コトー Blog & Vlog

東洋医学のこと、鍼灸治療のこと、パーソナルトレーニングのこと、日々の暮らしのこと…。カテゴリー別に書き連ねています…。ちょこっと、動画も始めました…。

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ③

咳が止まらず息苦しい…。

夜中に咳で目が覚め、ぐっすり眠れない…。

痰が切れずに息苦しい…。

ちょっと動いただけで息苦しい…。

息苦しくなるから外出できない…。

仕事や家事、育児などの日常生活にも支障をきたしている…。

慢性の呼吸器疾患があると、呼吸のトラブルだけでなく、

長期間に渡って生活も制限され、精神的ストレスも大きい。

 

 

<胸郭>

左右12本の肋骨と、背骨と、胸骨、そして横隔膜と肋間筋。

これらを合わせて『胸郭 きょうかく』という。

肺はこの胸郭の中におさまっている。

肺は自分で動かすことができない。

横隔膜という筋肉が主体となって、胸郭を動かすことにより、

肺をふくらませたり、しぼませている。

横隔膜は24時間無休でも平気な筋肉構造になっている。

 

 

全速力で走った後や呼吸にトラブルがあると、

もっと空気を吸おう!吐こう!と、胸郭をより動かそうとする。

このときに助っ人となるのは呼吸補助筋。

 

 

努力して空気を吸うときにサポートする筋肉は10個以上!

これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらに拡がり、

より多くの空気が肺に入ってくる。

努力して空気を吐くときにサポートする筋肉も10個近くある!

これらの筋肉が働くと、胸郭も肺もさらにせばまり、

より多くの空気が肺から出ていく。

 

 

呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすことがメインの仕事で、

年中無休の筋肉構造にはなっていない。

そのため、呼吸で年中稼働していると、筋疲労を起こす。

筋肉のコリや痛みを感じるだけでなく、

筋肉に弾力性がなくなり、

胸郭を動かす補助が充分にはできなくなる。

つまり、努力性の呼吸をしても、

より多くの空気を吸ったり吐いたりすることができない。

 

 

では、呼吸補助筋をいくつかご紹介しよう。

まずは、努力して吸うときのサポート軍団!

 

 

<僧帽筋の上部線維>

僧帽筋(そうぼうきん)の上部線維(オレンジ)。

イラストでは左だけだが、もちろん右にもある。

本来、肩を上げる筋肉。

頭蓋骨(うなじ)と首の骨から、鎖骨についている。

肩が上がると胸郭も肺も上に拡がり、空気をさらに吸える!

ただし、休みなく呼吸に使っていると、筋疲労で肩こりとなる。

 

 

<胸鎖乳突筋>

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は本来、首を曲げる筋肉。

胸骨と鎖骨から、頭蓋骨(耳の下)についている。

この筋肉が働くと胸郭も肺も上に拡がり、

吸うときのサポーターにもなる。

ただし、呼吸に年中頼られると筋疲労を起こし、

慢性的な首こりになる。

 

 

<最長筋>

直立姿勢を保つために、背骨にはたくさんの筋肉がついている。

そのうちの1つ、最長筋(さいちょうきん)。

メインの仕事は背中を伸ばすこと。

背中をそらすことにより胸郭と肺を広げ、

吸うときのサポーターにもなる。

この筋肉も年中呼吸に頼られると筋疲労を起こし、

慢性の背中こりになる。

 

 

さて、次は空気を努力して吐き出すときにサポートする筋肉を紹介!

 

<腹直筋>

腹直筋(ふくちょくきん)は背中を丸めるときに働く。

腹圧がかかるので、空気を履くときに胸郭と肺をしぼめやすい。

やはり、呼吸や咳こみ、排痰(痰を出すこと)で使いすぎると、

筋肉痛になる。

 

 

<内腹斜筋、外腹斜筋>

イラストでは右に内腹斜筋(ない・ふくしゃきん)(青)、

左に外腹斜筋(オレンジ)があるが、どちらも左右両方にある。

これらの筋肉も腹直筋と同じような働きをし、

吐くときの助っ人にもなる。

 

 

慢性の呼吸器疾患では、呼吸補助筋の筋疲労をとり、

胸郭の動きを拡大することが大切。

それが肺の動きの拡大となり、

楽な呼吸、楽な咳、楽な排痰、楽な動作に結びつく。

 

 

最終回の次回は、17年間呼吸疾患をわずらっている

Tさんへの鍼灸治療をご紹介!!!

