなる季節に入りますが、

冷え症さんは、『三陰交』のある足首を冷やさないように、

ハイソックスやレッグウォーマー、ブーツなどを履くことをお勧めします。

膝の痛みの鍼灸レシピ

前回に引き続き、今日も膝の話におつきあい下さい。

膝の痛みといっても、原因はいろいろ。

普段、運動をしていないのに、いきなりスポーツをして、

膝周辺のひどい筋肉痛がいつまでも治らない…。

ちょっとした運動でこんな筋肉痛になるなんて、なさけない!

筋肉トレーニングをしよう! と、さらに筋肉痛が悪化…。

若いとき部活で膝の靭帯(じんたい)を痛めたことがあり、

古傷が痛み始めている…。

整形外科でレントゲンを撮ったら、膝の関節が変形し、

老化によるものと言われた…。

最近、急激に太った…。

買い物も何でも車を利用し、足腰がだいぶ弱ってきた…。

などなど。

原因が1つよりも2つ、3つと重なっていることが多いように思います。

               *

長い間、膝の痛みをかばっていると、

膝の関節が充分に動かせなくなったり、

膝周辺の筋肉がガチガチになったり、

反対側の膝も痛くなったり、

膝周辺の筋肉が落ちたりします。

様々な問題が積み重なってきます。

               *

痛んだ靭帯たちや、

すり減った関節軟骨を鍼灸で元に戻すことはできません。

硬くなった筋肉を和らげながら、

「痛み」と「支障をきたしている日常生活」を改善することが目的となります。

膝にサル・シールを貼った、ツボ・モデル君。

前から見ると、膝近くにあるツボは4個。

後ろから見ると3個。

『委中 いちゅう』が膝の裏の真ん中にあたります。

膝の外側からみると、青い線(=経絡)の上に2個。

内側には3本の経絡上に計4個。

あわせて13個。

この13個は経絡の上にのっているツボ。

経絡の上にのっていないツボを調べてみると、

膝の名前がつくのは、

「膝眼 しつがん」 「膝外 しつがい」 「膝旁 ひつぼう」 「膝跟 ひつこん」 

「膝下 ひつか」。

他にも「鶴頂 かくちょう」 「内龍眼 うちりゅうがん」など、たくさんあります。

古代中国で発展した鍼灸。

膝のトラブルは数千年前から多かったということですよね…。

               *

どんなふうに動かしたら膝が痛いのか、膝を動かしたり、触って、

どのツボを使うか決めます。

当鍼灸院では、ツボに鍼を刺して20分間ほど置いたまま、

台座灸(だいざきゅう)を鍼のそばにしたり、

(この写真は足の裏にしていますが)

膝周辺に棒灸をします。

(この写真は足首近くにしていますが)

膝周辺のツボや硬くなっている筋肉に、

灸頭鍼(きゅうとうしん)(鍼先にモグサをのせて燃やす)をすることもあります。

鍼灸で筋肉がほぐれても、すぐ硬くなり痛くなる時は、

円皮鍼(えんぴしん)を使います。

これはシールの真ん中に鍼が固定され、ツボの上にしばらく貼っておきます。

鍼の長さは1mmもなく、皮膚の上にのっているだけで、違和感はありません。

                *

痛みがだいぶ和らぎ、筋肉も緩んできたら、

筋肉のストレッチングと筋肉トレーニングをおすすめします。

筋肉トレーニングは、筋肉が硬いうちからすると硬さが助長され、

よけい痛みが強まることもあるので、あせりは禁物です。

また、負荷のかかりすぎる筋肉トレーニングから初めても

すぐ硬くなるので、トレーニングのメニュー選びも重要です。

               *

立ち上がるとき、座るとき、横になるとき、歩くとき、階段を上り下りするとき。

いろいろな場面で膝を使います。

だからこそ、トラブルなしに大事につきあいたい関節です。

               *

今日は文章も写真も多くなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

人間の体って不思議。

膝の話を書いていたら、昔痛めた左膝のことが気になりだす…。

知らずしらず左膝周辺をさすっている自分がいます。