呼吸補助筋の筋疲労に対して、鍼治療をしています。

今までの特集ブログの中で、一番とっつきにくく、

わかりにくいテーマですが、

もうちょっとおつきあいください!

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ②

肺は自分では動かせない。

では、どうやって空気を吸うときに肺をふくらませ、

吐くときに肺をしぼませるのか…。

 

<胸郭・前面>

左前の肋骨と、胸骨の左前半分を取り除いた図。

左右12本の肋骨は、前方中央で胸骨と関節をつくり、

後方中央では背骨と関節をつくっている。

肋骨と肋骨の間には、外肋間筋(がい・ろっかんきん)と

内肋間筋という筋肉がついている。

肺は肋骨の中におさまり、肺の下には横隔膜。

この横隔膜と外肋間筋を使って、

肺をふくらませたり、しぼませている。

 

 

<腹式呼吸・吸気>

胸骨・肋骨・背骨・肋間筋・横隔膜で構成された空間(水色枠)を

胸腔(きょうくう)という。

横隔膜という筋肉が働くと、横隔膜自体は引き下げられ、

その分、胸腔の体積は上下方向に増える。

胸腔の拡がりによって肺がふくらむ。

これが腹式呼吸の吸気。

 

 

<胸式呼吸・吸気>

このイラストでは外肋間筋は左横にしかついていないが、

実際は肋骨全体ついている。

外肋間筋の働きが加わると、樽上の肋骨が拡がり、

胸腔の体積は上下・左右・前後方向に増える。

肺もさらにふくらみ、空気もたくさん肺に入る。

これが胸式呼吸の吸気。

 

 

 

空気を吐くときはどうするか…。

簡単!

横隔膜と外肋間筋をゆるませるだけ。

 

 

<腹式呼吸・呼気>

横隔膜がゆるむと、横隔膜自体は引き上げられ、

その分、胸腔の体積はせまくなり、肺もせまくなり、

空気は気管へと押し出される。

 

 

<胸式呼吸・呼気>

外肋間筋がゆるむと、拡がっていた肋骨は元に戻り、

胸腔はせまくなり、肺の中の空気はさらに気管へと

押し出される。

 

 

普段、腹式呼吸と胸式呼吸は併用されているが、

呼吸運動は横隔膜が主体!

横隔膜は呼吸をするために生まれてきた筋肉。

24時間無休でも、へっちゃらな筋肉構造になっている。

 

 

全速力で走った後など息切れをしたときに、

ヒトは肩を上下に動かして呼吸を整えようとする。

これは、肩を引き上げる筋肉を使って、胸腔をもっと拡げて、

もっと空気を吸おうとするから…。

努力をして呼吸をするときには、呼吸補助筋が呼吸運動を手伝う。

 

 

慢性の呼吸器疾患があると、常に努力性の呼吸を強いられがち…。

呼吸補助筋も働きっぱなし…。

呼吸補助筋のほとんどは、関節を動かすのがメインの仕事で、

24時間無休でも平気な筋肉構造にはなっていない。

そのため、筋疲労を起こしやすい。

 

 

前回のブログでご紹介したTさんも、

努力性の呼吸による、呼吸補助筋の筋疲労が著しかった。

次回は、慢性の呼吸疾患に伴いやすい努力性の呼吸と、

それに対する鍼灸治療を書こうと思います!

よろしくです!!!

 

特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ①

 

ヒトが呼吸のために吸い込む空気は、

1日約1万1000リットル!

1回吸うたび、あるいは吐くたびに、空気は約500ml出入りする。

では、なぜヒトは呼吸をするのか。

 

 

鼻や口から吸いこまれた空気は気管を通り、

肺へたどり着く。

肺の中では気管支が細かく枝分かれ、

それらの末端に肺胞(はいほう)がある。

その肺胞まで空気は運ばれる。

肺の中を拡大して見てみよう!

 

 

気管支が肺全体に行き渡っている。

サンゴ礁みたい!

どの気管支の末端にも肺胞がびっしりついている。

肺胞を拡大して見てみよう!

 

 

葡萄のフサのように肺胞がひしめきあって、

気管支末端についている。

両肺に肺胞は約6億個!

1つ1つの肺胞は袋状になり、外側はマスクメロンみたい!

肺胞の壁には毛細血管がへばりついている。

 

 

肺胞にたどり着いた空気(酸素)は、この毛細血管に吸収される。

酸素と血液が毛細血管の中を、

やがて肺動脈の中を、

そして全身の動脈の中を流れていく………。

 

 

ヒトの体は内臓も皮膚も骨も筋肉もすべて、

いろーんな細胞が集まって構成されている。

細胞の隣には動脈も静脈もある。

1つ1つの細胞は、隣の動脈の中から酸素を取り込み、

エネルギーをつくる。

そのとき、二酸化炭素が発生し、

細胞の隣にある静脈に二酸化炭素を渡す。

つまり、細胞も呼吸をしている!

 

 

細胞からもらった二酸化炭素は血液とともに

静脈を流れ、やがて肺にたどり着く。

毛細血管の中に流れ着いた二酸化炭素は

肺胞の壁から吸収される。

肺胞に入った二酸化炭素は気管支、気管を通り、

鼻や口から体外に排出される。

私たちの体の中ではこのようなシステムが

1日中、休むことなく稼働している。

 

 

昨年末、首こり・肩こりに悩むTさんが当鍼灸院に来られた。

Tさんは17年前に肺の病気にかかった。

ヒトに感染するものではなかったが、

慢性的な痰やせき込み、息苦しさで、

今も日常生活は制限されている。

これらの症状の影響で、

呼吸にかかわる筋肉が疲労し、

慢性的な首こり・肩こりにも陥っていた。

 

 

呼吸にかかわる筋肉を鍼でゆるめると、

呼吸が深くなり、息苦しさも減り、

楽に呼吸できるようになってきた。

痰も出しやすい。

首こり・肩こりも減ってきている。

 

 

私の前職は理学療法士。

20年間呼吸リハビリテーションにも携わっていたが、

呼吸機能改善に鍼治療という概念はなかった。

「同じように呼吸で苦しんでいる人たちに、

鍼治療もあることを知ってもらいたい!」

そんな、Tさんと私の熱い思いから、この特集ブログを組むことになった。

 

 

かなり難しい内容になりますが、どうぞおつきあいください。

次回は『特集~呼吸器疾患に伴う呼吸困難への鍼灸アプローチ』

第2弾、呼吸運動についてご紹介します。

 

めまいのタイプ別鍼灸治療

急に立ち上がったら、頭がクラクラクラクラ……。

お風呂から上がったら、目の前が真っ暗くら……。

こんな『立ちくらみ』は、脳の血液不足が原因。

 

 

私たちが住んでいる地球には重力がある。

立ち上がったときに、重力の影響で血液が一旦下がる。

そのときに、血液を押し上げる心臓のポンプ力が間に合わず、

一時的に脳の血液が不足し、立ちくらみが起こる。

 

 

首こり・肩こりさんや冷え症さんなど、

血の巡りが悪く脳への血流が不足がちの場合も、

立ちくらみのようなめまいを起こすことがある。

また、鉄欠乏性貧血や生理中・妊娠中の貧血状態でも

同じようなめまいを起こしやすい。

起立性低血圧とは、起き上がったり立ち上がったときに

急に血圧が下がり、立ちくらみを起こしやすい状態のこと。

低血圧さんだけでなく、

降圧剤を服用している高血圧さんも起こしやすい。

 

 

貧血や低血圧かも…と思ったら、

病院で血液検査や血圧測定をしてもらおう!

必要だったら治療も受けよう!

首こりや肩こり、冷え症が原因の場合は、

血の巡りを整えるツボに鍼やお灸をして、

脳への血流不足を解消させてめまいをとろう!

 

 

これは前から見た右耳。

鼓膜の奥に中耳、その奥に内耳がある。

内耳には、体の平衡感覚を感じとる三半規管(さんはんきかん)と、

音を感じとる蝸牛管(かぎゅうかん)がある。

工事現場などで常に大きな音にさらされると、

内耳がダメージを受け、難聴とともにめまいを起こしやすい。

理由もないのに突然難聴になる突発性難聴でも

めまいを伴うことがある。

メニエール病は、内耳のトラブルが原因。

同じようなめまいや耳鳴り、難聴などの症状があらわれる。

 

 

内耳が原因の場合、

天井がグルグル回るようなめまいが、

やがてフラフラするようなめまいに変わる。

内耳の病気かも…と思ったら、すぐ耳鼻科に行こう!

耳の病気は放っておくと治りにくい。

内耳のトラブルとわかったらすぐ治療を受けよう!

首や肩のコリが強いことが多く、

鍼とお灸の併用もおすすめ。

 

 

体の平衡感覚は小脳でもコントロールしているので、

小脳のトラブルでも同じようなめまいが生じる。

内耳の病気でない場合は、

脳神経外科を紹介してもらおう!

 

 

精神的な要因でもめまいは起こる。

ストレスで自律神経が乱れたとき…。

更年期で自律神経が乱れたとき…。

精神的に不安定でうつ状態に陥ったとき…。

この心因性のめまいは、フワフワとした感じのめまいで、

長く続きやすい。

不眠、だるさ、落ち込み、不安などの症状も伴いやすく、

心療内科で相談してみよう!

心に働きかけるツボもたくさんあり、

鍼とお灸の併用もおすすめ。

首や肩がこっていることもあり、

鍼灸で取り除くと心身ともにリラックスする。

 

 

このようにめまいの原因はたくさん。

めまいのタイプによって鍼灸治療も変わる。

めまいが気になったときには、

まず病院へ行き原因をつきとめよう!

 

性分は変わる?変えられる?

「コトーさんって好奇心や探究心が強いね」

コトーのブログを愛読、イエイエ、たまたま読んだ方から、

こんなことを言われることがある。

このブログのどこに、そんなことがにじみ出ているのかな…。

いろんな人から言われると、その気になっちゃう!

うれしいなぁ~~~! ほっくほくぅ~~~!

 

 

30年前。

理学療法士の養成学校を卒業し、

国家資格を取得し、就職。

学校で運動療法の基礎を学び、

病院などでインターン実習も受けたが、

仕事となると分からないことだらけ…。

とにかく職場内外の勉強会に出まくった。

どこの講師も重要視するキーワードがあった。

 

 

(運動麻痺のある方の動きを観察し)、

患者さんはどんなふうに動いていた?

なぜ、そんな動き方になる?

問題点は何?

なぜ、それを問題に取り上げた?

どんな運動療法をしてみる?

そのアプローチでどんなことを期待する?

なぜ?

ゴールは?

なぜ?

運動療法をしてみて、どうだった?

そうなったのは、なぜ?

じゃあ、次はどうする?

『なぜ』が延々と続く。

 

 

新人のとき、私が書いたカルテを上司が見ながら言った。

「?マークばかりで、随分悩んでいたんだね」

自分のしている治療を直視するのはつらかった…。

でも、受け持った患者さんの運動麻痺を改善し、

運動を獲得してもらうために、

弱音を吐くわけにはいかなかった。

必死だったなぁ…。

 

 

仕事に向かう姿勢は30年も経つと、クセのようになり、

いろんなことに対して、何?何?何?なんで?なんで?なんで?と、

考えるようになったんだなぁ…。

こんなふうに何でも分析したがるのも、仕事の影響かな…。

これがエスカレートして、『重箱の隅をようじでほじくるコトー』なんて

言われないようにしなくっちゃ。 ハハハー!

 

 

ういういしかったコトーも気づけば中年…。

足腰の衰えは隠せない。

そこで、下肢筋力維持・増強マシーンを購入!

 

 

 

2017_01_16_001

 

じゃーん。

ハハハハハー、単なるステップ台!

傾斜がきつく高さもあり、下肢の筋肉をきちんと使う!

昨年末に購入し、ほそぼそと続いている。

当鍼灸院の待合室に置いているので、体験しに来てください!

イヤイヤ、

鍼灸治療やお灸教室に来たときに、試してください。